スバルWRX STI EJ20ファイナルエディション フルパッケージ(後編)

2020.09.10 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 「使われている部品の一つひとつはいいんですが……」。レーシングドライバー谷口信輝は、スバルのメモリアルな限定車「WRX STI EJ20ファイナルエディション」には気になるところがあるという。一体何が問題なのか?

手を加える余地がある

「運転の名手」である谷口信輝が「どんなにていねいに操ってもシフト時にガクガクする」というスバルのWRX STI EJ20ファイナルエディション。谷口は「どこに原因があるかはわからない」と語るいっぽうで、各部に手を入れながらその原因を突き止め、滑らかに操れるクルマに仕立て直すことに軽い意欲を示しているようにも思えた。
「僕が買ったら、このままでは乗らないでしょうね。エンジンなのか駆動系なのか、はたまた足まわりなのか。とにかくいろいろと手を加えてみるしかないと思います」

谷口にとって、そういう作業は楽しみともなりえるのだろう。
「まあ、裏を返せばクルマに伸び代が残っているともいえますよね。このクルマを買った人が、自分でその原因を探っていく。好意的に解釈すれば、そういえないこともないと思います」

仮に、さまざまなところに手を加えて、あのガクガクを解消できたら、EJ20エンジンの滑らかな感触を満喫できるようになるはずだ。
「このエンジン、308PSまで最高出力は上がったんですね。自主規制の時代は280PSだったじゃないですか。あの頃は『デロデロデロ……』といっていたかと思うと、急に『ブワーン』とパワーが湧き出してきましたが、いまは中間域でモリッとトルクが出てきますね。それを4WDで受け止めて、ちゃんとトラクションに変えていってくれるので、今日みたいに雨が降って滑りやすい路面でもそこそこ速く走れます」

コーナリングでの感触はどうだったのか?
「曲がる曲がらないでいえば、よく曲がるクルマだと思います。ただ、その曲がり方が、僕にはちょっと気持ち悪く感じられた」

ほほー。それは、いったいどのような“曲がり方”だったのだろうか?
「ひとつのカーブを曲がるとき、僕は必要な分のステアリングを切って、もしもさらに必要になった場合にはステアリングを切り足しているのに、そういうコーナリングの途中でこのクルマは勝手にヨーモーメントを立ち上げることがあるんです。そうするといったんステアリングを戻さないといけなくなる。これが僕はイヤなんです」

 
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