第173回:ケモノのような欲望
2020.04.28 カーマニア人間国宝への道衝撃の新型「ヤリス」
新型コロナウイルス感染拡大で、日本でもクルマどころの話じゃなくなってきております。本音では、クルマから降りずにドライブするだけなら、政府から公認? されているジョギングや散歩よりリスクははるかに低いと思うものの、「だからドライブに行きましょう!」と言える状況でもない。
クルマの取材も途絶え、皆さまのヒマつぶしが使命である我々としても、ヒマつぶしのネタに困りつつある。このままではオマンマの食い上げだ!
が、明けない夜はない! カーマニアは、収束後の楽しいカーライフを妄想しつつ、静かに過ごすしかありませんネ!
新型車の取材が途絶えた今でも、私の脳内に強い記憶として残っているクルマがある。それは、新型「ヤリス ハイブリッド」です。
世の中がまだそこそこのんきだった3月、1泊2日で試乗させていただいたのですが、その時の快感が手足や脳内に残って、今でも後を引いている。
いったい何が快感だったのか? 今回はカーマニアの前向きなヒマつぶしとして、その快感ポイントのランキングを発表してみたいと思います。
「ヤリス」のココが快感!
第1位:思い通り以上の加速
ヤリス ハイブリッドは相当パワフルだ。中でもちょい踏みのレスポンスがいい。パートスロットルが連続する公道では、ちょい踏みのレスポンスこそキモ。このクルマはそこが抜群に優れている! アクセルをちょい踏み増すと、瞬時に旧型「ヴィッツ ハイブリッド」より3割増しのモーターのパワーがさく裂し、車体をググッと押し出してくれる。それがすっごく気持ちイイ! パートスロットルなら誰にも負けねぇ! パートスロットルなら首都高の帝王! そんな気分になれました。
特にパワーモードだと、よりアクセルの踏み込み量少なめでグイッと前に出るので、すっごくめちゃめちゃキモチイ~!
私は初代「プリウス」と「アクア」、2台のトヨタ製ハイブリッドカーを乗り継ぎましたが、加速の気持ちよさは初代プリウスの10倍、アクアの3倍という感じでしょうか?
この自由自在に加速してくれる感覚は、軽量な大排気量マルチシリンダー車にも近い。自分が所有したことのあるクルマの中で一番近いのは、「フェラーリ458イタリア」!
そういや私、アクアに関しては、「ステアリングレスポンスは458イタリアにソックリ」と言ってたんだった。大げさすぎると思うでしょうが本気です。私の脳内では、458イタリアは加速、コーナリング、ブレーキング、すべてにおいて究極の性能を持つクルマであり、永遠のメートル原器です。
快感が後を引く仕上がり
第2位:究極の低燃費
首都高で軽く燃費アタックしてみたところ、燃費計の数値は「38.8km/リッター」と出た! すげえっ! 従来のハイブリッドカーと比べても、3割くらい低燃費な感触だ。つまりアクアと比べると、パートスロットルの加速感は3倍で燃費は3割増しという、信じがたいほどの性能アップ!
私は、トヨタ・ハイブリッド・システムについては、エンジンとモーターが織り成す男女関係の如き奥深い物語が味わえると高く評価しておるのですが、ヤリス ハイブリッドはその究極のカタチ。エンジンとモーターがケモノのように激しく愛し合いつつ、究極のハーモニーをサスティナブルに奏でているように感じました。すげぇホメ言葉。
第3位:しっかりしたボディーと足まわり
さすがTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)。現行プリウスや「カローラ」も、これまでのトヨタ車とは段違いの走りを見せてくれたが、ヤリスでもその美点は健在だ。
ただ、足まわりにカローラみたいなしなやかさはなく、首都高ではけっこう跳ねる。全高(重心)もちょっとだけ高めなので、私が乗っていた初期型アクアほどのステアリングレスポンスはない。よって、他の項目に比べるとやや評価は低めになりました。
総合的には、これだけ走りの快感が後を引くクルマはめったにない! 私の本能は、「ヤリス ハイブリッドが欲しい!」と叫んでいる! うおおおお~、欲しい! 欲しいぞおぉぉぉぉ! このケモノのような欲望!
しかし、もう一方の本能は、「ヤリス ハイブリッドは絶対買わねぇ!」とも叫んでいる。いったいナゼ!? それについては次回。
(文と写真=清水草一/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第326回:三つ子の魂中高年まで 2026.1.5 清水草一の話題の連載。ホンダの新型「プレリュード」で、いつもの中古フェラーリ販売店「コーナーストーンズ」に顔を出した。24年ぶりに復活した最新のプレリュードを見た常連フェラーリオーナーの反応やいかに。
-
第325回:カーマニアの闇鍋 2025.12.15 清水草一の話題の連載。ベースとなった「トヨタ・ランドクルーザー“250”」の倍の価格となる「レクサスGX550“オーバートレイル+”」に試乗。なぜそんなにも高いのか。どうしてそれがバカ売れするのか。夜の首都高をドライブしながら考えてみた。
-
第324回:カーマニアの愛されキャラ 2025.12.1 清水草一の話題の連載。マイナーチェンジした「スズキ・クロスビー」が気になる。ちっちゃくて視点が高めで、ひねりもハズシ感もある個性的なキャラは、われわれ中高年カーマニアにぴったりではないか。夜の首都高に連れ出し、その走りを確かめた。
-
第323回:タダほど安いものはない 2025.11.17 清水草一の話題の連載。夜の首都高に新型「シトロエンC3ハイブリッド」で出撃した。同じ1.2リッター直3ターボを積むかつての愛車「シトロエンDS3」は気持ちのいい走りを楽しめたが、マイルドハイブリッド化された最新モデルの走りやいかに。
-
第322回:機関車みたいで最高! 2025.11.3 清水草一の話題の連載。2年に一度開催される自動車の祭典が「ジャパンモビリティショー」。BYDの軽BEVからレクサスの6輪車、そしてホンダのロケットまで、2025年開催の会場で、見て感じたことをカーマニア目線で報告する。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。









































