クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=4806×1944×1404mm/ホイールベース=2746mm/車重=2320kg/駆動方式=4WD/6リッター W12DOHC48バルブターボ(575ps/6000rpm、71.4kgm/1700rpm)/価格=2415万円(テスト車=2745万4600円)

ベントレー・コンチネンタルGT(4WD/6AT)【試乗記】

こんな時代だからこそ 2011.04.18 試乗記 下野 康史 ベントレー・コンチネンタルGT(4WD/6AT)
……2745万4600円

ベントレーの基幹モデル「コンチネンタルGT」の新型が日本上陸。2代目に進化した、ラグジュアリークーペの実力を確かめた。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

その姿は成功の証し

新型「コンチネンタルGT」がやってきた。本当は1カ月前に箱根で乗れるはずだったのだが、東日本大地震で試乗会がキャンセルになった。しかしそのおかげで、1日とはいえ、個別に借りられることになった。つかの間の豪邸訪問、という感じだ。

今やベントレーの看板になったコンチネンタルGTは、2003年の登場以来、これが初めてのモデルチェンジである。一見、変わっていないように見えるが、ボディパネルは一新された。
ウエストラインが上がって、上屋はさらに引き締まった。アルミパネルを500度Cに熱して、空気圧でプレスする“スーパーフォーミング”により、フロントフェンダーやボンネットのプレスラインはダイヤモンドカットのようにシャープになった。ぶつけたらオオゴトだろうが。フロントエンドの傾斜はきつくなり、リアのデザインも大きく変わっている。
しかし、もしあなたが旧型のオーナーでないなら、手っ取り早く新型を見分けるポイントはヘッドランプである。丸目4灯のプロジェクターライトのまわりにLEDが埋め込まれたのが見た目に大きな特徴といえる。

それにしても、これだけいろいろイジったのに、フルチェンジでも外観の“印象”を変えていないのは、コンチネンタルGTが成功作だからだろう。1919年の会社創設から1999年まで、80年間にわたるベントレーの生産台数は1万6000台だったが、フォルクスワーゲン傘下で歴史をスタートさせたコンチネンタルGTは2003年からわずか7年間で2万3000台を販売した。日本にも858台が生息している。
ロールス・ロイスと別れた新生ベントレーの象徴がコンチネンタルGTである。

インテリアの様子。左右対称のインストゥルメントパネルのデザインは、「ベントレーウイング」と呼ばれるエンブレムをモチーフとしたもの。
インテリアの様子。左右対称のインストゥルメントパネルのデザインは、「ベントレーウイング」と呼ばれるエンブレムをモチーフとしたもの。 拡大
LEDとキセノンライトで構成される、新型「ベントレー・コンチネンタルGT」のヘッドランプ。先に発売された同社のサルーン「ミュルザンヌ」にも見られるディテールだ。
LEDとキセノンライトで構成される、新型「ベントレー・コンチネンタルGT」のヘッドランプ。先に発売された同社のサルーン「ミュルザンヌ」にも見られるディテールだ。 拡大
ボディサイドのデザイン処理は、1950年代に生まれた「R-Type」にヒントを得たとされる。楕円(だえん)のリアコンビランプやマフラーエンドは、先代モデルから継承されている。
ボディサイドのデザイン処理は、1950年代に生まれた「R-Type」にヒントを得たとされる。楕円(だえん)のリアコンビランプやマフラーエンドは、先代モデルから継承されている。 拡大
ベントレー コンチネンタルGT の中古車webCG中古車検索

シルクで包んだ高性能

試乗車のボディカラーは“グレイシア・ホワイト”。このご時世に自らをライトアップしているような明るい「氷河の白」だ。渡辺篤史みたいにいちいち感心しているときりがないので、走り出そう。

エンジンは旧型と同じ6リッターW型12気筒ツインターボだが、新たにチップ・チューンが施されて、パワーはプラス15psの575psに、トルクはプラス50Nm(5.1kgm)の700Nm(71.4kgm)に向上している。加えてシートの軽量化などで65kgのダイエットにも成功したため、0-100km/hは4.8秒から4.6秒と、また少し速くなった。

だが、ふだんの新型コンチネンタルGTは、そんな超高性能をひけらかすそぶりさえみせない。たとえフルスロットルを試みても、“ガツン”とガ行で加速Gが立ち上がるようなこともない。加速感にも減速感にも、そして操舵(そうだ)感にも、いちいちシルクで包んだような“まるさ”が介在する。ライバルのひとつは「マセラティ・グラントゥーリズモ」だろうが、メイド・イン・サーキット的なダイレクト感とアツさをもつラテン・クーペと比べると、コンチネンタルGTははるかに静穏でやさしい。「文学的」と言ってもいいかもしれない。このクルマが、アクセルを踏み続けると318km/hのトップスピードに達するなんて、にわかには信じがたい。

ダンピングはモニターのタッチスイッチでコンフォートからスポーツまで4段階に切り替えられる。最軟と最硬ではかなり違うが、最も硬くしたところで、乗り心地が悪くなるほど硬くはならない。


ベントレー・コンチネンタルGT(4WD/6AT)【試乗記】の画像 拡大
W型にシリンダーを配置する6リッター12気筒。日本では流通していないものの、環境に配慮したバイオエタノール混合燃料も使用できる。
W型にシリンダーを配置する6リッター12気筒。日本では流通していないものの、環境に配慮したバイオエタノール混合燃料も使用できる。 拡大
コブラデザインのフロントシート。ヒーター&クーラーはもちろん、マッサージ機能も備える。なお、後席には大人ふたりが座れ、乗車定員は4名。
コブラデザインのフロントシート。ヒーター&クーラーはもちろん、マッサージ機能も備える。なお、後席には大人ふたりが座れ、乗車定員は4名。 拡大
間口に比べて、奥への広がりが大きな荷室。開口部の上端に見えるのは、96万6500円のオプション「Naim fot Bentleyプレミアムオーディオシステム」だ。
間口に比べて、奥への広がりが大きな荷室。開口部の上端に見えるのは、96万6500円のオプション「Naim fot Bentleyプレミアムオーディオシステム」だ。 拡大

心に沁みるインテリア

50:50のイーブンだった4WDの前後駆動配分は、新型から40:60の後ろ寄りにあらためられた。6段ATは、変速スピードを従来の半分に短縮した“クイックシフト・トランスミッション”に換わった。いずれも、旧型の終盤に限定生産された“スーパースポーツ”にならった改良である。

今回は市街地と高速道路のみの試乗だったので、より後輪駆動に近づいたスポーティなハンドリングを堪能することはできなかった。シフトのスピードアップは、旧型でも遅いとは思わなかったので、「そうかな」という感じ。それよりも、相変わらずパドルシフトのレバーがぼくには遠すぎて、トホホな思いをする。「ここ400年、我が一族は働いたことがない」なんていうイギリスの貴族は、みな指が長いのだろう。

東京でもまだ余震がやまず、原発は予断を許さない。不安感がデフォルトみたいになった心に今回とくに“沁みた”のは、クルーの職人が丹精込めた内装だった。運転席サイドシルに“Handcrafted”(手づくり)と刻んだ銘板が貼られる室内に、まがいものやフェイクは存在しない。「ホンモノかな?」なんて下衆のカングリは不要だ。

取り外し可能のサングラスケースは磨きこまれたウッドとアルミで出来ている。見ても触ってもほれぼれする。エッ、でも7万5000円するの!? メガネ入れが! ダッシュボード壁面を飾る魚のウロコのようなプレートは、戦前からの伝統的な装飾だが、17万8200円する。革の縫い目は“コントラストステッチ”といって、25万1700円。ウーム……。
でも、こんな時代だからこそ、お金のある方々はぜひ買っていただきたい。グラマラスな美人女優のごときクルマは、そのオーラでもって人々に勇気と元気を与えると思う。

(文=下野康史/写真=郡大二郎)

ホイールサイズは20インチが標準。テスト車は、セットオプションに含まれる21インチを装着する。
ホイールサイズは20インチが標準。テスト車は、セットオプションに含まれる21インチを装着する。 拡大

ベントレー・コンチネンタルGT(4WD/6AT)【試乗記】の画像 拡大
写真のメガネケースは7万5300円のオプション。その質感はもちろん、センターコンソールから取り外して、そのまま持ち歩けるのもウリである。
写真のメガネケースは7万5300円のオプション。その質感はもちろん、センターコンソールから取り外して、そのまま持ち歩けるのもウリである。 拡大
【テスト車のオプション装備】
フェイシア(Bright Tint Aluminium Fascia)=17万8200円/Burnt Oakのコントラストステッチ=25万1700円/ブライトクロムのロワーバンパーマトリックスグリル=13万8700円/前後席のディープパイルオーバーマット=5万2400円/デュオトーンハイドのステアリングホイール=5万7900円/前席マッサージ機能付きベンチレーションシート=11万3000円/シフトレバーの前に装着したウッドの収納ケース=7万5300円/Naim fot Bentleyプレミアムオーディオシステム=96万6500円/リアビューカメラ=15万6200円/Mulliner Driving Specification(21インチ2ピーススポーツアロイホイール+Bentleyエンブレムのシート刺しゅう+ダイヤモンドキルト+キャビンヘッドライニングの多孔レザーハイド+ローレット仕上げのスポーツギアレバー+ジュエル・フューエル・フィラーキャップ+ドリルド・アロイ・スポーツ・フットペダル)=131万4700円)
【テスト車のオプション装備】
フェイシア(Bright Tint Aluminium Fascia)=17万8200円/Burnt Oakのコントラストステッチ=25万1700円/ブライトクロムのロワーバンパーマトリックスグリル=13万8700円/前後席のディープパイルオーバーマット=5万2400円/デュオトーンハイドのステアリングホイール=5万7900円/前席マッサージ機能付きベンチレーションシート=11万3000円/シフトレバーの前に装着したウッドの収納ケース=7万5300円/Naim fot Bentleyプレミアムオーディオシステム=96万6500円/リアビューカメラ=15万6200円/Mulliner Driving Specification(21インチ2ピーススポーツアロイホイール+Bentleyエンブレムのシート刺しゅう+ダイヤモンドキルト+キャビンヘッドライニングの多孔レザーハイド+ローレット仕上げのスポーツギアレバー+ジュエル・フューエル・フィラーキャップ+ドリルド・アロイ・スポーツ・フットペダル)=131万4700円) 拡大
下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

試乗記の新着記事
  • レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
  • BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
  • ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
  • トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
  • キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
試乗記の記事をもっとみる
ベントレー コンチネンタルGT の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。