シトロエンC3エアクロスSUVシャイン パッケージ(FF/6AT)
そのリズムはクセになる 2019.09.20 試乗記 最高出力110PSの1.2リッター直3ターボエンジンを搭載する「シトロエンC3エアクロスSUV」に試乗。今どきのシトロエンらしさ全開の個性的なルックスに加え、実用性と快適性を重視した設計が特徴という、新型SUVの出来栄えは?C3よりちょっと大きなSUV
個性的でありたい、ユニークでありたいとは誰もが望むことではあるが、現実にはなかなかそうはいかない。他とは違う、他のものとは似ていない道を選ぶには、もしかすると世の中のトレンドから外れるかもしれない覚悟が必要だからだ。とにかくスポーティーでダイナミックで、こわもてで押し出しの強いデザインのSUVが幅を利かせる昨今、なんとなく“ゆるキャラ”的な新世代シトロエンは異彩を放っている。もちろん、個性的であることだけを目的としているわけではなく、十分な実用性も備わっているのだが、人はどうしても見かけで判断しがちなのである。
どう見てもシトロエンであると間違いようがないC3エアクロスSUVは、5月に発売された「C5エアクロスSUV」に続くシトロエンのSUV第2弾ということになる。外観は当然ながら2年前に発売された「C3」と似通っている。ドアパネルに例の「エアバンプ」は備わらないが、代わりにフロント下部には大げさなほどのプロテクターを持ち、ダブルシェブロンのエンブレムからつながるボンネット左右上端にはLEDのデイタイムランニングライトが装着されている。言うまでもなく本当のヘッドライトはその下、「ロールス・ロイス・ファントム」風のトリッキーなデザインである。ストライプ柄のCピラーに見える部分は、実はポリカーボネート製のリアクオーターウィンドウであり、視界の確保に貢献している。
いわゆるBセグメントに属するC3エアクロスSUVの全長×全幅×全高は4160×1765×1630mm、ホイールベースは2605mmというもの。ベースとなったハッチバックのC3は3995×1750×1495mm、ホイールベース:2535mmだから、全長は165mm、ホイールベースは70mm長く、全高も135mm高い。C3エアクロスはちょっと大きく背が高いC3と考えて間違いない。
インテリアもC3のものとよく似ており、落ち着いたトーンのファブリックが柔らかなシートやトリムに使用されている。C3との大きな違いは後席の広さと使い勝手である。リアシートは60:40の分割可倒式(ベーシックグレードの「フィール」を除く)で、それぞれバックレストの角度が変えられるだけでなく、シートスライド機構も付いており、これを利用すれば荷室の容量を410~520リッターの範囲で変化させることができる。またすべて倒して荷物を天井まで積み上げれば1289リッターまで拡大することができるという。いっぽうでリアシートを最後端まで下げれば、膝前にはかなりの余裕が生まれる。全高が高いことも相まって、C3ではちょっと後席が狭いという方もこれなら満足できるはずだ。
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