BMW 840iグランクーペ(FR/8AT)
もうひとつのフラッグシップ 2019.09.28 試乗記 BMWがラインナップするLセグメントのスペシャリティーモデル「8シリーズ」に、4ドアの「グランクーペ」が登場。ポルトガルのアルガルヴェで試乗した直6モデルの「840i」は、「ぜひ日本にも」と願わずにはいられないクルマに仕上がっていた。BMWの新しいLセグメント戦略
8シリーズ グランクーペは、従来の「6シリーズ グランクーペ」の後継でありながら、「8シリーズ クーペ」と同様、ヒエラルキーの上位シフトを狙った4ドアハードトップだ。直接的な競合はメルセデスの「CLS」だが、パフォーマンスレンジの広さから、「ポルシェ・パナメーラ」や「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」あたりもターゲットとしている。それすなわち、「M8」が発表された今、そのグランクーペ版も投入は時間の問題ということだ。そしてある意味、最大のライバルであろう「7シリーズ」との値付けの差はベースプライスで4000ドル程度。言い換えれば、BMWはLセグメント級を二枚看板で戦おうとしているようにもうかがえる。
その意向はサイズにも表れており、8シリーズ グランクーペは7シリーズに対して全長はわずかに短いものの、全幅はそれを上回る。3mを突破するホイールベースは、ベースとなる8シリーズ クーペより約200mmも長い。低く広く伸びやかで、お尻に適度なノッチも感じられるフォルムは、個人的にはクーペよりむしろバランスよく映る。
もちろん、このスタイルを実現するにあたっては、それなりのトレードオフもあるわけだ。例えば後席の居住性は、ニースペースは十分ながら、座面の低さもあって前席下部に爪先が収まりにくく、身長181cmの僕の場合は、太ももがちょっと上がった格好で座ることになる。この点は7シリーズに確実に利があるところだし、トランク容量も440リッターと容量は「3シリーズ」級だ。決してショーファードリブンではなく、特等席は前2座だと知っておくべきだろう。
![]() |
![]() |
![]() |