新型「フォルクスワーゲン・パサート」日本上陸
2011.05.19 自動車ニュース新型「フォルクスワーゲン・パサート」が日本上陸
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンは2011年5月19日、中型セダン/ワゴン「パサート」「パサートヴァリアント」をフルモデルチェンジし、発表した。5月30日に販売を開始する。
■1.4リッターエンジンを搭載
フォルクスワーゲンの看板モデル「ゴルフ」の上位に位置づけられるミディアムカーの「パサート」。そのセダンとヴァリアント(=ステーションワゴン)がそろってモデルチェンジし日本に上陸した。旧型に比べて、シャープなラインが際立つエクステリアと、上質さがアップしたインテリアが特徴で、強豪ひしめくこのセグメントにおいて、シェア拡大を狙っている。
新型における一番の見どころは、優れた燃費性能だ。新型パサート/パサートヴァリアントに用意されるエンジンは、排気量わずか1.4リッターの直列4気筒ユニットだけ。これにデュアルクラッチギアボックスの7段DSGと、同社の低燃費技術「ブルーモーションテクノロジー」を組み合わせることで、セダン、ヴァリアントともに10・15モード燃費は18.4km/リッターを達成、エコカー減税(75%)対象モデルとなった。
ラインナップは、セダン、ヴァリアントともに、標準モデル「TSIコンフォートライン」と、ナパレザーシートやウッドパネルなどが装備される上級モデル「TSIハイライン」の2グレード。
価格は「パサートTSIコンフォートライン/TSIハイライン」がそれぞれ324万円と374万円。「パサートヴァリアントTSIコンフォートライン/TSIハイライン」が、セダンより22万円高の346万円と396万円である。
■デザイン一新、ベースは引き継ぎ
旧型から一新、新型パサート/パサートヴァリアントのエクステリアはシャープでシンプルな印象を強めている。最新フォルクスワーゲンのスタイルにのっとり、フロントマスクには水平基調のラジエターグリルを配すことで存在感をアピール。オプションのバイキセノンヘッドライトを選択すれば、LEDのポジショニングランプとLEDテールライトが同時装着となり、精悍(せいかん)なイメージがさらに高まる。
新型パサートのボディサイズは全長×全幅×全高=4785×1820×1490mm。ヴァリアントの場合は全高が1530mmとなるが、実はこのサイズは旧型と同一で、2710mmのホイールベースも同じである。お察しのとおり、新型パサート/パサートヴァリアントの基本部分は旧型からのキャリーオーバーで、前:マクファーソンストラット、後:マルチリンクのサスペンションも旧型と同じ形式を採用する。
インテリアは、クーペモデルの「パサートCC」に準じたデザインを採用。ダッシュボード中央にアナログ時計を配したのをはじめ、TSIハイラインではウォールナットやアルミのデコラティブパネルを施すことで上質さを高めている。さらに、TSIハイラインはシートにナパレザーを採用。価格を抑えながらも本物志向のインテリアを目指した。
■ダウンサイジングが止まらない
パワートレインについても、思い切った変更が実施された。従来は直列4気筒の2リッターやV6の3.2リッターエンジンが用意されていたが、新型パサート/パサートヴァリアントでは、排気量わずか1.4リッターの直噴ターボエンジンへ1本化が図られた。最高出力122ps/5000rpm、最大トルク20.4kgm/1500-4000rpmのこのエンジンは、ゴルフやゴルフヴァリアントなどでもおなじみのもので、組み合わされるトランスミッションもフォルクスワーゲンではいまや主流の7段DSGである。
10・15モード燃費は18.4km/リッター。これは先代パサートの2リッターモデルに比べて68%の向上となる。驚くべきは、ゴルフ/ゴルフヴァリアントよりも車両重量が重いにもかかわらず、パサート/パサートヴァリアントの方が低燃費であることだ。
これには、フォルクスワーゲンの低燃費技術「ブルーモーションテクノロジー」が貢献しており、アイドリングストップ機構のスタート/ストップシステムやブレーキエネルギー回生システムなどが燃費を押し上げる結果となった。
■豪華さよりも上質さを
細かいところでは、遮音フィルムをラミネートしたフロントウィンドウの採用や、ダッシュボードやドア内張りに遮音材を施すことで静粛性をアップ。また、フォルクスワーゲンとしては初めて、ドライバー疲労検知システムを全車に搭載する。
タイヤは、TSIコンフォートラインが215/55R16サイズを装着するのに対し、TSIハイラインでは235/45R17インチにインチアップされる。この17インチは“モビリティタイヤ”と呼ばれるもので、直径5mm以下の穴なら自然にパンク穴がふさがるという優れモノ。スペアタイヤが不要になるため、そのぶん廃タイヤが減り、また荷室の下が収納スペースとして活用できるというメリットがある。
このように、クルマの上質さを高めながら、基本性能と燃費性能を磨いたパサート/パサートヴァリアント。さらなるパワーを求める人にはパサートCC、コストパフォーマンスや環境性能を求める人にはパサート/パサートヴァリアントというすみ分けができそうだ。
(文=生方聡)