航続可能距離は131km

シングルペダルコントロールをオンにすると回生ブレーキが一気に強くなり、タウンスピードだとアクセルオフから5mほどで停車するような減速を見せる。シフトパドルを使うと減速の強さを3段階(スポーツモードだと4段階)に変更できるが、踏む時も緩める時もじんわりとした操作を心がければ、誰でも加減速から停止までワンペダルドライブを楽しめるだろう。ただしホイールベースが2530mmと長くはないせいか、急操作した時に発生する車体のピッチングはなかなか強烈だ。

航続可能距離はかなり悲観的である。試乗開始した時点でのバッテリー残量は94%。メーター内に示された航続可能距離は131km(!)だった。ただし、この日の外気温は34度。事前にスタッフがエアコンの温度設定を「LOW」、風量を「MAX」に設定してくれていたのである。エアコンをオフにすると航続可能距離は190kmにまで回復した。

しかし日本の自然環境において、エアコンオフで運転するというのはかなりストイックな行為だ。冬は着込めばいいが、夏はいつも汗だくというのも気が引ける。空調を普通に使用した場合の最大航続可能距離は、170~180kmあたりというところだろうか。

当然ながら、この航続可能距離もマイルドなモーター性能も、すべてはホンダの意図した通りのものだ。企業別平均燃費基準などをにらみつつ、ホンダの企業哲学や市場調査に沿って導き出されたスペックであり、その上で「シティーコミューターとして受け入れられる方にぜひ」という提案である。だからホンダeは「都市部の生活に特化したとてもよくできたフツーのクルマ」に仕上がっている。

一方で、だからホンダとホンダeは罪つくりだとも感じる。冒頭に書いた通り、このデザインは人を魅了してやまない。この日の短い試乗時間でもスマートフォンのカメラを何度も向けられた。誰もが欲しくなるクルマでありながら、実は使う人を選ぶというのはちょっと酷な話ではないか。セカンドカーとして迎えるにはあまりに高価だ(わが家ではファーストカーでも無理)。ホンダeが日本中に広くあまねく行き渡ることを望む。

(文と写真と編集=藤沢 勝)

特徴的な2本スポークのステアリングホイール。操舵感は軽い。
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試乗した「アドバンス」グレードでは17インチのタイヤ&ホイールが標準装備となる。タイヤはミシュランの「パイロットスポーツ4」だ。
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専用アプリをインストールしたスマートフォンでBピラーにタッチするとドアのアンロックができる。
専用アプリをインストールしたスマートフォンでBピラーにタッチするとドアのアンロックができる。拡大
代官山T-SITEで試乗できるのは1日10組(各2人)のみ。事前予約等はできず、当日10時からの先着順なので興味のある方は早めの出発を。
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ホンダ の中古車
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