Gear up! Selection | TEIN/EnduraPro、EnduraPro PLUS
あのTEINが新たに送り出した高品質にして高機能な一般車のリプレイス用ダンパー 2019.12.02 Gear Up! 2020 Winter われわれクルマのユーザーが愛車の乗り味を変えたいと思ったとき、最も手早く確実にそれを実現できるのがダンパーの交換ではないかと思うのだが、その社外品ダンパーの分野に新たな選択肢が増えた。TEINが生み出した、リーズナブルなプライスにして高品質な一般車用ダンパーEnduraPro、およびEnduraPro PLUSである。フロントならストラットにダブルウイッシュボーン、リアならトーションビームにマルチリンクなどなど。現代のクルマに備わるサスペンションの形式は多種多様で、それぞれの形式ごとに特徴を備えているが、それがどんな形式であるにせよ、最後にそのクルマの乗り味を決めるのはショックアブソーバー、『CG』流の表現でいうとダンパーだといっていい。
それをはっきりと実感できるのが、メーカー装着の標準ダンパーからダンパー専門メーカー品に替えた場合で、それまでとは明らかに違う乗り味を得られることが多い。
そんなダンパー専門メーカーのひとつに、TEIN(テイン)がある。TEINは横浜市戸塚区に本社と工場を置く日本のブランドで、これまでは主にモータースポーツ用と、そのノウハウを生かしたスポーツユーザー向けの商品を世に出してきた。国際ラリー出場車のための製品や、レースカーに装着するための製品、ナンバー付きモデル用ながら主にサーキット走行を意識した製品、適度に車高を下げるストリート用の製品といった、クルマ好きの多彩なニーズに応える製品を販売している。
それらはいずれもコイルスプリングとダンパーのコンビネーションで成り立つ商品だが、TEINが新たに開発して世に送り出したEnduraPro、およびEnduraPro PLUSは、そういった従来の製品と違ってスプリングは付属せず、ダンパー単体で発売される。
それらは一般車のリプレイス用として開発されたダンパーで、純正品と同形状のスプリングシートを採用していて、もともとクルマに装着されていたスプリングをそのまま使う。したがって、車高も標準仕様のクルマと同じに保たれるし、ダンパーの減衰力も基本的に、そのクルマのオリジナルを再現するように仕上げてある。
とはいえTEINは、自動車メーカーの標準品と同じダンパーを作ろうとしているわけではない。まずダンパーの心臓部ともいえるピストンロッドを自社で開発・内製し、高い剛性とスムーズな作動感を実現している。と同時にダンパーの内部容量、つまりオイルの容量を可能な限り純正品より増やすように設計して、安定した上質な作動感の実現と寿命の延長も図っている。
この製品が複筒式構造を採用していることも、ダンパー長を有効に使った長いストロークと、スムーズな作動感の実現に役立っているはずだ。
さらにそれに加えて、H.B.S.=ハイドロ・バンプ・ストッパーを採用しているのも、この製品の大きな特徴だ。これは、ラリーシーンで大ジャンプから着地する際の衝撃を受け止めるために開発された技術の応用で、ダンパーがフルストロークした際、バンプラバーではなく油圧バルブによって衝撃を受け止めるもの。
結果として、路面にある大きな突起を越えるときなどにも強い突き上げや不快な跳ね返りを経験することなく、スムーズな乗り心地を保つというものである。
そこで、その乗り味を体感するべく、伸/縮減衰力調整機構つきのTEIN EnduraPro PLUSを装着した「トヨタ86」を駆って、横浜の街に走り出た。調整機構は16段階あり、「0」が最強=最も硬い、「16」が最弱=最もソフトで、標準状態が「10」というもの。
まずは標準状態の「10」で走り始める。試乗車がハイグリップ系タイヤを装着していたこともあって、路面によってはタイヤの硬さが若干伝わってくるものの、おそらくH.B.S.もその効果を発揮してダイレクトな突き上げを感じさせず、スムーズで快適な乗り心地であるというのが第一印象だった。
そこで調整を一気に最強の「0」に切り替えると、想像したとおり乗り心地は明らかに硬くなり、路面の凹凸を正直に拾ってボディーが細かく上下動する。普段使いには向かないモードだが、サーキットでスポーツ走行などというときには、大活躍するはずだ。
一方、予想外だったのが最弱の「16」である。乗り心地は標準の「10」よりさらに柔らかく快適で、同乗していた『CG』のスタッフと思わず「コレいいね!」とうなずき合うことになったのだが、意外だったのはそれでもフワフワとしたダンピング不足を感じさせなかったことだ。いわば、ちょうどいい減衰感を保ったまま乗り心地がよりソフトになった、という印象なのである。
さらに意外だったのが、この「16」セッティングのまま、3速で抜けるコーナーに進入したときのこと。ここでもダンパーは減衰力不足を感じさせずにクルマを支え続け、86は安定した姿勢を保ったままそのコーナーを抜けてみせた。最弱のポジションでさえコーナリングを楽しめるEnduraPro PLUSの実力に、TEINの良心的な仕事ぶりがうかがえる気がしたのだった。
(文=吉田 匠/写真=加藤純也)
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吉田 匠
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