メルセデス・ベンツE200アバンギャルド(FR/9AT)
スポーツセダンと呼びたい 2019.12.04 試乗記 最高出力184PSの1.5リッター直4ターボエンジンに「BSG」と呼ばれるマイルドハイブリッド機構を組み込んだ「メルセデス・ベンツE200アバンギャルド」のパワートレイン。効率化と高性能化をうたうこのダウンサイジングユニットの実力を確かめた。マイルドハイブリッドの新潮流
メルセデス・ベンツの「Eクラス」が1.5リッターエンジンを積む時代が来るとは、夢にも思わなかった。W213というコードナンバーで呼ばれる現行Eクラスは2016年に登場。デビュー当初のE200は、2リッターの直列4気筒ターボエンジンを搭載していた。そして2019年春、E200の心臓はBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)を備えた1.5リッター直4ターボに切り替えられたのだ。
というわけで、おのずと「テンゴでどんな風に走るのか?」というところに興味が湧く。では、早速行ってみましょう。キラキラしたスタートボタンを押してエンジン始動、9段ATをDレンジに入れてアクセルペダルに載せた右足に恐る恐る力を込める。別に「恐る恐る」になる必要はないけれど、どんな反応を見せるのかを見極めるために、つい慎重なアクセル操作になる。
すると……、メルセデス・ベンツE200アバンギャルドは、粛々と発進して、スムーズに速度を上げていく。確かに、余裕たっぷりのパワーという感じではない。けれども過不足のない、実用には十分の加速力だ。たとえて言うなら、湯船に肩までつかった時に、ほどよくお湯が湯船いっぱいになる感じとでも言いましょうか。肩までつかった時に、ざっぱーんとお湯があふれるのはぜいたくな感じがするけれど、もう、そんなもったいないことをする時代ではないのだ。
ここで簡単にこのパワートレインのキモであるBSGと48V電気システムの仕組みを説明すれば、エンジンスターターとジェネレーター(発電機)を兼ねるモーターが、ベルトを介してクランクシャフトとつながっている。
減速時にはジェネレーターが発電した電気をリチウムイオン電池に蓄える。この電気でエンジンを始動するほか、パワーが必要な時にはモーターが駆動をアシストする。結果として、滑らかな加速や省燃費につながるというわけだ。定格電圧を48Vにすることで、従来の12Vよりも出力を高くすることができ、回生ブレーキのエネルギーを活用するうえで有利になる。一方、60V以上の高電圧システムに比べると安全対策のコストが抑えられるから、ほどほどのコストで省燃費とパフォーマンスの両立を狙うことができる。
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