第480回:より新しく、より若々しく
新型「メルセデス・ベンツAクラス」がいよいよ発進
2018.02.09
エディターから一言
拡大 |
独ダイムラーは2018年2月2日、オランダ・アムステルダムで新型「メルセデス・ベンツAクラス」を発表した。特設会場で行われた発表会は、世界30カ国、約450名の報道関係者が招かれ、ディーター・ツェッチェ会長をはじめとするボードメンバーがそろい踏みでプレゼンテーションを行うなど、新型Aクラスにかける並々ならぬ意気込みを感じさせるものだった。その模様をリポートする。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
発表の舞台にアムステルダムが選ばれた理由
オランダは日本人にとっては、チューリップと風車のイメージが強いが、今やその風車のノウハウは再生可能エネルギーに活用されている。北部沿岸には世界最大クラスの洋上風力発電所をもち、公共交通機関を再生可能エネルギーでまかなう取り組みを行うなど、自然エネルギーに関する先進国のひとつだ。
そのオランダの最大都市であるアムステルダムは、中央駅を基点に世界遺産にも登録されている運河が市内に網の目状に広がっており、数多くの水上バスや観光用ボートが行き交う。
この都市における交通手段のメインは自転車だ。車道、歩道、そして車道にも比肩するような広い自転車専用道路が整備された街並みは、見慣れない日本人にはとても驚きだ。ここに住む人たちの多くは、主として自転車、そして水上ボートや電車やバスといった公共交通手段で移動し、個人で所有する自動車はミニマルであることを望む。かくして街を走る乗用車の多くはAクラスのようなコンパクトカーになるというわけだ。
メルセデス・ベンツが新型Aクラスの発表の場にアムステルダムを選んだ理由は、「美術館や博物館などが多く、アートに熱心で若々しくモダンなイメージがAクラスにぴったり」というだけでなく、そうした都市交通のあり方も鑑みての選択だった。さらに言えば、駄じゃれだがAクラスとアムステルダムの「A」がかけられていたようだ。
注目を集める新しいマルチメディアシステム
アムステルダム中央駅の対岸にあるホテルから、会場までは水上バスで向かう。モダン建築としても有名なコンサートホール「ミュージックヘボウ・アアン・ヘット・アイ」を右手に見上げ、しばらくすると目的地に着いた。IJ(エイ)川沿いにあるかつての工場を改装した建物内は、この日すべてがAクラスのために埋め尽くされていた。
パワートレインやインテリアのカラートリム、開発テスト車両など、展示内容はいくつかのセクションに分かれていたが、中でも注目が高かったのは、新型Aクラスで初めて搭載される新しいマルチメディアシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」だ。
メーターパネルとナビ画面を組み合わせた、10.25インチ(モデルによっては7インチ)の2枚のディスプレイからなるそれは、何といってもその軽快な動作が印象的だ。従来の自動車のタッチスクリーンといえば、反応が鈍く操作にいらいらするものが大半だったが、まるで「iPhone」や「iPad」のように、ストレスなくさくさくと動く。3Dの地図画像も素晴らしい。これはダイムラー、BMW、アウディの3社が共同所有するHere社によるものだ。地図精度を高めたその先には、より高度な自動運転が見据えられている。
AIを活用した音声入力の機能も進化している。はやりのAIスピーカーよろしく「ヘイ、メルセデス」と声をかければ、エアコンを調整したり、好きな音楽をかけたり、さまざまな操作が可能だ。ちなみに「ヘイ、メルセデス。ちょっと冗談を言ってくれないか」と尋ねると、「わたしたちのエンジニアはドイツ人なので冗談は言えません」と返してくれるという。ちゃんとしゃれがきいている。またADAS(先進運転支援システム)の進化もすごい。「Eクラス」や「Sクラス」の先をいく機能が盛り込まれている。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
世代を経るごとに若返るクルマ
夜の7時に始まった発表会のオープニングには、ディーター・ツェッチェ会長が登壇。冒頭にこんな話をしていた。
「Aクラスには2つの原則がある。“Go first!”(一番乗り)と“Grow up!”(成長)だ。20年前、当時ESP(横滑り防止装置)はSクラスのみのテクノロジーだった。それを初代Aクラスは備えていた。エクステリアデザインにおいては、先代のAクラスはメルセデスの歴史において大きな変革を遂げた。“ファーストムーバー”の精神を持ち続けているモデルなのだ」
そして、ブラッド・ピットが80歳の状態で生まれ、年を取るごとに若返る人生を演じた映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を引き合いに、こう語る。
「Aクラスも年を取るごとに若返っていく、それはハリウッド映画のファンタジーではなく、現実のものだ。先代のAクラスは、欧州では60%以上が競合からの乗り換えであり、中国ではそのほとんどが初めてのクルマに選ばれている。フレッシュなデザインの新型Aクラスは、新たな顧客層に支持される“ファーストムーバー”なのだ」
スピーチのあと、ノルウェー出身の女性アーティストDagnyが登場し『Love you like that』を歌いあげると、白と赤、2台の新型Aクラスが観衆の目の前に現れた。
■新型「メルセデス・ベンツAクラス」発表の様子
シンプルなデザイン、高められた実用性、上位モデルを追い越す質感、先進的な装備内容。未試乗だけれど、好きにならずにはいられないほど魅力のつまったクルマであることは間違いなさそうだ。
(文=藤野太一/写真=藤野太一、ダイムラー/動画=ダイムラー/編集=堀田剛資)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

藤野 太一
-
第875回:キモは氷上性能! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイスプロ」を試す 2026.7.1 違いは氷の上で表れる! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE-Pro(ウインターマックス アイスプロ)」に、冬の北海道で試乗。氷上性能を徹底的に追求したという新製品の、パフォーマンスの一端に触れた。
-
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦 2026.6.27 世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。
-
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す 2026.6.19 2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。
-
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る 2026.6.6 相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。
-
第871回:今年もグリーンヘルは熱かった! ニュルブルクリンク24時間レース観戦記 2026.5.27 “世界一過酷な草レース”として知られ、今年も波乱が巻き起こったニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のフェルスタッペンも参戦するとあって、大いに盛り上がったその様子を、世界を飛び回るモータースポーツカメラマンが臨場感満点でリポートする。
-
NEW
電気自動車の人工的な走行音はどうあるべきか?
2026.7.21あの多田哲哉のクルマQ&AEVの走行時に車内で聞こえてくる人工的な“音”は、本来、どうあるべきなのか? やはり、疑似エンジン音が最適なのか? トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんの考えを聞いてみた。 -
NEW
アストンマーティン・ヴァンテージS(FR/8AT)【試乗記】
2026.7.21試乗記アストンマーティンの擁するFRスポーツ「ヴァンテージ」が、より高性能な「ヴァンテージS」に進化。よりたくましいエンジンを獲得し、卓越したコーナリング性能に磨きをかけつつ、“優しさ”も身につけた最新モデルの走りを報告する。 -
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。










































