ボルボV60クロスカントリーT5 AWDプロ(4WD/8AT)
北欧のサラブレッド 2019.06.12 試乗記 スタイリッシュなワゴンボディーに、頼もしい悪路走破性能をプラスした「ボルボV60クロスカントリー」。スポーティーでクール、かつオーセンティックなワゴンとしての資質も備えた万能車を、リポーターがすんなりと受け入れられなかった理由とは?青色吐息のワゴンを尻目に
セダンの居住性をそのままに、積載性を高めたステーションワゴン。SUV台頭の陰で、そのニーズが徐々に減りつつあるのはご存じの通りだ。アメリカ市場では“デトロイト3”に新車の取り扱いはないに等しく、既に壊滅状態。欧州市場ではさすがに各社C~Eセグメントにそれを取りそろえているが、選択肢的に勝るSUVが取って代わるのは時間の問題だろう。
その欧州市場で、にわかに注目を集めているのがこのボルボV60クロスカントリーのような、ステーションワゴンの地上高を高めて走破性を強化したモデルだ。「AMCイーグル」や「スバル・アウトバック」が開拓してきたそのカテゴリーには、各社からさまざまな車種がエントリーしている。日本にいれば「フォルクスワーゲン・ゴルフ」や「パサート」の「オールトラック」、「メルセデス・ベンツEクラス オールテレイン」などが思い浮かぶだろうし、例えばなじみが薄いブランドを追っても「オペル・インシグニア」や「シュコダ・シュパーブ」には同様のラインナップが追加された。
言うまでもなく、かの地は高速域での運動性能の要求値が高い。SUVがいくら巧みに足まわりをチューニングしたところで、物理的な重心高は動的質感に大きく関わってくる。さりとて悪路が走れるメリットは捨て難く……と、その両建てを考えていけばこの趣旨は整合性がある。そしてボルボは、古くから「XC」として背高ステーションワゴンのカテゴリーにモデルを置き続けてきた。かつての名前はそっくり同社のSUVラインに譲られたが、そのカテゴリーは「クロスカントリー」と銘打って現在も3モデルでの展開が続いている。
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