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第12回:BMW X2(後編)

2018.11.14 カーデザイナー明照寺彰の直言
「BMW X2」
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スポーティーな造形でありながら、意外なほどの居住性のよさも兼ね備えていた「BMW X2」だが、明照寺氏はひとつ引っかかる点があったという。今回はBMWの最新モデルを題材に、ボディーカラーの大切さと、色とデザイナーのお仕事の“内部事情”を開陳する。

「ガルバニックゴールド」で塗装された「BMW X2 MスポーツX」。2018年のデトロイトモーターショーでの世界初公開はもちろん、バンコクモーターショーでの右ハンドル仕様の発表でも、日本での初お披露目の際も、ステージに上げられたのはこのボディーカラーの車両だった。


	「ガルバニックゴールド」で塗装された「BMW X2 MスポーツX」。2018年のデトロイトモーターショーでの世界初公開はもちろん、バンコクモーターショーでの右ハンドル仕様の発表でも、日本での初お披露目の際も、ステージに上げられたのはこのボディーカラーの車両だった。
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ブラックのボディーカラーをまとう「X2 M35i」。欧州で発表されたばかりの「X2」のハイパフォーマンスグレードだ。
ブラックのボディーカラーをまとう「X2 M35i」。欧州で発表されたばかりの「X2」のハイパフォーマンスグレードだ。拡大
試乗記制作のためにwebCGが撮影した「BMW X2」。インポーターのBMWジャパンいわく、「広報車(取材撮影用の車両)はこの色しか用意しておりません」とのこと。さすがドイツのプレミアムブランド、イメージ管理が徹底している。(写真=向後一宏)
試乗記制作のためにwebCGが撮影した「BMW X2」。インポーターのBMWジャパンいわく、「広報車(取材撮影用の車両)はこの色しか用意しておりません」とのこと。さすがドイツのプレミアムブランド、イメージ管理が徹底している。(写真=向後一宏)拡大
「X2」の“元ネタ”であり、同じセグメントに属する小型SUVの「X1」。
明照寺:「『X2』は『X1』との違いが明確に打ち出しにくいから、派手な色を訴求色にして違うイメージを打ち出そうとしたんじゃないでしょうか」
「X2」の“元ネタ”であり、同じセグメントに属する小型SUVの「X1」。
	明照寺:「『X2』は『X1』との違いが明確に打ち出しにくいから、派手な色を訴求色にして違うイメージを打ち出そうとしたんじゃないでしょうか」拡大

“訴求色”はホントにこれでよかったの?

明照寺彰(以下、明照寺):もうひとつ、X2に関して気になったのは、イメージカラーです。

ほった:すんごい名前の、確か「ガルバニックゴールド」でしたっけ?

明照寺:最初に広告などでこのイエローを見たときは、あまり印象がよくなかったんです。なにかこう、とりとめのないデザインに見えてしまって。ところがディーラーで真っ黒のX2を見たら、非常にカッコよかった。

永福ランプ(以下、永福):色で印象がガラッと変わるなんて、なんだかシロートっぽい話な気がしてしまいますが(笑)。

明照寺:それはそうなんですけど(笑)、本当に、単純にそう感じてしまったんですよ。つまり「これは訴求色を間違えたんじゃないかな」と。

永福:そこでプロの目になる。

明照寺:X2は、もうちょっとシックなカラーで訴求した方がよかったんじゃないでしょうか。多分メーカーはポップなイメージにしたかったんだと思うんですけど、あのイエローではX2の魅力を表現し切れてないんじゃないかと。正直、デザインもあまりよく見えないじゃないですか。ところが黒とかシルバーだと、すごくスポーティーに見えた。

永福:私はイエローでも十分カッコよく見えましたけど……。

ほった:インポーターが持ってる取材撮影用のクルマは、すべてイエローでしたね。

永福:そう。X2はイエローで攻め切る! という、BMWの強い意志を感じた。

明照寺:前回の話にも関わってくるんですが、個人的には「X1」との違いというか、特別感がいまひとつ出せなかったので、訴求色はこういう元気なカラーにしたんじゃないかという気がしてしまうんですよ。

ほった:なるほど。

BMW X2 の中古車

デザイナーは色のことをあまり意識しない?

永福:確かにクルマにとって、ボディーカラーはとても重要ですよね。

明照寺:本当に重要です。私がX2に感じた印象も、イエローの写真を見た限りではあまりいいものではなかったのに、黒の実物を見たら非常にスポーティーで、スタンスもすごくしっかり感じて、カッコいいものになった。色のさじ加減が違うと、クルマって見え方がガラッと変わるんです。

永福:X2のイエローはともかく、たとえばフェラーリだと、どうしてもグリーンだけは受け付けない。そういうのってありますね。

ほった:さいです? 私はべつにグリーンでもいいなと思いますけど。

永福:キミは変態だから。デザイナーはやっぱりボディーカラーのことを考えながら、デザインしてるんですか?

明照寺:カラーはカラーで、造形を担当する人間とは別のカラーデザイナーがやっています。統括するのは同じ人間ですけど、実務としては離れています。

永福:明照寺さんがデザインするときは、色のことはあまり頭にない?

明照寺:加飾というか、例えばグリルの中に何か差し色を入れるとか、そういう時は考えますけど。そもそも、造形のときのボディーカラーは絶対的にシルバーなんですよ。

永福:そうなんだ!

明照寺:クレイモデルって、くすんだ茶色ですけど、そのままだとツヤがないのでフィルムを貼って確認するんです。そのフィルムがシルバー。シルバーが一番ニュートラルに形状が確認できるので、ほぼ全世界そうだと思います。造形担当はシルバーで形状確認するので、その前段階では基本的に色のことは考えないですね。

ブラックで塗られた「X2 M35i」のリアビュー。明照寺氏いわく、こちらの方がイメージがスポーティーなのに加え、特徴的なクルマの形状も分かりやすいとのこと。
ブラックで塗られた「X2 M35i」のリアビュー。明照寺氏いわく、こちらの方がイメージがスポーティーなのに加え、特徴的なクルマの形状も分かりやすいとのこと。拡大
永福:「緑色のフェラーリだけはどうしても受け付けないんだよねえ」
ほった:「こんなのありましたけど。ジャミロクワイのジェイ・ケイが注文した、特注の『ラ フェラーリ』だそうです」
永福:「……」
永福:「緑色のフェラーリだけはどうしても受け付けないんだよねえ」
	ほった:「こんなのありましたけど。ジャミロクワイのジェイ・ケイが注文した、特注の『ラ フェラーリ』だそうです」
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マツダのコンセプトカー「RX-VISION」のクレイモデル。写真の通り粘土そのものの色をしているので、仕上がりの確認はシルバーのフィルムでラッピングして行うという。
マツダのコンセプトカー「RX-VISION」のクレイモデル。写真の通り粘土そのものの色をしているので、仕上がりの確認はシルバーのフィルムでラッピングして行うという。拡大
 
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ほった:スケッチもやっぱりシルバーで描くんですか?

明照寺:商品のキャラクターによっては、あえて有彩色で描いたりすることはありますけどね。特に元気を入れたいモデルのときなんかは。

ほった:そういやX2のスケッチにも黄色がありましたね。「こんなキャラの立った色でスケッチすることもあるんだ」と思ったのを覚えてます。

明照寺:でも、クレイモデルに関しては基本的にシルバーです。フェラーリは赤色に塗って確認するというウワサもありますが。

永福:へえ~!

ほった:クレイを赤くしてるのはフェラーリぐらいですか?

明照寺:そう聞きましたけど、最近はわかんないですね。

永福:最近はフェラーリも、赤の販売比率が落ちてますしねぇ……。それにしても、BMWもメルセデスもものすごいニューモデル攻勢で、車種を減らそうなんていう気持ちはかけらも感じませんね。

明照寺:すき間、すき間に入れていくじゃないですか。すごいですよね。

ほった:「5シリーズ グランツーリスモ」はさすがにやめたと思ったんですけど、いつの間にか「6シリーズ」になって継続してたし。「8シリーズ」とか「X7」とか、より巨大な方のモデルもどんどん発表している。これだけ増えると、デザイナーさんも作り分けが大変なんじゃないですか?

明照寺:それもそうですけど、モデルをひとつ新規開発するのって、すごい開発費がかかるんです。これだけ広げるっていうのは、相当ですよ。

永福:「X2」みたいなすき間産業モデル(笑)でも、やっぱりかなりかかるわけですか?

明照寺:さすがにまるっきりの新型ほどじゃないですけど、それでも何百億円という単位にはなるんじゃないですか。

永福:それでも数を増やすんですね。日本のメーカーがモデル数を絞ろうとしているのとは、正反対ですね。

明照寺:やっぱりそれが、日本人のもったいない精神なのかもしれません(笑)。

(文=永福ランプ<清水草一>)

永福:「『X2』のデザインスケッチって、どんなのがあるの?」
ほった:「調べた感じだと、グレーやシルバー……。あと、やっぱりイエローがありましたね」
永福:「『X2』のデザインスケッチって、どんなのがあるの?」
	ほった:「調べた感じだと、グレーやシルバー……。あと、やっぱりイエローがありましたね」拡大
20年ぶりの復活を間近に控えた大型クーペ「8シリーズ」。フルサイズSUVの「X7」といい、最近のBMWは「すき間を埋める」だけではなく、これまでカバーしていなかった領域にもニューモデルを投入しようとしている。
20年ぶりの復活を間近に控えた大型クーペ「8シリーズ」。フルサイズSUVの「X7」といい、最近のBMWは「すき間を埋める」だけではなく、これまでカバーしていなかった領域にもニューモデルを投入しようとしている。拡大
「5シリーズ グランツーリスモ(以下GT)」の後継モデルとして登場した「6シリーズGT」。現在「6シリーズ」には「クーペ」「カブリオレ」「グランクーペ」「GT」と4種類のモデルがラインナップされている。
「5シリーズ グランツーリスモ(以下GT)」の後継モデルとして登場した「6シリーズGT」。現在「6シリーズ」には「クーペ」「カブリオレ」「グランクーペ」「GT」と4種類のモデルがラインナップされている。拡大
 
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明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

さまざまな自動車のデザインにおいて辣腕を振るう、現役のカーデザイナー。理想のデザインのクルマは「ポルシェ911(901型)」。

永福ランプ(えいふく らんぷ)
大乗フェラーリ教の教祖にして、今日の自動車デザインに心を痛める憂国の士。その美を最も愛するクルマは「フェラーリ328」。

webCGほった(うぇぶしーじー ほった)
当連載の茶々入れ&編集担当。デザインに関してはとんと疎いが、とりあえず憧れのクルマは「シェルビー・コブラ デイトナクーペ」。

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