フェラーリ812スーパーファスト(後編)

2018.06.21 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 「フェラーリ812スーパーファスト」の走りは、プロのレーシングドライバーである谷口信輝の目にどう映ったのか? 意外とも思えるその評価を、箱根のワインディングロードからお伝えする。

オトナのムードがただよっている

フェラーリのフラッグシップモデル、812スーパーファストをいつものように箱根のワインディングロードで試乗した谷口信輝。運転席から降り立つと、その伸びやかなデザインのボディーをしげしげと眺め始めた。

「外観は、フェラーリの割にはちょっとオトナな感じがしますね」 

フロントにV12エンジンを積んだ812スーパーファストは、スーパースポーツカーであると同時にグランドツアラー的な要素も備えている。しかも、フラッグシップなのだから威厳があって当然。そうした部分を指して谷口は「オトナ」と評したのだろうが、前作の「F12ベルリネッタ」に比べると、細部の処理を見直した影響でよりダイナミックな印象を与えるようになった。その説明に、谷口は次のように応えた。

「ああ、たしかにそうかもしれませんね。いずれにしても、一目でフェラーリとわかることだけは間違いありません。ところで、せっかくだからちょっとボンネットを開けてみませんか?」

スタッフが812スーパーファストの長いボンネットを開くと、その下からヘッドに赤い結晶塗装を施したV12エンジンが現れた。しかし、その位置はノーズの先端側から見るとはるか後方で、キャビンにめり込むようにして搭載されていることがわかる。

「エンジンは結構、遠いですね。なるほど、ノーズが長いのは、実はここのせいなんですね」 

 
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