BMW Z4 M40i(前編)

2019.07.11 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 今回レーシングドライバー谷口信輝が向き合ったのは、BMWのオープンスポーツカー「Z4」の最新型。運転のプロフェッショナルは、そのドライバーズシートにおさまって、どんなことを感じたのか?

キャビンの広さはドイツ車ならでは

「1、2、3、4、5……」

BMW Z4の電動ソフトトップ開閉スイッチを操作しながら、谷口信輝はゆっくりと数えていた。
「7、8、9、10(コーン!)、11、12、13、14。うーん、窓が完全に閉まるまでには14秒かかりますね」

たしかに、ルーフを閉め始めてから完全に動作が終わり、さらに開閉中はいったん開くサイドウィンドウが閉じるまでには14秒かかる。しかし、10秒を過ぎたところで「コーン!」と鳴った時点でルーフの開閉動作自体は終わっている。プレスリリースにも「10秒でオープン/クローズ可能なソフト・ルーフ」と誇らしげに記されていた。谷口にそう指摘すると、「でも『ルーフが閉まりましたよ』っていうお知らせは、やっぱりあの窓が閉まったところじゃないんですか?」との答えが返ってきた。なるほど、そういうとらえ方もできるか。とはいえ、ちょうど10秒が過ぎたところで聞こえた「コーン!」というBMW特有の警告音こそは、ルーフが閉まった証拠だろう。そう説明すると、谷口は「ああ、そうですか。そんな音、していましたか?」と素直に驚いてみせたのである。

いやいや、私が驚いたのは谷口のカウントが正確なこと。レーシングドライバーのなかには、特定のサーキットを走っている様子を頭のなかに思い浮かべ、フィニッシュラインを通過したところでラップタイムを申告させると、ストップウオッチで計ったのとぴったり同じ時間を言い当てる者がいるそうだ。それだけ、彼らは時間に関する感覚がシビアなわけだが、どうやら谷口もそうした能力の持ち主らしい。

話がいきなり脇道にそれた。運転席に腰掛けている谷口に、コックピットの印象を語ってもらおう。
「例えば『マツダ・ロードスター』とか『ホンダS2000』なんかに比べると、キャビンは明らかに広いですね。日本のオープンスポーツカーって、シートのスライド方向にあんまり余裕がないことが多いんですが、これはたっぷりしています。しかも長さ方向だけじゃなく、幅方向にも広い。やっぱり、体の大きなドイツ人でも乗れるように気が配られているんですね」

 
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