第589回:EVでもハイパーカーでも“らしさ”は健在
「エヴァイヤ」のエンジニアがロータスの哲学を語る
2019.09.25
エディターから一言
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2019年のジャパン・ロータスデーで日本初公開された、ロータスの最新モデル「Evija(エヴァイヤ)」。2000PSの電動ハイパーカーという、ロータスにとって“初物ずくめ”なこのクルマでも“ロータスらしさ”は健在なのか? 来日したエンジニアに話を聞いた。
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随所にみられるロータス初の試み
今年のジャパン・ロータスデーで日本初公開された最新モデル、エヴァイヤは、EV、ハイパーカー、ワンピースのカーボンファイバー製モノコックシャシー構造、四輪駆動システムなど、ロータスの市販モデルとして新たなチャレンジを積極的に取り入れた意欲作だ。その志は高く、現時点で公表される市販ロードカーで最もパワフルとなる2000PSの最高出力をたたき出し、0-100km/h加速は3秒以下、最高速度320km/h以上を標榜(ひょうぼう)している。
現時点ではこれらスペックは目標値とされているが、今のロータスは吉利汽車(ジーリー)の傘下に収まったことで、資金・開発両面での強力なバックアップを得ている。新時代ロータスの実力を世に知らしめるためにも、この挑戦が“有言実行”になるのは間違いないだろう。
今回、イベントでのファンへのお披露目を前に、エヴァイヤのメディアプレビュー、ならびに開発メンバーへのインタビューの機会が設けられた。インタビューに応じてくれたのは、エンジニアのルイス・カー氏だ。
現時点でハイパーカーにベストなパワートレイン
――ロータスのEVとなると、開発と生産に協力した「テスラ・ロードスター」のことが思い出されますが、その経験は生かされているのでしょうか。
ルイス・カー氏(以下、カー):その経験からプロジェクトがスタートしたわけではなく、特に関連性はありません。ハイパーカーにはEVが最適と判断したからです。
――英国政府は電動車へのシフトに前向きな政策を進めています。エヴァイヤのようなEVを送り出すことは、これまでエンジン一筋だったロータスがEVシフトへの道に突き進んでいくということなのでしょうか。
カー:ロータスはレーシングコンストラクターの時代から、メーカーにかかわらず、当時のベストなエンジンを選ぶことを心がけてきました。その方針は、これからも変わりません。ですから、今後のロータスモデルも、そのクルマに最適なパワーユニットを選んでいきます。つまり、電気モーターも選択肢のひとつになりますが、同時にエンジン車をやめることもありません。
――エヴァイヤは、EVとなりましたが、やはりハイパーカーには、電気モーターがふさわしいのでしょうか。
カー:現時点では、ハイパーカーには電気モーターがベストです。ただ将来は、また異なる選択をする可能性はあります。
2000PSのEVにみる“ロータスらしさ”
――エヴァイヤの開発製造は、ロータスカーズにおけるEV技術の蓄積につながると思いますが、今後どのように活用していくのでしょうか。他社への技術提供も行うのでしょうか。
カー:まだこれから技術を深めていかなければなりませんが、その成果はロータスだけでなく、親会社であるジーリーのグループ会社にもシェアしていきます。もちろん、グループ外の企業でもいい技術があれば取り入れていきますし、これまで同様、他社への技術提供や開発協力も行っていきます。ジーリーからの縛りはなく、ロータスは変わらず自由なのです。
――初のハイパーカーであるエヴァイヤは、ロータスにとって特別な存在だと思いますが、今、ハイパーカーを送り出す理由を教えてください。
カー:ロータスのブランドと技術の両方を高めるためです。ブランド力だけを高めることは不可能で、それに伴う技術が必要です。ロータスでは今、英国内に新しい技術センターを建設中です。
――エヴァイヤは、ロータスらしいモデルだといいますが、EVでありながら走りでロータスらしさを感じさせるポイントはどこにあるのでしょうか。
カー:加速やブレーキの性能が素晴らしく、ロータスらしさを感じてもらえるでしょう。もうひとつ特徴的なのは、サウンドです。自動車メーカーは最近、疑似的な音を加えることでサウンドをつくり込んでいます。ただこれはフェイクでもあります。しかし、エヴァイヤはEVでありながら、全く音を足さず、電気モーターがスポーティーなサウンドを奏でてくれるのです。そのサウンドは自然に感じられるものであり、迫力も満点ですよ。
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デザインのすべてに意味がある
――エヴァイヤは2億円超という大変高価なEVですが、今後はどんなロータスEVを考えているのでしょうか。それは手に入りやすいものですか。
カー:当然、将来的には手を出しやすいEVも送り出したい。ただ先ほども述べたように、将来においてモデルラインナップをEVに限定することはなく、エンジン車も送り出していきます。
インタビューの途中で、デザイナーのバーニー・ハット氏も合流。彼に、エヴァイヤのデザイン上の“ロータスネス”な部分を尋ねてみた。
――EVであるエヴァイヤは、どのようにデザインでロータスらしさを表現しているのでしょうか。
バーニー・ハット氏:まずはビジュアル的に軽そうに見せることです。マシン自体が軽量であることも重要ですが、軽そうに見せることもまた大切なのです。もしエヴァイヤにロータスエンブレムがなくても、誰もが「これはロータスかも」と感じることでしょう。スタイルには何も無駄なものや不足しているものがなく、すべてに役割があるからです。つまり、それこそがロータスネスなのです。デザインの最初からエアロダイナミクスを考慮して描いていきますが、同時に、その意味を持つ形を美しく仕上げていくことが、われわれの仕事なのです。
“ロータスネス”にパワートレインの種別は関係ない
最後に、以前から気になっていた質問をしてみた。スーパーカーブランドへのシフトを試みたダニー・バハー時代についてだ。エヴァイヤのプロジェクトに影響を与えたのかが、気になったからである。カー氏は、にこやかな表情だが、はっきりと、その関係性について否定。ただ、フェラーリやポルシェなどのスーパースポーツカテゴリーでも戦えるように、比較はしっかりと行っていると教えてくれた。何はともあれ、あの時代はロータスにとって、アルバムに閉じられた懐かしい過去であることは間違いないようだ。
限られた時間であったため、エヴァイヤ誕生で予測されるロータスとEVの関係を中心にインタビューを行ったが、EVであってもロータスネスを継承していくこと、エンジンとの決別はないことが明確に示されたことは、ファンにとってうれしいニュースだったといえるかもしれない。
エヴァイヤの販売は、他のロータス車とは異なり、インポーターではなくロータスカーズ本社との直接契約が必要となる。このため、2億超とされる価格は英国工場渡しでのものだ。日本のインポーターであるLCIによれば、既に購入検討者からの問い合わせがあるとのことで、購入や輸入手続きのサポートを行っていくという。エヴァイヤの“日本上陸”の可能性は、非常に高いといえそうだ。
(文と写真=大音安弘/編集=堀田剛資)

大音 安弘
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