初代とはまるで違う!? 2021年秋登場の新型「レクサスNX」はここに注目!
2021.06.21 デイリーコラム期待も気合も十分
2014年春の北京モーターショーでお披露目となった「レクサスNX」が、登場から7年の時を経て、初のフルモデルチェンジを受ける。
初代となる現行型は、90以上の国と地域で販売、通算100万台以上をリリースし、年間を通してはブランド全量の約4分の1を占める屋台骨へと成長した。ちなみに日本市場では2020年、「RX」が約1万4000台、NXと「UX」が約1万台という販売状況となっている。モデル末期であることを鑑みれば優秀な数字だ。
「グローバルでみれば、まだまだRXのほうが販売台数は多いですね。でもRXは米国が主力市場なのに対して、NXは欧州はじめ北米外の市場で支持していただいています」
加藤武明チーフエンジニアは初代NXの開発当初から責任者として携わってきたほか、現在はRXの開発責任者も兼任するなど、いってみればレクサスのど真ん中を支える2モデルを育てている。今回、新型NXの概要発表にあたり、加藤さんと新型NXのデザインを取りまとめた須賀厚一レクサスデザイン部部長のお二方に、製品に込めた思いを聞くことができた。
「新しいNXはわれわれが言うところのGA-Kプラットフォームを採用しています。これはトヨタブランドの『RAV4』や『ハリアー』が用いるものと基本は一緒で、プラットフォーム自体の開発当初からNXへの展開も織り込んでいました。ホイールベースが一緒ですから単純な転用ととられてしまうかもしれませんが、走行性能やデザインのためにさまざまな箇所をこのモデル用に再構築しています」
各仕向け地やライバルの動向も踏まえたうえで、NXはRAV4やハリアーよりもひと回り大きな20インチタイヤを履くことを前提として骨格を構成、前バルクヘッドの板厚アップをはじめ、サブフレームや足まわりには専用の部品を使用し、各部に補強を加えている。またPHEV版では、「RAV4 PHV」では右後部にある12Vの補機類用バッテリーをリア中央部に移動し、空いたスペースはデザインのために割いているという。
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“本質的表現”を求めて
「新型NXは全幅は20mm拡幅しているのですが、骨格の刷新によってリアのトレッドは59mm広がっています。リアビューがぐっとワイドスタンスになって安定感が出た一方で、リアオーバーハングは短くしていますから、リアタイヤからバンパーにかけて強い絞り込みを入れないとぼんやりした印象になってしまいます。12Vバッテリーを中央部に移動してもらうことでその絞り込みのスペースが確保できました」
デザイン部門を取りまとめる立場になって初めて担当した市販モデルがこのNXになるという須賀さんは、このモデルから変わっていくレクサスデザインのキーファクターを、「直感的」や「シンプル」という言葉を多用しながら解説していく。
「長年レクサスに携わってきて顧みると、以前はアバンギャルドであれという気持ちがちょっと強く働いていたような気がしていまして、そこをもう少し人間的にストレートに、機能に基づいた本質的表現として形づくっていきたいと思っていました。その思いをこのNXから展開していこうと。具体的には2030年の電動化されたレクサスをイメージしたコンセプトカー『LF-30エレクトリファイド』で提示したいくつかのデザインキーをこのNXから反映し始めています」
具体的にはエンジンスタートボタンからドライブモードセレクター、シフトセレクターと、走りだすために使う一連のスイッチ類を一直線に並べ、手を自然に下ろしながらすべてにリーチできるようにしながらも、14インチの大型インフォテインメントディスプレイとの干渉を防いだ点や、ダッシュボード上縁部をなるべくフラットな形状としつつ、ドライバーの視線と干渉するような凹凸や割線を抑えた点など、これらはLF-30エレクトリファイドで示された「Tazuna」というデザインコンセプトの反映でもある。
エクステリアではテールまわりのエンブレムやコンビランプなどのグラフィックに目がいくが、全体のキャラクタープレスを抑えて形状で見せる形を意識し、そのなかでグリルがボンネットラインと面一的な形状だったところが独立した形状へと変わりスピンドルらしさがより鮮明に表されたりと、本位や本質に沿った表現を心がけているという。
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走りの四駆に乞うご期待
新型NXはパワートレインの話題に事欠かない。国内だけでも、2.5リッター自然吸気の「NX250」、2.4リッター直噴ターボの「NX350」、2.5リッターハイブリッド「NX350h」、そして2.5リッタープラグインハイブリッドの「NX450h+」が用意される。このうち、2.4リッター直噴ターボのT24A-FTSユニットは、全モデルが4気筒化されたNXにおいて、また恐らくは今後のコーポレートでのモデル群において3.5リッターV6の代替と想定されるエンジンだ。
「電動化への対応もNXの重要なミッションでしたが、やはり仕向け地の事情や嗜好(しこう)の多様化等にも応えるために、このバリエーションになりました。2.4リッターターボはセンター吹きのインジェクションを採用した全く新しいエンジンファミリーですが、これも走りを楽しみたいというニーズに十分応えられるものに仕上がっています」
このNX350は最高出力279PS、最大トルク430N・mというアウトプットを四駆で受け止める仕立てだが、そのドライブトレインの骨格には「GRヤリス」の電子制御多板クラッチ式を採用しており、駆動配分は75:25~50:50の間でリニアにコントロールされる。また、プラグインハイブリッドシステムもRAV4 PHVのものをベースとしながら、より積極的に後輪側のモーターを活用し、ダイナミックなドライバビリティーを実現しているという。このところ、トヨタは商品力向上の一環として四駆にこだわりをみせているが、レクサスでもいよいよTNGA世代となったこのNXから四駆のアクティブな活用が模索されることになりそうだ。
「新型NXは2020年にマイナーチェンジを受けた『IS』や『LS』と同様、下山テストコースで徹底的に鍛え上げたクルマです。また、ゼロからNXありきで骨格を検討し熟成してきたという点で開発環境もプロセスも初代とは大きく異なっています。相応の進化とともに、新しいレクサスの走りとはこういうものだということを間違いなく感じていただけるものになっていますので、ご期待ください」
群雄割拠の激戦区にあって、加藤さんは初代からバトンをつないだ新型NXの仕上がりに自信をのぞかせる。果たしてその仕上がりはいかなるものだろうか。日本での販売は今秋が見込まれる。
(文=渡辺敏史/写真=トヨタ自動車/編集=関 顕也)
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渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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