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BMW X2 xDrive20i Mスポーツ(4WD/7AT)

こう見えてフレンドリー 2024.06.03 試乗記 生方 聡 フルモデルチェンジした「BMW X2」が上陸。まずは2代目のエントリーモデルに位置づけられるガソリンエンジン車「X2 xDrive20i Mスポーツ」をロングドライブに連れ出し、大きく変貌を遂げた内外装の仕上がりと走りの進化を確かめた。
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クーペらしいたたずまい

ご存じのとおり、BMWは自社のSUVを、「SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)」、または、「SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)」と呼んで他と差別化を図っている。SUVらしい存在感のあるデザインが特徴のSAVに対して、エレガントなルーフラインを持つクーペスタイルが魅力なのがSACで、SAVはモデル名が“X+奇数”、SACは“X+偶数”というのもすっかりおなじみである。

X2は、コンパクトSUVクーペにあたるモデルで、初代がデビューしたのは2018年のこと。SUVとしては低めの全高を特徴としていたが、ルーフラインを見るかぎり、それほどクーペらしくないというのが正直な感想だった。

そんなX2が2023年10月、フルモデルチェンジにより2代目に進化した。初代から一変して、伸びやかなファストバッククーペスタイルを採用。SACの名にふさわしい変身を遂げたのが、この新型の一番のハイライトではないだろうか。

リアオーバーハングが伸びたこともあり、新型X2の全長は旧型に対して180mm拡大して4555mmに。全高も40mm増えて1575mmになり、残念ながら“日本の一般的な機械式駐車場にも収まるボディーサイズ”という初代の特徴は受け継がれなかった。

しかし、新旧どちらのデザインが好きかと聞かれれば、私なら迷うことなく新型と答えるだろう。

2023年10月25日、ジャパンモビリティショーの会場において日本導入がアナウンスされた新型「BMW X2」。今回はエントリーモデルに位置づけられる「X2 xDrive20i Mスポーツ」に試乗した。
2023年10月25日、ジャパンモビリティショーの会場において日本導入がアナウンスされた新型「BMW X2」。今回はエントリーモデルに位置づけられる「X2 xDrive20i Mスポーツ」に試乗した。拡大
新型「X2」のリアビュー。クーペライクなシルエットと筋肉質なショルダーライン、矢印をモチーフとしたリアコンビランプデザインなどが従来型とは異なる特徴だ。
新型「X2」のリアビュー。クーペライクなシルエットと筋肉質なショルダーライン、矢印をモチーフとしたリアコンビランプデザインなどが従来型とは異なる特徴だ。拡大
エッジの効いたキドニーグリルの両側に、マトリクスハイビーム付きのアダプティブLEDヘッドランプを配置。「X2」のCd値(空気抵抗係数)は0.27と、SUVとしては優秀な空力特性を誇る。
エッジの効いたキドニーグリルの両側に、マトリクスハイビーム付きのアダプティブLEDヘッドランプを配置。「X2」のCd値(空気抵抗係数)は0.27と、SUVとしては優秀な空力特性を誇る。拡大
ルーフから流れるようなファストバックフォルムが、「X4」や「X6」とのつながりを感じさせる。ブラインド付きパノラマガラスサンルーフは17万2000円のオプションアイテム。
ルーフから流れるようなファストバックフォルムが、「X4」や「X6」とのつながりを感じさせる。ブラインド付きパノラマガラスサンルーフは17万2000円のオプションアイテム。拡大
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まずはエンジン車から

2023年10月のジャパンモビリティショーでモーターショーデビューを飾った新型X2。その会場では、電気自動車(BEV)の「iX2」も同時にお披露目となった。その際、エンジン車のX2が2024年の第1四半期以降、iX2が同第2四半期以降の納車予定であることが発表されている。この順番どおり、まずはX2が上陸を果たし、さっそく国内試乗がかなったというわけだ。

日本では2リッター直4ガソリンターボを搭載するxDrive20iと高性能バージョン「M35i xDrive」の2グレードが設定される。最高出力は前者が204PS、後者が317PSと大きな差があり、このうち今回は販売の中心と目され、エントリーモデルという位置づけでもある前者のDrive20i Mスポーツを試すことにした。

エクステリアではひとあし先にデビューした「X1」同様、このX2でもグリップタイプのドアハンドルに代えて、ドアパネルと一体化が図られたフラッシュハンドルが用いられているのも特徴のひとつ。これにより空力特性の向上を狙っているのは言うまでもない。

ドアを開けて運転席に収まると、明るくスタイリッシュなインテリアが視界に飛び込んでくる。試乗車にはメーカーオプションの「ハイラインパッケージ」が装着され、グレーとホワイトのコンビネーションがおしゃれなヴェガンザ(合成皮革)シートをはじめ、ダッシュボードのアルミパネルやharman/kardonスピーカーのアルミメッシュパネルなどが、目を楽しませてくれる。

日本仕様の「X2 xDrive20i Mスポーツ」は全長×全幅×全高=4555×1845×1575mm、ホイールベースは2690mm。写真のボディーカラーは「ファイヤーレッド」と呼ばれるもの。
日本仕様の「X2 xDrive20i Mスポーツ」は全長×全幅×全高=4555×1845×1575mm、ホイールベースは2690mm。写真のボディーカラーは「ファイヤーレッド」と呼ばれるもの。拡大
フロントに横置きされる2リッター直4ガソリンターボエンジンは最高出力204PS/5000rpm、最大トルク300N・m/1450-4500rpmを発生。7段DCTと組み合わされる。
フロントに横置きされる2リッター直4ガソリンターボエンジンは最高出力204PS/5000rpm、最大トルク300N・m/1450-4500rpmを発生。7段DCTと組み合わされる。拡大
メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させた「BMWカーブドディスプレイ」が目を引くコックピット。基本デザインは先に登場した「X1」に準じている。
メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させた「BMWカーブドディスプレイ」が目を引くコックピット。基本デザインは先に登場した「X1」に準じている。拡大
「HiFiスピーカーシステムharman/kardon」は、ハイラインパッケージに含まれるオプションアイテム。ダッシュボードのアルミパネルやスピーカー部のアルミメッシュパネルなどが、高級感を演出している。
「HiFiスピーカーシステムharman/kardon」は、ハイラインパッケージに含まれるオプションアイテム。ダッシュボードのアルミパネルやスピーカー部のアルミメッシュパネルなどが、高級感を演出している。拡大

X1ゆずりのコックピット

コックピットは、メーターパネルとセンターディスプレイを一体化した横長の「BMWカーブドディスプレイ」や、片持ちのセンターアームレストなど、基本的にはX1と共通のデザインで、すっきりとまとまった印象である。

一方、リアウィンドウを通した後方視界は低い位置があまり見えず、また、リアピラーの面積も広いことから斜め後ろも見にくい。もちろん、サラウンドビューシステムによってクルマの周囲を確認できるが、直接見ることができないのはやはり不安である。

スタイリング重視で不便なところがいろいろあるのは、ある意味クーペらしいなぁ……などと、昔乗っていた愛車を懐かしみながら、センターコンソールに備わる小さなスイッチでDレンジを選んでアクセルペダルを踏むと、X2は軽々と動きはじめる。

1690kgの車両重量に対して、この2リッター直4ターボは低回転から十分な速さをみせ、一般道でもストレスのない運転が楽しめる。

一方、最高出力204PS、最大トルク300N・mという2リッター直4ガソリンターボのスペックから想像できるとおり、圧倒的な加速こそないものの、その気になってアクセルペダルを深く踏み込めば乾いたサウンドが高まり、Dレンジでも6000rpm超、マニュアルモードならレブリミットの6500rpmまで引っ張ることができるのがうれしいところ。ブースト機能を起動すれば10秒のあいだ(メーターパネルにはカウントダウンも表示される)、より素早い加速が味わえる。

「X2 xDrive20i Mスポーツ」には、親指の輪郭に合わせたサムレストが備わるウォークナッパレザー仕立ての「マルチファンクションMスポーツレザーステアリングホイール」が標準で装備される。
「X2 xDrive20i Mスポーツ」には、親指の輪郭に合わせたサムレストが備わるウォークナッパレザー仕立ての「マルチファンクションMスポーツレザーステアリングホイール」が標準で装備される。拡大
アトラスグレーとスモークホワイトのコンビ表皮カラーを採用する写真の「パーフォレーテッドヴェガンザシート」は、オプションの「ハイラインパッケージ」装着車のみで選択できる。
アトラスグレーとスモークホワイトのコンビ表皮カラーを採用する写真の「パーフォレーテッドヴェガンザシート」は、オプションの「ハイラインパッケージ」装着車のみで選択できる。拡大
後席の背もたれは40:20:40の3分割可倒式で、個別にリクライニングが可能。頭上に窮屈さはなく、大人でも快適に過ごせるスペースが確保されている。ただしリアピラーの面積が広く、運転席から斜め後ろは見にくい。
後席の背もたれは40:20:40の3分割可倒式で、個別にリクライニングが可能。頭上に窮屈さはなく、大人でも快適に過ごせるスペースが確保されている。ただしリアピラーの面積が広く、運転席から斜め後ろは見にくい。拡大
快適性と操舵性を大幅に向上させる「アダプティブMサスペンション」を搭載。低速では目地段差を通過する際にショックを伝えがちだが、速度が上がるにつれてそういった点は気にならなくなる。
快適性と操舵性を大幅に向上させる「アダプティブMサスペンション」を搭載。低速では目地段差を通過する際にショックを伝えがちだが、速度が上がるにつれてそういった点は気にならなくなる。拡大

スポーティーな身のこなし

BMWのXモデルといえば、オンロード性能の高さが自慢だが、このX2も期待を裏切らない。標準で245/45R19サイズのタイヤが装着されるxDrive20i Mスポーツは、低速では乗り心地の硬さが目立ち、目地段差を通過する際のショックも伝えがちだが、速度が上がるにつれてそういった点は気にならなくなる。

一方、コーナーではロールがきっちりと抑えられ、安定した姿勢のままスポーティーに駆けぬけられる。その走りは、実に爽快である。セダンやハッチバックに比べるともちろん少しアイポイントは高いが、それを除けばSUVを運転していることを忘れてしまうほどだ。

クーペスタイルだけに、室内の広さが気がかりだったが、後席は足元が広く、余裕で脚が組める。頭上にも窮屈さはなく、大人でも快適に過ごせるスペースが確保されているのはうれしい。ラゲッジスペースも4555mmの全長にふさわしい広さ。さらにフロアボード下に深さ20cmほどのスペースもあり、収納には困らないだろう。

このように、スタイリッシュなクーペデザインを採用しながら、BMWらしい爽快な走りと、高い実用性を兼ね備えたX2。手ごろなサイズのファミリーカーとしても、先代以上に注目を集めそうだ。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

ダークグレーの「Mライトアロイホイール ダブルスポークスタイリング871Mバイカラー」と呼ばれる19インチアルミホイールを標準で装備。今回の試乗車は245/45R19 サイズの「ピレリPゼロ」タイヤを組み合わせていた。
ダークグレーの「Mライトアロイホイール ダブルスポークスタイリング871Mバイカラー」と呼ばれる19インチアルミホイールを標準で装備。今回の試乗車は245/45R19 サイズの「ピレリPゼロ」タイヤを組み合わせていた。拡大
ラゲッジスペースは4555mmの全長にふさわしい広さ。後席使用時の荷室容量は560リッター、リアシートをすべて前方に倒せば最大1470リッターに拡大することが可能だ。
ラゲッジスペースは4555mmの全長にふさわしい広さ。後席使用時の荷室容量は560リッター、リアシートをすべて前方に倒せば最大1470リッターに拡大することが可能だ。拡大
左のシフトパドルを長引きすることで、すべてのパワートレインとシャシーシステムを最もスポーティーな設定に切り替えられる「Mスポーツブースト機能」が備わる。
左のシフトパドルを長引きすることで、すべてのパワートレインとシャシーシステムを最もスポーティーな設定に切り替えられる「Mスポーツブースト機能」が備わる。拡大
コーナーではロールがきっちりと抑えられ、安定した姿勢のままスポーティーに駆けぬけられる。その走りは実に爽快。アクセルペダルを深く踏み込めば乾いたサウンドが高まり、マニュアルモードなら6500rpmまで引っ張ることができる。
コーナーではロールがきっちりと抑えられ、安定した姿勢のままスポーティーに駆けぬけられる。その走りは実に爽快。アクセルペダルを深く踏み込めば乾いたサウンドが高まり、マニュアルモードなら6500rpmまで引っ張ることができる。拡大

テスト車のデータ

BMW X2 xDrive20i Mスポーツ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4555×1845×1575mm
ホイールベース:2690mm
車重:1670kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:204PS(150kW)/5000rpm
最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1450-4500rpm
タイヤ:(前)245/45R19 102Y XL/(後)245/45R19 102Y XL(ピレリPゼロ)
燃費:12.8km/リッター(WLTCモード)
価格:628万円/テスト車=669万3000円
オプション装備:ボディーカラー<ファイヤーレッド>(0円)/パーフォレーテッドヴェガンザ<アトラスグレー/スモークホワイト>(0円)/ハイラインパッケージ<運転席アクティブシート、HiFiスピーカーシステムharman/kardon、シートマテリアル&カラー、インテリアトリム>(24万1000円)/パノラマガラスサンルーフ<ブラインド付き>(17万2000円)

テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:1413km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:275.9km
使用燃料:21.5リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:12.8km/リッター(満タン法)/12.5km/リッター(車載燃費計計測値)

BMW X2 xDrive20i Mスポーツ
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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