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【スペック】全長×全幅×全高=3835×1690×1380mm/ホイールベース=2365mm/車重=1190kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(134ps/6750rpm、16.3kgm/4400rpm)/価格=255万円(テスト車=同じ)

ルノー・ウインド(FF/5MT)【試乗記】

さりげないホンモノ 2011.07.25 試乗記 竹下 元太郎 ルノー・ウインド(FF/5MT)
……255万円

「トゥインゴ」をベースに作られた2シーターオープンカー「ウインド」が日本に上陸。ルノースポールの手になるフレンチコンパクトの、第一印象をリポートする。
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「アウトソーシング」の第一弾

作り手が楽しいクルマを作ろうとしたことは、このスタイリングを見た瞬間からすぐにわかる。ベースはスモールカーの「トゥインゴ」だが、その面影はほとんどない。キャビンを小さく仕立て、ボディ後部をかつてのV8フェラーリのようなシュガースコップ型にして、ミドシップカーのようなデザインにまとめている。まるで、“だまし絵”のよう。エスプリが利いている。

開発はルノーのモータースポーツ部門であるルノースポールが行った。ルノースポールが開発し、ルノーブランドで売られる、いわば「アウトソーシング」プロジェクトの最初の例という。エンジンは「トゥインゴ ゴルディーニRS」に搭載される1.6リッター直4(134ps)で、組み合わされる5MTも同じものだ。ギア比と最終減速比も変わらない。

シャシーについても、スタビライザーやブレーキなど、トゥインゴ ゴルディーニRSと共通の部品が多く見られる。ただし70kg増加した車重を補いつつ、2シーターオープンらしいスポーティな走りを実現するために、スプリングとダンパーはウインド専用のチューニングになっている。方向性としては、スポーティでありながら、日常の使い勝手も考慮した、いくぶんソフトな「シャシースポール」セッティングに近い感触にまとめられているという。加えてステアリングのギア比も、トゥインゴ ゴルディーニRSよりスローな設定(15.9→16.5)とされている。

パワーユニットは、「トゥインゴ」の高性能版「ゴルディーニ ルノースポール(RS)」と共通で、1.6リッター直4+5MTのみ。
パワーユニットは、「トゥインゴ」の高性能版「ゴルディーニ ルノースポール(RS)」と共通で、1.6リッター直4+5MTのみ。 拡大
シートの後ろには、ちょっとした荷物を置くための小さな棚が設けられている。
シートの後ろには、ちょっとした荷物を置くための小さな棚が設けられている。 拡大
トランクルーム容量は270リッター。オープンカー(特にクーペカブリオレタイプ)の多くは屋根を開けると荷室容量が小さくなるが、「ウインド」はさにあらず。
トランクルーム容量は270リッター。オープンカー(特にクーペカブリオレタイプ)の多くは屋根を開けると荷室容量が小さくなるが、「ウインド」はさにあらず。 拡大
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いまどきのオープンカー

さっそくこのクルマの見どころのひとつである、電動ルーフを開けてみることにしよう。ルームミラーの近くにあるハンドル型のロックを右方向に回して外し、シフトレバーの前にあるスイッチを下げる。するとメーターに「ROOF OPENING」と表示され、キャビン後端を軸にしてルーフが起き上がる。これがぐるりと回転したら、トランクフードの下にきれいに収まり、ピーッという電子音が鳴ったら作業終了。その間わずか10秒ちょっと(メーカーいわく12秒)。とても速い。

一連の動作はかなり派手だが、時間が短いので、そのぶん周囲に対する気恥ずかしさみたいなものも少なくて済む。いや、これに気恥ずかしさを感じているようでは、ウインドに乗る資格はないのかもしれない。こういうことは、「みんな、ちょっと見て見て!」ぐらいの気持ちでやらないと。でも、筆者みたいなオヤジが「どやー」ってな顔でやるのは、もっと問題があるが……。

オープン時の開放感は、そこそこといった感じ。ウインドスクリーンが寝ていて、その上端(切り口)がドライバーの方に迫ってきており、またボディのサイドラインが比較的高いために、たとえばかつての「ユーノス・ロードスター」のような、危ういと表現できるまでのオープン感覚はない。“守られ感”が強い、いまどきのオープンカーである。

シートの背後にはバルクヘッドが迫ってきており、それが衝立(ついたて)になっているおかげか、走行風の巻き込みは少ない。サイドウィンドウを上げて走れば、髪の毛の乱れもだいぶ気にならなくなるはずだ。また、ルーフを開けているときに時折見せるウィンドウフレームの震えは、クローズ状態ではほとんど感じられなかった。これらは、タルガ的なオープンカーならではの美点といえそうだ。

ボディカラーは、写真のブルー・マジョレルM(青)のほか、ルージュ・ディナM(赤)、ブラン・グラシエ(白)、グリ・アルティカM(銀紫)の計4色が用意される。
ボディカラーは、写真のブルー・マジョレルM(青)のほか、ルージュ・ディナM(赤)、ブラン・グラシエ(白)、グリ・アルティカM(銀紫)の計4色が用意される。 拡大
ルーフは、ウインドシールド上部のレバーを回してロックを解除した後、センターコンソールのボタン操作で電動開閉が可能。開閉に要する時間は12秒と短い。
ルーフは、ウインドシールド上部のレバーを回してロックを解除した後、センターコンソールのボタン操作で電動開閉が可能。開閉に要する時間は12秒と短い。 拡大
ルーフの電動開閉ボタン。その両脇にあるのはパワーウィンドウのスイッチ。
ルーフの電動開閉ボタン。その両脇にあるのはパワーウィンドウのスイッチ。 拡大
画像をクリックすると、ルーフの開閉が見られます。
画像をクリックすると、ルーフの開閉が見られます。 拡大

走りはしっかりルノースポール

ウインドはスポーツカーか、それともスポーティカーか? その答えは、乗る人がクルマとの対話を通じて決めるべきだと思うが、筆者はどちらかといえば後者という印象を持った。その理由は、ひとつには着座位置が高いため。スポーツカーならもうちょっとダッシュボードの下に滑り込むような低いポジションをとりたいところ。もっとも、そうは言いながら、この体を包み込むような大ぶりで座り心地のいいシートは捨てがたいものがある。

一方でエンジンの印象は、当然ながらトゥインゴ ゴルディーニRSにとてもよく似ている。中低速のトルクに不満はないが、どちらかといえば回してこそ面白みが感じられるセッティングである。このエンジンの良さをより引き出すためには、やはり5段のMTでは少々力不足に思えた。もう1段ほしいところだ。4速から6速までをクロースさせても面白いだろうし、6速を高めに設定して「燃費ギア」にすればツーリングの能力も高まるだろう。

そしてウインドで感心させられたのは、小型車らしからぬスケール感の大きな足まわりである。路面の不整に対する“当たり”はマイルドでありながら、シャキッと締まってフラット感が高い乗り心地が演出されている。また、ルノースポールらしくチャキチャキと曲がれるが、ピーキー過ぎないテンポのいいハンドリングが実現されている。

ルノーとルノースポールのタッグで生まれた製品だけあって、ウインドはスポーティカーのツボを外してない気持ちのいい仕上がりを見せている。ウインドが本当に格好いいところは、これぐらいユニークなカタチにしておきながら、中身はさりげなくホンモノというところにあるように思う。

(文=竹下元太郎/写真=高橋信宏)

「ウインド」のインストゥルメントパネル。左ハンドルのみの設定となる。
「ウインド」のインストゥルメントパネル。左ハンドルのみの設定となる。 拡大
シートは、たっぷりしたサイズで座り心地も良好。ホールド性も悪くない。
シートは、たっぷりしたサイズで座り心地も良好。ホールド性も悪くない。 拡大

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