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第479回:雪道でも”安心と愉しさ”を!
「インプレッサ」&「XV」でONE DAY雪上ドライブ

2018.02.08 エディターから一言 大音 安弘
 
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新世代プラットフォーム「SGP(スバルグローバルプラットフォーム)」を採用した新型「インプレッサ」と「XV」による雪上試乗体験イベントが、冬の東北を舞台に開催された。雪に不慣れな筆者が雪道のドライブで感じた、最新スバル車の雪上性能についてリポートする。

SGPを初めて採用した5代目「インプレッサ」は2016年10月にデビュー。写真のハッチバック「インプレッサスポーツ」とセダン「インプレッサG4」がラインナップされる。
SGPを初めて採用した5代目「インプレッサ」は2016年10月にデビュー。写真のハッチバック「インプレッサスポーツ」とセダン「インプレッサG4」がラインナップされる。拡大
2017年5月に販売が開始された新型「XV」は、「インプレッサXV」と名乗っていた初代モデルから数えて3代目にあたる。エンジンは2リッターと1.6リッターをラインナップ。駆動方式は全車AWD(全輪駆動)となる。
2017年5月に販売が開始された新型「XV」は、「インプレッサXV」と名乗っていた初代モデルから数えて3代目にあたる。エンジンは2リッターと1.6リッターをラインナップ。駆動方式は全車AWD(全輪駆動)となる。拡大
車種によって4種類のAWDシステムを使い分けるスバル。「インプレッサ」「XV」には、燃費と安定性を重視した電子制御AWDシステム「アクティブトルクスプリットAWD」が採用されている。
車種によって4種類のAWDシステムを使い分けるスバル。「インプレッサ」「XV」には、燃費と安定性を重視した電子制御AWDシステム「アクティブトルクスプリットAWD」が採用されている。拡大

降雪地で特に人気の新型XV

SGPを最初に採用したインプレッサに続き、兄弟車ともいえるXVを投入したスバル。2017年の両モデル合わせた総販売台数は、前年比172.5%となる7万3171台を記録。2モデルの合計とはいえ、車名別の年間販売台数ランキングでも13位にランクインする人気ぶりだ。

インプレッサ、XVともに1.6リッターと2リッターをラインナップするが、販売の傾向としては、両車ともユーザーの約80%が2リッターモデルを選択。また駆動方式は、FWDとAWDの選択が可能なインプレッサでは、セダンの「G4」で57%、ハッチバックの「スポーツ」で53%と半数以上がAWD車を選んでいる。

新型XVの受注は全国平均で先代比255%と好調で、販売地域別に見ると、特に北海道、東北、北信越、北関東の東日本エリアで前年比約2.5~2.9倍と大幅に増加。降雪地でのユーザー拡大に成功している。これは1.6リッター車の新設定の効果が大きく、XVのエントリー価格を抑えることで、実用車としてのニーズに応えることができたようだ。

このように雪国でも人気を博する新世代スバルの試乗の舞台となるのは、岩手・安比高原をスタートし、十和田湖畔と八甲田山の山間部を通り抜け、JR新青森駅をゴールとする全長約190kmのコース。高速道路を含めた市街地走行が中心となる前半部と、十和田湖畔と八甲田山の峠道を中心とした後半部で、2モデルを乗り換えるというプログラムである。

スバル の中古車

雪上でもドライ路面のよう

われわれの相棒は、前半が「インプレッサスポーツ2.0i-S EyeSight」、後半が「XV 2.0i-S EyeSight」という“売れ線”の組み合わせ。両車ともAWDで、足元にはブリヂストン製のスタッドレスタイヤ「ブリザックVRX2」が装着されていた。このVRX2は、2017年9月に発売されたばかりの新型スタッドレスタイヤで、従来型の「VRX」比で氷上制動距離を10%短縮したのに加え、ロングライフ化と静粛性の向上を図っているのが特徴だ。ブリヂストンが「(北国で)2台に1台がブリザック」とうたう“雪国御用達スタッドレスタイヤ”の性能も試せるという趣向である。

ちなみに筆者は、雪の少ない関東出身のため、普段は雪が降るとクルマの利用を控えるほう。したがって、雪上ドライブの頻度は、1シーズンに数えるくらいでしかない。そのため出発前の心境は、楽しみ半分、不安半分といったところであった。

当日の天候は、穏やかな曇り空。雪上ドライブにはベストなコンディションだ。まずは安比高原から東北自動車道を目指し、市街地を行く。

いざ走り始めると、圧雪路もなんのその。インプレッサスポーツは加速時も路面をしっかりと捉え、減速時も雪上であることをほとんど意識させない。丁寧な操作を意識してはいたものの、まるでドライ路面のようにも思えてしまうほどの安定した走りに、筆者の不安も徐々に解消されていった。

まずは「インプレッサスポーツ2.0i-S EyeSight」に試乗。最上級グレードであるとともに、初期受注の3割強を占める“売れ線”モデルでもある。
まずは「インプレッサスポーツ2.0i-S EyeSight」に試乗。最上級グレードであるとともに、初期受注の3割強を占める“売れ線”モデルでもある。拡大
「インプレッサスポーツ」のインテリア。新型は空調性能の高さもセリングポイントのひとつ。SGPの採用に伴い空調ユニットの構造を見直すことで、冬季の快適性を大幅に向上させたという。
「インプレッサスポーツ」のインテリア。新型は空調性能の高さもセリングポイントのひとつ。SGPの採用に伴い空調ユニットの構造を見直すことで、冬季の快適性を大幅に向上させたという。拡大
今回の試乗車にはすべてブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX2」が装着されていた。
今回の試乗車にはすべてブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX2」が装着されていた。拡大

小坂町で“スバ鉄”を堪能する

高速道路に入ると、路面はウエットに。静粛性が気になるシチュエーションだが、ロードノイズは小さく、車内での会話と音楽を楽しめた。乗り心地の良さも特筆すべき点で、正直言って、先代モデルとの差はかなり大きい。ここでもSGPによる進化を実感させられた。もちろん、スタッドレスタイヤもいいアシストをしているのだろう。高速安定性も操舵時の感覚もコンフォートタイヤに近く、自然な感触。これなら降雪時以外の冬の日常シーンでも、運転時のストレスはないだろう。高速走行での新型インプレッサ×ブリザックの組み合わせは、文句なしだった。

東北道を降りて到着したのは、かつて鉱山で栄えた小坂町。今も、当時の街の反映を物語る、明治時代の豪華な欧風建築の小坂鉱山事務所が残されている。驚くべきことに、同じ頃建てられた日本最古の芝居小屋「康楽館(こうらくかん)」は、今なお現役で年間400公演ほどを興行しているという。

そんな小坂町には、スバルファンにはたまらない名所がある。それが「小坂鉄道レールパーク」だ。廃線となった小坂鉄道の駅と路線の一部を残した施設で、寝台特急「あけぼの」の車両を使用したホテルがあるほか、ディーゼル機関車の運転体験もできる、鉄道ファン必見の鉄道施設なのだが、ここにスバル(富士重工業)製の鉄道車両が動態保存されている。保線に活躍した軌道モーターカーが、「TMC100型」「TMC200型」「R105型」の3タイプあり、製造プレートには富士重工業製を示す「フ」の文字のエンブレムが輝く。スバル自身も、鉄道部門の車両は保存していないというだけに、貴重な存在だ。

天然秋田杉造り3階建てのオフィスビルである小坂鉱山事務所。手前の車両は「XV 1.6i-L EyeSight」。
天然秋田杉造り3階建てのオフィスビルである小坂鉱山事務所。手前の車両は「XV 1.6i-L EyeSight」。拡大
国の重要文化財にも指定されている芝居小屋「康楽館」の内部。1910年に建てられ、今なお現役で運営を続けている。
国の重要文化財にも指定されている芝居小屋「康楽館」の内部。1910年に建てられ、今なお現役で運営を続けている。拡大
TMC200型軌道モーターカーの取扱説明書。当たり前といえば当たり前なのでしょうが、鉄道にも”トリセツ”ってあるんですね。
TMC200型軌道モーターカーの取扱説明書。当たり前といえば当たり前なのでしょうが、鉄道にも”トリセツ”ってあるんですね。拡大
TMC200型軌道モーターカー。小坂鉄道のものは積雪地帯用に除雪用の排雪板を装備している。
TMC200型軌道モーターカー。小坂鉄道のものは積雪地帯用に除雪用の排雪板を装備している。拡大

雪の峠道でも不安なし

休憩を兼ね、“スバ鉄”を堪能した後は、十和田湖畔のチェックポイントで車両を乗り換える。八甲田越えの相棒は、XVだ。インプレッサとの最大の違いは、200mmの最低地上高。インテリアはほぼ同じだが、乗員のポジションが高くなるので、アップダウンやコーナーの多い峠道には、より視界が高くなる点も心強い。

八甲田へと向かう峠道は、十和田湖にそそぐ奥入瀬渓谷の脇を抜けていく景観の美しい道で、除雪もされ、走りやすかったが、標高が高くなるにつれて次第に道路は雪の壁に覆われ、路面も圧雪路へと変化していった。ところどころアイスバーンになっており、タイヤの滑りを感じられる場面も出てきた。それでもトランクションは安定していて、丁寧な運転を心がけていれば、何の不安もない。

雪道に不慣れなこともあり、コーナーで滑り、ややクルマの挙動を乱してしまう瞬間もあった。それでもいざとなればVDCが介入するので、スピンするような心配はない。ブレーキ時の挙動は常に安定しており、安心してブレーキを踏むことができたのも心強く、その点もバランスに優れたシンメトリカルAWDの特長といえるだろう。助手席も体験したが、やはりクルマの動きが常に安定しているのは、ドライバーだけでなく乗員の快適さとともに疲れの少なさにもつながると感じた。

雪の八甲田越えは、2リッターエンジンを搭載する「XV」の最上級グレード「XV 2.0i-S EyeSight」とともに。
雪の八甲田越えは、2リッターエンジンを搭載する「XV」の最上級グレード「XV 2.0i-S EyeSight」とともに。拡大
「XV 2.0i-S EyeSight」のインテリア。各所に施されるオレンジのステッチがXVの遊び心を演出している。
「XV 2.0i-S EyeSight」のインテリア。各所に施されるオレンジのステッチがXVの遊び心を演出している。拡大
新型「XV」はSUVとして十分な200mmの最低地上高を確保。また、雪道での発進時や急な下り坂などで4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールする「X-MODE」も、一部グレードを除き標準装備されている。
新型「XV」はSUVとして十分な200mmの最低地上高を確保。また、雪道での発進時や急な下り坂などで4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールする「X-MODE」も、一部グレードを除き標準装備されている。拡大
「XV 2.0i-S EyeSight」には、XVのラインナップで唯一18インチアルミホイールが装備される。
「XV 2.0i-S EyeSight」には、XVのラインナップで唯一18インチアルミホイールが装備される。拡大

もっと走っていたい

八甲田では酸ヶ湯温泉に立ち寄ってみた。ここは、硫黄の匂いも強く、酸性の泉質の個性的な温泉なのだが、混浴でも有名。そう聞くと、ちょっとドキッとするが、男女エリアも分かれており、一つの大きな湯船を共用しているだけだった。かなり湯けむりが濃く、すぐ近くしか見えないので、混浴感はさほどない。ただ、老夫婦が見えない相手に向かって声を張り上げて会話しているなど、なんともほのぼのした雰囲気があった。

新青森駅に到着し、一日がかりの雪上ドライブを終えたのは夕刻。2人で交互にドライブしたとはいえ、疲れは少なく、相棒となったXVとの別れが名残惜しかったのも、正直な感想である。そんな元気が残っていたのは、温泉の効能だけでなく、やはり旅の相棒がインプレッサスポーツとXVだったから。雪道に不慣れな筆者でも、もっと雪上を走っていたい気持ちにさせてくれた。

このところ、アイサイトばかりが話題になることが多いスバルだが、その実力が発揮できるのも優れた基本性能があってこそ。まさにSGPとAWDの組み合わせが生み出す新世代スバルの「安心と愉しさ」の魅力を肌で感じられた雪上ドライブだった。

(文=大音安弘/写真=スバル、大音安弘/編集=近藤 俊)

八甲田の主峰大岳の西麓に位置する酸ヶ湯温泉に立ち寄る。豊富な湯量を誇る酸性硫黄泉で、名物は「千人風呂」。
八甲田の主峰大岳の西麓に位置する酸ヶ湯温泉に立ち寄る。豊富な湯量を誇る酸性硫黄泉で、名物は「千人風呂」。拡大
八甲田周辺のワインディングロードを行く「XV」。加速時にも減速時にも、クルマの動きが常に安定していた。
八甲田周辺のワインディングロードを行く「XV」。加速時にも減速時にも、クルマの動きが常に安定していた。拡大
最終目的地である新青森駅に到着。ONE DAYドライブを終えた感想は「もっと雪上を走っていたかった」。
最終目的地である新青森駅に到着。ONE DAYドライブを終えた感想は「もっと雪上を走っていたかった」。拡大
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