ボルボXC60 B6 AWD R-DESIGN(4WD/8AT)/V60 B5 R-DESIGN(FF/8AT)
48Vのスポーティネス 2020.10.23 試乗記 ボルボの中核を担う「60シリーズ」に、新エンジンを搭載した「XC60 B6 AWD R-DESIGN」と、「V60」初の「R-DESIGN」モデルとなる「V60 B5 R-DESIGN」が登場。ともに48Vのマイルドハイブリッドシステムを搭載した両モデルは、どのような走りを見せるのか?「60シリーズ」も電動化
「V40」と「XC40」のヒットで日本市場でも波に乗るボルボだが、世界的にはXC60の販売台数が最も多く、SUV以外ではV60も大きな役割を果たしている。それだけに、日本市場でもこれら60シリーズの伸びが期待されるわけだが、今回のラインナップの変更が、その販売を後押しするかもしれない。
ボルボでは現在、パワートレインの電動化を進めており、「リチャージ」と呼ばれる外部充電可能な電気自動車とプラグインハイブリッド車を導入するとともに、ガソリンエンジン車には48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載。つまり、すべてのボルボ車に、駆動用、あるいは走行アシスト用の電気モーターが搭載されることとなる。
例えばV60では、2リッター直列4気筒ターボエンジンの「T5」が、48Vマイルドハイブリッドシステムと2リッター直列4気筒ターボエンジンを組み合わせた「B4」(197PS)とB5(250PS)に置き換えられているし、XC60でも、ディーゼルエンジンの「D4」を廃止し、先行して導入されたB5に加えて、新たにB6(300PS)が追加になった。さらに両モデルには、プラグインハイブリッドモデルも設定されるというのが、最新のラインナップである。
新登場の「B6」は電動コンプレッサー搭載
ここで注目したいのが、XC60に搭載されるB6パワートレインだ。これまでボルボは、2リッター直列4気筒DOHCエンジンの高出力版として、ターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせた「T6」エンジンを用意していた。その後継となるのが同じ2リッター直列4気筒DOHCのB6で、スーパーチャージャーの代わりに電動コンプレッサーを採用。これが低回転域での過給を担当し、3000rpm以降はターボチャージャーにバトンを渡すことで、全域で素早いレスポンスと高トルクを実現することになる。
最近では電動コンプレッサーを採用するクルマがいくつか見られるようになったが、電源の48V化により、パワーを要する電気部品も利用できるようになったのが、過給の“電動化”にも貢献しているというわけだ。
これにより、B6パワートレインは、エンジン単体で最高出力300PS(220kW)/5400rpm、最大トルク420N・m(42.8kgf・m)/2100-4800rpmを発生し、さらに電気モーターが13.6PS(10kW)/3000rpm、40N・m(4.1kgf・m)/2250rpmでエンジンをアシストする。
このB6を搭載するのが、スポーティーなデザインが魅力のXC60 B6 AWD R-DESIGNで、クロームメッキの代わりにブラックのアイテムを配置したエクステリアが精悍(せいかん)な印象を際立たせている。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
2リッター直4であることを忘れさせる走り
黒を基調としたスポーティーで落ち着きのあるキャビンに乗り、早速XC60を走らせると、B6のあまりのパワフルさに驚く。機械式のスーパーチャージャーとは異なり、電動コンプレッサーは粛々と仕事をするタイプのようで、低回転から音もなく太いトルクを発生。アクセルペダルを軽く踏むだけで、1960kgもあるXC60のボディーをグイグイと加速させる。その頼もしさは2リッター離れしていて、3リッターV6エンジンと言われたら信じてしまいそうなレベルである。
さらにアクセルペダルを踏み込むと、3000rpm台後半からさらに力強く伸びのある加速が6000rpmあたりまで続く。強大なトルクは電子制御AWDシステムにより4輪でしっかりと受け止められるから、多少ラフにアクセルペダルを操作してもスリップの心配はない。255/40R21サイズのタイヤはややゴツゴツとした乗り心地をもたらしているものの、SUV特有のボディーの揺れはよく抑えられており、ワインディングロードを走るのは苦にならないどころか、むしろ楽しいくらいだ。
走りの楽しさという点では、V60 B5 R-DESIGNも忘れるわけにはいかない。今回のラインナップ変更を機に、このV60でもR-DESIGNが選べるようになったのだ。このV60も、フロントグリルやサイドウィンドウのモールなどがブラックになり、さらにルーフレールもブラックにペイントされたことで、低いプロポーションが強調され、よりシャープでスポーティーな印象になっている。
スポーツワゴンの資質
搭載されるB5パワートレインは、B6と同じ排気量の直列4気筒エンジンで、過給はターボチャージャーのみ。エンジン単体の性能は、最高出力250PS(164kW)/5400-5700rpm、最大トルク350N・m(35.7kgf・m)/1800-4800rpmと少し控えめになるが、2リッターターボとしてはパワフルな部類である。これに、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされるのは、B6と同様である。
早速走らせると、このB5パワートレインも低回転でのトルクが充実しており、発進から動きが軽やか。2リッターよりもひとまわり、いや、ふたまわりくらい排気量の大きいエンジンを操っているような力強さである。アクセル操作に対する反応も素早く、48Vマイルドハイブリッドシステムの効果は絶大だ。回せば3000rpm手前あたりから力強さを増し、高回転まで強力な加速が続くのが頼もしい。
R-DESIGN専用のスポーツサスペンションが装着されたこのクルマは、少し硬めの乗り心地を示し、路面によっては軽くショックを伝えてくることもあるが、そのぶんコーナリング時の挙動は落ち着いており、ボディーサイズを感じさせない軽快な走りが楽しめた。それには、回転数によらずどこからでも即座に強力なトルクを湧き出すB5パワートレインも貢献。見た目だけでなく走りの面でも、スポーツワゴンとしての資質は高い。
48Vマイルドハイブリッドが、その走りをさらに魅力的なものにしているXC60とV60。電動化の恩恵を感じながらのドライブは、実に楽しく、快適である。
(文=生方 聡/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
ボルボXC60 B6 AWD R-DESIGN
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1915×1660mm
ホイールベース:2865mm
車重:1960kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ+スーパーチャージャー
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:300PS(220kW)/5400rpm
エンジン最大トルク:420N・m(42.8kgf・m)/2100-4800rpm
モーター最高出力:13.6PS(10kW)/3000rpm
モーター最大トルク:40N・m(4.1kgf・m)/2250rpm
タイヤ:(前)255/40R21 102V/(後)255/40R21 102V(ピレリPゼロ)
燃費:11.1km/リッター(WLTCモード)
価格:799万円/テスト車=873万5650円
オプション装備:メタリックペイント(9万2000円)/チルトアップ機構付き電動パノラマガラスサンルーフ(21万円)/Bowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム<1100kW、15スピーカー、サブウーハー付き>(34万円)/パワーチャイルドロック(1万4000円) ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダー フロント&リアセット<工賃2万6400円含む>(8万9650円)
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:1297km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
ボルボV60 B5 R-DESIGN
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4760×1850×1435mm
ホイールベース:2870mm
車重:1770kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:250PS(184kW)/5400-5700rpm
エンジン最大トルク:350N・m(35.7kgf・m)/1800-4800rpm
モーター最高出力:13.6PS(10kW)/3000rpm
モーター最大トルク:40N・m(4.1kgf・m)/2250rpm
タイヤ:(前)235/40R19 96W/(後)235/40R19 96W(コンチネンタル・プレミアムコンタクト6)
燃費:12.8km/リッター(WLTCモード)
価格:624万円/テスト車=728万6650円
オプション装備:メタリックペイント(9万2000円)/チルトアップ機構付き電動パノラマガラスサンルーフ(21万円)/Bowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム<1100kW、15スピーカー、サブウーハー付き>(34万円)/5ダブルスポーク 8.0J×19インチ ダイヤモンドカット/マットブラック(11万円)/テーラードパーツ(11万円)/クライメートパッケージ<フロントシートヒーター+ステアリングホイールヒーター+リアシートヒーター+ウオッシャー一体型フロントワイパー[ヒーター機能付き]>(9万5000円) ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダー フロント&リアセット<工賃2万6400円含む>(8万9650円)
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:1601km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
NEW
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。 -
「BYDラッコ」「スズキeスカイ」登場で卍どもえに 軽乗用BEVの覇権はどこが握る?
2026.10.14デイリーコラムこれまで「日産サクラ/三菱eKクロスEV」と「ホンダN-ONE e:」のみだったところに「BYDラッコ」と「スズキeスカイ」が加わり、軽BEV市場がにわかに盛り上がりを見せている。どれもほぼ同じ床面積を持つBEVだが、比べてみるとその中身は結構違う。今後の覇権を握るのはどの陣営か。























































