第529回:長野県の白馬村を舞台に誕生70周年を祝う
「70TH ANNIVERSARY JAPAN LAND ROVER DAY」
2018.10.18
エディターから一言
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「百聞は一見に如(し)かず」とはよく言ったもので、会場に足を運び実際にこのイベントに参加しなければ、おそらく日本のオーナーたちの情熱や愛情を一生理解することなく終わったかもしれない。場所は長野県の白馬村。そのイベントとは、ランドローバーのブランド誕生70周年を祝う「70TH ANNIVERSARY JAPAN LAND ROVER DAY」である。
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2018年の今年は70周年
ファンには今更の説明かもしれないが、ランドローバーは1948年に誕生したイギリスの自動車ブランドだ。同年4月、オランダはアムステルダムで開催されたモーターショーに「ランドローバー」という四輪駆動モデルを出展したことが、同ブランドの始まりだとジャガー・ランドローバー社は紹介している。よって2018年の今年は70周年、という計算である。
70周年といえば、昨2017年に70周年を迎えたフェラーリとほぼ同い年。「老舗の四駆メーカーっぽく思われているけど意外と歴史が浅いのね」と思ったアナタ、しかし、もともとは第1次世界大戦前の1904年に「ローバー8」を生み出した今はなきローバー社がルーツ。例えば、プジョーのように歯車の製造まで入れて200年の歴史……的なロジックで言えば、ルーツから数えるとちょうど今年が140周年という、倍の歴史的重みが加わる。
ランドローバーは、そのローバー社が開発した四輪駆動モデルだというのは前述の通りで、2015年に生産が終了し現在でも根強いファンを持つ「ディフェンダー」の源流だ。今でこそ「シリーズI」と呼ばれるが(それは後にシリーズII、IIIと進化していったからだ)、当時はこのランドローバーがそのまま車名でもあった。
小学生のころ、タミヤの「1/35MMシリーズ」にラインナップしていた「イギリス陸軍Special Air Service(SAS)ランドローバー・ピンクパンサー」(シリーズIがベースでボディーがその名の通りピンクなのだ)を、同じシリーズの「イギリスSASジープ」とともに何台も作り込み、勝手に一個小隊を編成し(片や戦後、片や戦中という史実を無視……というよりも全く知らなかった)悦に入っていたのは、今考えれば恥ずかし過ぎて誰にも言えない黒歴史である。
オフロード車乗りならたまらないプログラム
そんな個人的にして一方的な思い入れもあるランドローバーの70周年イベントとなれば、万難を排し参加するのがファン……いや、記者たるもの。早朝の上信越道にも、参加オーナーとおぼしき車両がちらほら。何度か渋滞に引っ掛かりながら到着した受け付けスタート時の8時半には、すでにメイン会場となった「エイブル白馬五竜IIMORI」(スキー場)の駐車場は、全国から集まったランドローバーで埋め尽くされていた。
このメイン会場ではランドローバーの最新ラインナップのほか、1978年式の初代「レンジローバー」も展示(前日夜中に自走で会場入りしたとか)され、両車ともスマホ片手に家族でインスタ映えを狙う参加者に人気だった。さらに、通常車両が乗り入れられないスキー場のゲレンデを愛車で走ることができる「ゲレンデ試乗」やステージ上でのトークイベントもこのメイン会場で開催され、終日人の波が切れることはなかった。
いっぽう、白馬のジャンプ台に近い会場では人工的に作られた「ミニテラポッド」と「ツインテラポッド」と名付けられたオフロード体験プログラム2つが、白馬大橋近くではプロインストラクターの運転で悪路の高速走行を体感可能な「オフロードタクシー」がそれぞれ行われ、こちらも行列ができるほどの人気を集めていた。
「ミニテラポッド」は片側の車輪が浮くような、大きなギャップを乗り越えることを想定した体験走行で、「ツインテラポッド」は、最大斜度43度の坂道を下るというもの。普段の走行ではほぼ使用することがないであろう、ヒルディセントコントロール(急勾配の坂道で、各車輪にブレーキをかけ一定の速度を維持しながら安全に坂道を下ることのできる電子デバイス。がれ場や滑りやすいオフロードでも有効で、ドライバーはステアリング操作に集中できる。ちなみにランドローバーの特許)の有効性を肌で感じ取ることができただろう。
日本のファンはレベルが高い
「オフロードタクシー」では、プロのキレキレのドライブを体感。ギャップのある砂ぼこり舞うオフロードコースを、普段は試せないようなスピードでガンガン走り、ランドローバーが70年培ってきた四駆のポテンシャルを存分に味わうことができた。列に並び同乗体験を味わったゲストは、プロの走りに驚き、荒れ地でのランドローバーのパフォーマンスに2度驚いたはずである。
これら3つの会場は無料シャトルバスで結ばれており、参加者はメイン会場に愛車を置いたまま自由に各会場を行き来できた。こうした参加者ケアも、プレミアムブランドらしい配慮といえそうだ。
午前中に一通りの会場を回り、ランドローバーの持つオフロードでのパフォーマンス、ランチの後のお楽しみは、メインイベントともいえるパレードランだ。新旧のランドローバーが整然と連なり、白馬の山々をバックに走るその姿は実に壮観だった。同じブランドのクルマに乗るもの同士、連帯感が生まれる瞬間でもある。きっとオーナーたちは、このパレードを胸に刻み込み、今以上に愛車を誇らしく思ったはずだ。
オフロードの機能性を突きつめて生み出されたランドローバー(シリーズI)は、時を経てレンジローバーを生み出し、オフロード性能とラグジュアリーという対極にある(と思われる)要素が両立することを1970年代にしてみせた。自動車界におけるその後の名声は、紆余(うよ)曲折の歴史もあれど、ご存じの通りである。
会場に駐車された全国各地のナンバーを掲げたランドローバー車や、家族と共に古いモデルをいかにも大切にし乗り続けているオーナー、そしてそれぞれのスタイルでモディファイしているディフェンダーなどを見ると、このブランドがいかに大勢のファンから愛され続けているのかが分かる。本国イギリスでも70周年を機にランドローバーのオーナーイベントが盛り上がっていると聞くが、(古いクルマの保有率では及ばないとしても)日本のイベントもなかなかどうして、いいカンジであったのである。
(文=櫻井健一/写真=荒川正幸/編集=櫻井健一)

櫻井 健一
webCG編集。漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームをリアルタイムで体験。『湾岸ミッドナイト』で愛車のカスタマイズにのめり込み、『頭文字D』で走りに目覚める。当時愛読していたチューニングカー雑誌の編集者を志すが、なぜか輸入車専門誌の編集者を経て、2018年よりwebCG編集部に在籍。
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