スバルWRX STI タイプS(4WD/6MT)
さらなる速さを求めて 2017.08.24 試乗記 マイナーチェンジを受けて、さらなる速さを手に入れた「スバルWRX STI」に試乗。新しい電子制御マルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)を得た最新型の走りやいかに? 19インチタイヤを装着した上級モデル「タイプS」のステアリングを握った。熱い思いがあればこそ
スバルブランドの走りの象徴でもある、WRXの名が与えられたモデル。振り返ればその端は遠く四半世紀の前――すなわち、1992年の11月にデビューした初代「インプレッサ」にまでさかのぼる。
当時、コンパクトなセダンとショートワゴンという2つのボディーでデビューをした、ブランニューモデルのインプレッサ。その中にあっても、このグレードが“戦うモデル”として開発されたことは、翌1993年の8月にエントリーしたWRC(世界ラリー選手権)のデビュー戦で、早々に表彰台をゲットしたことからも証明されている。
そもそも、グレード名に含まれるWRの文字からしてが“World Rally”の意。以来、数多く繰り返されてきたリファインや、3代目で実施されたセダンからハッチバックへの大胆なパッケージング変更なども、このモデルの場合には、基本的にすべてが走りの戦闘力向上目的のメニューと受け取れたものだ。
一方で、時代が変わればクルマを取り巻く環境や、メーカー自身の事情にもいろいろ変化が訪れる。特に“戦うクルマ”の場合には、何らかの理由で活動の場を失った瞬間に、ボディーのパッケージングやサイズ、はたまた駆動方式や搭載するエンジンまでもが正当性を失い、下手をすれば“奇形”と受け取られるモデルにすらなりかねない危険性をはらんでいる。
そうした中にあって、WRCへの参戦がかなわなくなってからもWRXが生き永らえ、あまつさえ「インプレッサ」のタイトルが外れて独立車種としての地位までを確立できたのは、それまで培ってきた高い走りのポテンシャルを、さらなる未来へと昇華させていきたいという開発陣の熱い思いがあればこそだったはず。
そしてもちろん、このモデルの場合はそうしたメーカーの意志を、熱烈な“スバリスト”の気持ちが支えてきたことも、長寿が続くひとつの要因として挙げることができるはずだ。
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