クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

第474回:レクサスが全国各地の若き匠のモノづくりを支援
「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2017」をリポート

2018.01.27 エディターから一言
2016年度に引き続き、スーパーバイザーを務めるプロデューサーの小山薫堂さん(中央)とサポートメンバーの皆さん。
2016年度に引き続き、スーパーバイザーを務めるプロデューサーの小山薫堂さん(中央)とサポートメンバーの皆さん。拡大

今年で2回目を迎えた「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT(レクサス ニュー タクミ プロジェクト)」、その集大成となる制作発表イベント(商談会)が2018年1月17日に東京・日本橋で開催された。会場で出会った匠(たくみ)たちに、作品に込める思いを聞いた。

匠として選出されるのは、各都道府県から約1人ずつ。その一人ひとりが主役となったポスターからは、それぞれの個性が見て取れる。
匠として選出されるのは、各都道府県から約1人ずつ。その一人ひとりが主役となったポスターからは、それぞれの個性が見て取れる。拡大
「桐の筒に入れたコーヒー豆が1年たっても新鮮なままだったことに驚いた」という小山さん(左)。「この桐のカップを手にすることで、東さん(右)の本業である桐箪笥が欲しくなってしまった」と語った。
「桐の筒に入れたコーヒー豆が1年たっても新鮮なままだったことに驚いた」という小山さん(左)。「この桐のカップを手にすることで、東さん(右)の本業である桐箪笥が欲しくなってしまった」と語った。拡大
サポートメンバーのグエナエル・二コラさん(右)は大館曲げわっぱ伝統工芸士・柴田昌正さん(左)の「酒セット」に注目。「『これは何?』という好奇心をきっかけに日本の文化を説明しやすい」と評価した。
サポートメンバーのグエナエル・二コラさん(右)は大館曲げわっぱ伝統工芸士・柴田昌正さん(左)の「酒セット」に注目。「『これは何?』という好奇心をきっかけに日本の文化を説明しやすい」と評価した。拡大
サポートメンバーの清川あさみさんが選んだ注目の匠は、京都府代表の陶板画作家・河原尚子さん。出品したのは障子や襖(ふすま)などに取り付ける「引き手」。“物語性のある作品”と高く評価された。
サポートメンバーの清川あさみさんが選んだ注目の匠は、京都府代表の陶板画作家・河原尚子さん。出品したのは障子や襖(ふすま)などに取り付ける「引き手」。“物語性のある作品”と高く評価された。拡大
会場には51のブースが設けられ、素材も形もさまざまな作品が並んでいた。こちらは津軽打刃物の技術を使った鐘。手のひらサイズだが、ずっしりとした重みがある。
会場には51のブースが設けられ、素材も形もさまざまな作品が並んでいた。こちらは津軽打刃物の技術を使った鐘。手のひらサイズだが、ずっしりとした重みがある。拡大

日本の伝統技術を世界へ

LEXUS NEW TAKUMI PROJECTは、まだ広く世に知られていない若手の職人・工芸家・デザイナーの才能を発掘し、彼らの新たなモノづくりが、ゆくゆくは世界レベルで戦えるようなプロダクトとして世に出るのを後押しするというもの。

2年目となる本年度の匠は総勢51人。制作にあたっては、昨年に引き続きスーパーバイザーを務めた、プロデューサーの小山薫堂さんや、サポートメンバーを務めた建築家の隈 研吾さんらが匠たちの工房に足を運び、直接アドバイスなどを行ってきたという。

今回、選ばれた「注目の匠」は木工や陶磁器を手がける作家など4人。
中でも、小山さんが注目したのは、桐のビアカップを発表した、和歌山県代表の伝統工芸士、東 福太郎さんだ。

小山さんは、「桐箪笥(きりだんす)職人さんが桐の魅力を発信するためにこのカップを作ったところがステキ。桐のカップから本業に興味がいくという素晴らしさに感動した」と講評。これを受け、東さんは「このプロジェクトを通じてたくさんの人に出会えたのが良かった。これを良い機会として桐箪笥業界をもっと盛り上げていき、先の世代にもつなげていきたい」と思いを語った。

スーパーバイザーとしてスピーチを求められた小山さんは、「(商談会場も兼ねるこの場で)去年よりもたくさんのプロダクトを買ってしまった」という自身の体験を交えつつ、「自分が使って、体感して、気持ちがいいと愛着を感じるものこそ、現代の“ラグジュアリー”。匠が愛着を持って作ったものが、愛のバトンを渡すように皆に渡っていくことが理想的だ」と提言。

さらに「10年後ぐらいに500人の匠が参加した1台のレクサスを作ってみるとか、何か値段のつけられないものを作って社会に生かすとか、いろんな展開があると思う。今後も発展し続けていく予感がする」と続け、このプロジェクトへの期待感をにじませた。

クルマへの展開も期待

サポートメンバーが選出した匠以外に、記者が特に注目した匠を紹介したい。

まずは、高知県代表の組子細工職人、岩本大輔さんだ。組子細工とは、釘(くぎ)を使わず、細かな木片を組み合わせて連続した幾何学模様を表現する、日本古来の伝統技術だ。障子や欄間、衝立(ついたて)などの建具に施される。
岩本さんは、その組子と樹脂を組み合わせることで強度や耐久性を備えた新たなハイブリッド素材を作り出し、その一部を使用した木製のバッグやカードケースなどを制作している。

「実家が建具屋で、僕は3代目にあたります。組子は、建具の最高峰の技術ですが、高価なため近年ではあまり使わなくなりつつあります。そこでもっとたくさんの人たちが手にしやすい身近なアイテムとして、今はファッション系の作品も手がけるようになりました。この新素材の開発により、曲面成形や自由な造形加工が可能になりました。今後は、インテリア、ファッション分野以外でも利用できる可能性を秘めているのではないかと期待しています」

大分県代表の竹藝家、麻生あかりさんが手がけるのは竹のアクセサリーだ。別府の伝統的工芸品である竹細工を教える学校で2年間竹工芸について学んだ。

室町時代に行商用の籠が作られたことが始まりとされる別府竹細工には、高度な“編組”技術が用いられ、美術工芸の道を切り開いたという歴史がある。

「生活用品を作る人が多い中で、新しいジャンルを開拓していきたいと思い、竹のアクセサリーブランドを立ち上げました。身に着けるものなので、重たいものは疲れてしまいますが、竹細工は軽いので、身に着けていても心地いいんですよ。これからもっとその良さが広がっていけば良いと思います」。

クルマ業界に目を向けると、今後は自動運転技術の進化にともない、インテリアデザインも大きく変化する可能性がある。自分で運転する必要がなくなれば、ステアリングやペダルは必要なくなるからだ。

岩本さんの手がけた組子は、透過性も高く、インパネやドアトリム、メーターまわりの部材として大きな可能性を感じさせる。
また、麻生さんの手がける竹細工の中には、アクリル樹脂と組み合わせたブートニエールも展示されていたが、竹とほかの素材を組み合わせることによって、クルマのインテリアのなかでもその魅力が生きてくるのではないか。

共に耐久性という点では検証が必要だが、今後のカーデザインを考えるうえでのヒントが隠されている。

今回のイベントでは「BEAMS JAPAN」とのコラボ企画が発表されたほか、来年度もこのプロジェクトが継続される、というニュースも飛び出した。500人で作る1台のレクサス、というのも夢ではないかもしれない。

(文と写真=スーザン史子)

株式会社 土佐組子 代表取締役の岩本大輔さん。手に持っているパネルは世界初の新しい試みとのこと。
株式会社 土佐組子 代表取締役の岩本大輔さん。手に持っているパネルは世界初の新しい試みとのこと。拡大
厚さ2mmほどの木の板を組み合わせて、正三角形のコマを作り、その中に葉と呼ばれる部品を入れて文様を作り出している。
厚さ2mmほどの木の板を組み合わせて、正三角形のコマを作り、その中に葉と呼ばれる部品を入れて文様を作り出している。拡大
岩本さんが出展した木製のバッグ。組子のデザインは岩本さんが考案したもの。
岩本さんが出展した木製のバッグ。組子のデザインは岩本さんが考案したもの。拡大
「竹はいろんな形に発展させていけるのが楽しい」と魅力を語る、ミカヰバンブー代表の麻生あかりさん。「これはバングルです。竹で華やかなものを作りたくて」。
「竹はいろんな形に発展させていけるのが楽しい」と魅力を語る、ミカヰバンブー代表の麻生あかりさん。「これはバングルです。竹で華やかなものを作りたくて」。拡大
バングルのほか、イヤリングや蝶ネクタイも展示されていた。竹ならではのしなりがアクセサリーに表情を与えている。
バングルのほか、イヤリングや蝶ネクタイも展示されていた。竹ならではのしなりがアクセサリーに表情を与えている。拡大
アクリル樹脂で固めて仕上げたブートニエール。クルマのスイッチ類にあしらっても映えそうだ。
アクリル樹脂で固めて仕上げたブートニエール。クルマのスイッチ類にあしらっても映えそうだ。拡大
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。