ベントレー・コンチネンタルGTファーストエディション(4WD/8AT)
最もクールなベントレー 2018.11.29 試乗記 新開発された「MSB」プラットフォームを採用する新型「ベントレー・コンチネンタルGT」の実力を探るべく、高速道~ワインディングロードへと連れ出した。一新されたシャシーと4WDシステムは、ラグジュアリー2ドアクーペにどんな走りをもたらすのか?サイズはさほど変わっていないが……
一見すると、かなり長く幅広く、そして低くなったように思える新型ベントレー・コンチネンタルGTだが、実際のボディーサイズは、全長×全幅×全高=4880×1965×1405mmというもので、先代より60mm長く、20mm幅広くなったにすぎない。
全高は5mm低くなっているものの、先代の「S」や「スピード」はスタンダードよりも10mm低かったので、それに比べるとむしろわずかながら高くなったことになる。それでも、従来型コンチネンタルを大きな手で押しつぶしたように低く見えるのは、先代に比べてフロントアクスルの位置が135mm前方に移動され、それに伴ってホイールベース(2850mm)が先代比105mm延びたことが最大の理由かもしれない。
さらにはツルンとした、クリーンなパネル面処理の効果もあるだろう。武骨と言ってはちょっと失礼かもしれないが、威風凛然(りんぜん)とした逞(たくま)しさがベントレーの特徴だったと思うが、新型は“シュッとした”感じに変身した。
ベントレーにとっては気分のいいことではないかもしれないが、そのクールでスマートなスタイルには、正直、なんとなくアウディの匂いが漂っているように感じるのである。新型「ポルシェ・パナメーラ」と同じく、フォルクスワーゲン・アウディグループの最新プレミアムプラットフォームであるMSBを採用しているという事実を知ったうえで見ているからかもしれないが。
デュアルインジェクション化でさらにパワフルに
3世代目となる新型コンチネンタルGTは、エンジンもハンドリングもとにかくスムーズかつスマートで現代的に洗練されているのが印象的だ。フォルクスワーゲン由来の6リッターW12ツインターボは、ポート噴射に加えて筒内への直噴も併せ持つデュアルインジェクションを採用、さらにパワーアップして最高出力635ps/6000rpmと最大トルク900Nm/1350-4500rpmを発生するに至っている(従来型W12は590psと720Nm。ただし高性能版のスピードは642psと840Nm、「スーパースポーツ」は710psと1017Nmを発生)。
ベントレーの高性能GTクーペとはいっても、現代の新型車は効率アップが至上命令であり、このエンジンにも気筒休止システムやアイドリングストップ、コースティング機能など燃費向上を狙ったシステムが搭載されているのは言うまでもない。さらに先代に比べて80kg以上の軽量化も図られているという。
そのいっぽうで、新たに採用された8段DCTの、電光石火の変速を生かして0-100km/h加速は3.7秒、最高速は333km/hに達するという。先代の最終発展型高性能モデル、スピードでも4.1秒と331km/hだったから、最初からそれを上回っているというわけだ。
ごく普通に走っている限り、6リッターW12ツインターボは巨大なエンジンであることを感じさせないほど、スルスルと静かに回る。これまでよりもずっと低い1350rpmから900Nmもの最大トルクを生み出すおかげで、2.2t以上もある車重を意識することはないと言っていい。
ただし、新型では同じ8段ATながらトルクコンバーターではなく、デュアルクラッチ式を採用したゆえに、歩むような低速域では時としてガクンとショックを感じることもあった。鋭く切れのいいシフト(および効率向上)を狙ってのDCT採用だろうが、まったり流したいような舞台ではトルコンATのほうがやはりふさわしいかもしれない。
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一気に現代風になったコックピット
インテリアは従来通り豪勢なウッドパネルとレザーに包まれているが、増えたタッチスイッチやフルデジタル式になったメーターなどのせいで、ドライバーズシートに座って感じる雰囲気は一気に現代風に様変わりしている。
ダッシュ中央には3種類の面を切り替えられる回転式の液晶ディスプレイ(くるりと回ってアナログメーターを表示することもできる)が備わるが、ドライバー正面のデジタルメーターにも必要な情報を表示できるのだから、どうせならエンジン停止中だけでなく、走行中もウッドパネル面を選べるようにしてほしかった。
ちょっと気になったのはルームミラーを通じて見る後方視界が限られること。大きく傾斜がついたリアウィンドウのせいで“画角”は細長く薄く、ミドシップカーと同程度の大きさである。
また、ドライバー側の斜め前方下が見にくいことも難点だ。スカットルのラインが高く、大きく寝かされたAピラーと巨大なドアミラーが邪魔をして、直前の斜め下方視界が遮られるのである。街角の交差点にある予想外の縁石、あるいは狭い山道の路肩などには注意したほうがいい。
最も軽快なベントレー
重厚なグランドツアラーを想像していると、きついコーナーでもスイッと長いノーズがイン側に寄る機敏な扱いやすさに驚くはずだ。従来型のV8モデルも軽快感にあふれていたが、W12搭載のベントレーではこれまでで最も軽快、シャープに操れる。
新型コンチネンタルGTは新たな4WDシステムを採用。通常はほぼ後輪駆動で、必要な場合だけ前輪にも駆動力を配分するシステム(最大38%をフロントに配分するという)を採用したほか、48V電源でロールを制御する「ベントレー・ダイナミックライド」とトルクベクタリング、および各輪に3個のチャンバーを持つ(したがってスプリングレートも可変)エアサスペンション+電子制御可変ダンパーなど、最新メカニズムを満載している。
舗装が荒れた田舎道では時折ガツン、というちょっと直接的すぎる突き上げを感じる瞬間もあったが、スピードが増せば見事なフラットライドに変わる。高速道路では文句なしの、いかにも屈強なスタビリティーを発揮するのである。
かつての骨っぽさが恋しくないと言ったらうそになるが、さらに扱いやすく変身し、怪力無双の腕っぷしをもっとずっと奥に隠し、アウディ流の完璧主義が染み込んだ新型コンチネンタルGTがより多くのドライバーに歓迎されるのは間違いないだろう。
(文=高平高輝/写真=荒川正幸/編集=櫻井健一)
テスト車のデータ
ベントレー・コンチネンタルGTファーストエディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4880×1965×1405mm
ホイールベース:2850mm
車重:2260kg
駆動方式:4WD
エンジン:6リッターW12 DOHC 48バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:635ps(467kW)/6000rpm
最大トルク:900Nm(91.8kgm)/1350-4500rpm
タイヤ:(前)275/35ZR22 104Y/(後)315/30ZR22 107Y(ピレリPゼロ)
燃費:12.2リッター/100km(約8.2km/リッター、欧州複合サイクル)
価格:2568万円/テスト車:3124万7200円
オプション装備:シティースペック(70万2200円)/ツーリングスペック(109万8400円)/ムードライティングスペック(26万4200円)/21インチ10本スポークアロイホイール<ペイント仕上げ>(21万4500円)/オプションペイント<ソリッド&メタリック>(79万7700円)/ブライトクロムロワーバンパーマトリクス(16万7500円)/3本スポークデュオトーンステアリングヒーター(13万3100円)/フロントシートコンフォートスペック(46万9800円)/Bang & Olufsen for Bentley(88万6500円)/Bentleyローディングディスプレイ(83万3300円)
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:3094km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:334.4km
使用燃料:48.4リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:6.9km/リッター(満タン法)/7.0km/リッター(車載燃費計計測値)

高平 高輝
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