第209回:ビートルに乗ったさわやかなイケメン殺人鬼
『テッド・バンディ』
2019.12.19
読んでますカー、観てますカー
主人公は伝説のシリアルキラー
この映画を観るまで、テッド・バンディという名前を知らなかった。お恥ずかしい限りだが、『テッド・バンディ』という作品の観客としては理想的な状況だったといえる。この男が希代の殺人鬼なのか、それとも無実の冤罪(えんざい)被害者なのか、最後まで判断できずにいられたからだ。宣伝のチラシにも書かれているように、テッド・バンディはアメリカでは誰もが知る伝説の連続殺人犯である。少しでも犯罪史に興味があれば、彼がシリアルキラーという言葉が生まれるきっかけとなった人物であることは常識らしい。
物語はリズ・クレプファー(リリー・コリンズ)という女性の視点で語られる。凶悪な犯罪を繰り返したテッドだが、リズにとっては優しく頼もしいボーイフレンドだった。シングルマザーとして彼女が育てていた女の子ともいい関係を築き、3人で幸福な生活を営むようになる。彼は絵に描いたような好青年なのだ。ワシントン大学で心理学を学び、法律にも通じている。共和党の活動家でもあり、将来は政治家になることを期待されていた。
見た目もさわやかなイケメンである。演じているのはザック・エフロン。06年の『ハイスクール・ミュージカル』で青春スターとして有名になった俳優である。12年の『ペーパーボーイ 真夏の引力』ではニコール・キッドマンに振り回されるD.T.青年がハマっていたし、18年の『グレイテスト・ショーマン』でもいちずな恋心を貫く純朴な男の役だった。彼が演じたことで、テッドはマジメで親切な人にしか見えない。実際にテッドは人を引きつける魅力的な容姿で、それが被害の拡大につながってしまった。
1974年、ワシントン州シアトルで女性が失踪する事件が起きる。行方は杳(よう)として知れず、捜査は難航。解決の糸口もつかめぬ中、連続して失踪事件が発生した。いなくなったのは、白人の若い女子大生ばかりである。

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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