第129回:引きこもれ! 中年カーマニア
2019.03.26 カーマニア人間国宝への道DB11にヤラレタ!
「フェラーリ488GTB」のV8ターボよりも、「ウルス」のアウディ製V8ターボの方がはるかに気持ちイイ……。それは、大乗フェラーリ教開祖を名乗る者としては天地がひっくり返るような衝撃だったが、是非もなし。
もはや私も、「現代の高効率なターボを気持ちよくさく裂させるノウハウに関しては、ドイツ勢の方がはるかに熟練している」と確信するに至った。もちろん低効率の古いターボは別ですが。R32「スカイラインGT-R」とか「F40」とか。
その確信をさらに深める事件が、先日発生いたしました。それは、「アストンマーティンDB11」のV8ターボモデルです。
DB11に関しては、歴代アストンマーティンの中でも一番デザインが美しいかも!? 生ツバごっくん! と思っておるのですが、残念ながらそのパワーユニットは、時代の流れに逆らえず、伝統のV12にターボをかませている。
アストンの自然吸気V12は、フェラーリの自然吸気エンジンに勝るとも劣らない快楽発生装置だったが、V12ターボの方は、フェラーリV8同様、パワーや燃費(測ってませんが)と引き換えに快楽が大幅に減少。突き抜けるヨコロビは自然吸気比10分の1、みたいな感じだった。
ところが! 同じDB11のV8ターボモデルは、猛烈に気持ちよかったのである。
DB11のV12ターボは、全域で「ボボボボボ~」みたいな、くぐもったどうでもいい感じの重低音を発していたが、一転V8ターボは「バオン! バオン! バババババパンパンパン!」という、いかにもレーシングターボでございます、という突き抜け感に満ちていた。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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