クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

第515回:横浜ゴムの最強オフロードタイヤ
「GEOLANDAR X-MT」で“泥遊び”を満喫!

2018.07.20 エディターから一言 生方 聡
泥濘(でいねい)をものともせずに走破する、「ヨコハマ・ジオランダーX-MT」を装着した「トヨタ・タンドラ」。
泥濘(でいねい)をものともせずに走破する、「ヨコハマ・ジオランダーX-MT」を装着した「トヨタ・タンドラ」。拡大

迫力満点のデザインと、それに負けない圧巻のオフロード性能が自慢。ヨコハマ製オフロードタイヤの頂点に君臨する「GEOLANDAR(ジオランダー)X-MT」がいよいよ日本に導入される。本場アメリカで鍛えられたその実力を、究極の“どろんこコース”で試した。

ヨコハマ製オフロードタイヤの中でも、特にデザインと走破性能に特化した「ジオランダーX-MT」。2018年秋の日本導入が予定されている。
ヨコハマ製オフロードタイヤの中でも、特にデザインと走破性能に特化した「ジオランダーX-MT」。2018年秋の日本導入が予定されている。拡大
日本に導入される3サイズの中でも、最も巨大な40×13.50R17サイズの「ジオランダーX-MT」。その外径は40インチ(約102cm)と、まさかのメートル超えである。
日本に導入される3サイズの中でも、最も巨大な40×13.50R17サイズの「ジオランダーX-MT」。その外径は40インチ(約102cm)と、まさかのメートル超えである。拡大
取材当日はまさかの雨! ヨコハマのスタッフに「わざわざコースの一部に泥濘路を用意していたのに、(コース全体が水びたしになってしまったので)意味がなくなっちゃいましたね」と言わしめるほどの“マッドテレイン日和”となった。
取材当日はまさかの雨! ヨコハマのスタッフに「わざわざコースの一部に泥濘路を用意していたのに、(コース全体が水びたしになってしまったので)意味がなくなっちゃいましたね」と言わしめるほどの“マッドテレイン日和”となった。拡大

シリーズ最強のオフロードタイヤ

横浜ゴムから届いた試乗会の“旅のしおり”には、「動きやすく、汚れてもいい服装・靴」を持参するよう指示があった。目的地は埼玉県川越市にあるオフロードコース。2018年秋に発売予定のジオランダーX-MTが、ここで試乗できるというのだ。

ジオランダーシリーズはヨコハマタイヤが1996年に発売したオフロードタイヤで、いまやすっかりおなじみの商品。このうち、オールシーズン(M+S)のラインナップとしては、オフロード性能を重視した“マッドテレイン”タイヤの「M/T」を筆頭に、“オールテレイン”の「A/T」、ハイウェイユースも考慮した“ハイウェイテレイン”の「H/T」、クロスオーバーや都市型SUV向けの「SUV」という4つがある。さらに、サマータイヤの「ブルーアース」や「アドバンスポーツ」にもSUV用サイズを設定して、世界的なSUVブームに対応している。

今回追加設定されるX-MTは、マッドテレインタイヤの「M/T G003」をさらに上回るオフロード性能を追求したタイヤで、「X-」は“エクストリーム”を意味している。つまり、X-MTはシリーズ最強のオフロード向けタイヤということになる。

すでに北米市場に投入済みのX-MT、日本では少し遅れて登場する予定。発売サイズは40×13.50R17 LT 121Q、37×13.50R17 LT 121Q、35×12.50R17 LT 121Qの3サイズで、実物を見るとその大きさに驚く。どんなクルマがこのジオランダーX-MTを履きこなすのか、すぐにはイメージできなかった。

ターゲットは輸入オフローダーユーザー

横浜ゴムの担当者によれば、本格的輸入オフローダーや輸入ピックアップをカスタマイズして楽しむユーザーがターゲットだという。リフトアップし、ごっついタイヤを履いたオフローダーをときどき街で見かけることがあるが、まさにそこがジオランダーX-MTの生きる世界なのである。

そういったユーザーの楽しみ方は、見た目重視のドレスアップから本格的なオフロード走行などさまざま。そこでジオランダーX-MTは、見た目のインパクトとオフロード性能の両面で、エクストリームな商品を目指したのだという。確かにジオランダーX-MTはその大きさだけでなく、見た目のワイルドさからも強烈な印象を受ける。

特にトレッドパターンがごっつい。さまざまな形をしたブロックは、岩をイメージしたデザインだという。そして、ジオランダーM/Tよりも溝面積を約10%増やすことで、泥地でのトラクションを向上させている。さらに、各ブロックの形状や配置を最適化することで、パターンノイズや減りを抑える工夫もなされているのだ。

サイドのデザインもなかなかアグレッシブだが、見た目だけでなく、この盛り上がったブロックが岩場などでのトラクション確保に重要な役割を示すのだという。さらに、専用コンパウンドの採用などにより、摩耗に強く、グリップが高く、パンクに強い製品に仕上がっている……というのが、作り手の主張である。

そのジオランダーX-MTを実際に試すことになるのだが、取材当日は幸か不幸か雨に見舞われ、オフロードコースはいつも以上に厳しいコンディションになった。新車の試乗が目的なら、おそらく取りやめになるくらいの悪条件だろう。

会場に展示されていた「ジープ・ラングラー」のカスタムカー。「ラングラーX-MT」のターゲットは、こうしたクルマを愛好する、ドレスアップユーザーや本気のオフロード野郎である。
会場に展示されていた「ジープ・ラングラー」のカスタムカー。「ラングラーX-MT」のターゲットは、こうしたクルマを愛好する、ドレスアップユーザーや本気のオフロード野郎である。拡大
岩をモチーフにしたというユニークなデザインのトレッドパターン。ワイドなラググルーブにより、オフロードでの高いトラクション性能と優れた排土性を実現している。
岩をモチーフにしたというユニークなデザインのトレッドパターン。ワイドなラググルーブにより、オフロードでの高いトラクション性能と優れた排土性を実現している。拡大
横まで回りこんだ凹凸により、泥濘路やサンド路ではトレッド面だけでなくサイド面でもトラクションが発生。もちろん視覚効果も抜群で、ヨコハマの説明員いわく「デザイナーは本当に楽しみながら仕事していたと思いますよ」とのこと。
横まで回りこんだ凹凸により、泥濘路やサンド路ではトレッド面だけでなくサイド面でもトラクションが発生。もちろん視覚効果も抜群で、ヨコハマの説明員いわく「デザイナーは本当に楽しみながら仕事していたと思いますよ」とのこと。拡大
試乗会では、横浜ゴムがサポートする塙 郁夫選手、新堀忠光選手によるアジアクロスカントリーラリー2018への参戦発表会も行われた。写真はデモランで豪快なジャンプを披露する競技車両。
試乗会では、横浜ゴムがサポートする塙 郁夫選手、新堀忠光選手によるアジアクロスカントリーラリー2018への参戦発表会も行われた。写真はデモランで豪快なジャンプを披露する競技車両。拡大

“泥遊び”って楽しい!

正直に白状すると、これほどの悪条件でオフロードを走行した経験がないし、そもそも、泥は未知の世界。なのにいきなり行けと言われても困るのである。しかも、試乗車は「トヨタ・タンドラ」と「ジープ・ラングラー」で、そのままでも手に余るサイズなのに、リフトアップされているからさらに大きく見える。乗り込むのも一苦労だ。

もちろん仕事なので逃げるわけにはいかない。意を決してまずはタンドラに。ヨコハマタイヤのスタッフが助手席で見守ってくれているのが、唯一の救いである。早速コースに入ると、一面泥だらけで、そこらじゅうが水たまりである。街乗りのSUVじゃ、あっという間にはまり込むんだろうなぁ……と思いながら、恐る恐るコースを進んでいくのだが、このタンドラとジオランダーX-MTの組み合わせでは、いとも簡単に行きたい方向にクルマを進めることができる。

絶対的な速度が高くないということもあるが、コーナーでステアリングを切ると「滑ってる!」という感じがほとんどないまま曲がってくれるし、上り坂でアクセルペダルを踏みつけても、しっかりと前に進んでいくのだ。雪道をスタッドレスタイヤで走るより安心感がある。

オフロード走行に少し身体が慣れてきたところで、今度はラングラーに乗り換える。タンドラとは別のコースを走ることになるが、コーナーでクルマが滑るのを感じながら、徐々にスピードを上げていくうちに、泥の走りが楽しくなってきた。バンク状のコーナーを駆け抜けたときの気持ちよさは、これまでに味わったことのないものだ。

ドレスアップからこの世界に入ったとしても、一度走ったら病みつきになりそうなオフロード走行。ジオランダーX-MTの実力を試すつもりが、もっともっとこの世界をのぞいてみたいと思ってしまった。

(文=生方 聡/写真=横浜ゴム/編集=堀田剛資)

オフロードコースへと進入する「トヨタ・タンドラ」。「ジオランダーX-MT」を装着したタンドラは、雨のせいで条件が悪化していたにもかかわらず、スリップしたり足を取られたりすることなく、ぐいぐいと進んでいく。
オフロードコースへと進入する「トヨタ・タンドラ」。「ジオランダーX-MT」を装着したタンドラは、雨のせいで条件が悪化していたにもかかわらず、スリップしたり足を取られたりすることなく、ぐいぐいと進んでいく。拡大
タイヤが半分つかるほどの水たまりエリアでは、マッドテレインタイヤが本領発揮。通常のSUV用タイヤはもちろん、オールテレインタイヤでもやすやすクリアとはいかなっただろう。
タイヤが半分つかるほどの水たまりエリアでは、マッドテレインタイヤが本領発揮。通常のSUV用タイヤはもちろん、オールテレインタイヤでもやすやすクリアとはいかなっただろう。拡大
後半の試乗では「滑りやすい登坂路の途中でわざと止まって、再発進」というイジワルも試してみたのだが、「ジオランダーX-MT」と「ジープ・ラングラー」のコンビはずるずると滑ることもなく、涼しい顔で坂を上り切って見せた。
後半の試乗では「滑りやすい登坂路の途中でわざと止まって、再発進」というイジワルも試してみたのだが、「ジオランダーX-MT」と「ジープ・ラングラー」のコンビはずるずると滑ることもなく、涼しい顔で坂を上り切って見せた。拡大
「ジオランダーX-MT」もすごかったのだが、それ以上に「オフロードって楽しい!」という印象が強く残った今回の試乗会だった。
「ジオランダーX-MT」もすごかったのだが、それ以上に「オフロードって楽しい!」という印象が強く残った今回の試乗会だった。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。