フェラーリ812GTS(後編)

2021.08.12 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 いろいろ言いたいネガもある。それでもあらがい難いフェラーリの魅力とは……? レーシングドライバー谷口信輝が、フラッグシップオープンスポーツ「812GTS」の走りについて熱く語る!

こんなエンジンめったにない

この世のものとは思えない美しいエキゾーストノートをあたりにまき散らしながら、箱根のワインディングロードでフェラーリ812GTSに試乗した谷口信輝。コックピットから降り立った谷口が、いの一番に放ったのが「ムチャクチャ刺激的ですねえ」という言葉だった。
「とにかく、加速とエンジンフィールがむちゃくちゃ気持ちいいスポーツカーです」

谷口がそう言いたくなる気持ちはよくわかる。かくいう私も、エンジンの気持ちよさだけで言えば、812GTSに搭載された自然吸気V12の右に出るエンジンはめったにないように思う。

それにしても、なんでこのV12エンジンはこれほど刺激的なのか? 谷口に説明してもらった。
「僕も、これほど気持ちのいいエンジンってほかにないと思います。どうしてこんなに気持ちのいいエンジンができあがったのか、僕にもうまく説明できませんが、数あるフェラーリV12のなかでも、飛び抜けて気持ちいいエンジンだと思いますよ」

さらに谷口はこう言葉をつないだ。
「正直、『ヨーイ、ドン!』で競争させたら、812GTSより速いスポーツカーはほかにあるかもしれません。でも、パワーだけじゃなく、やっぱりこのサウンドなんですよね。それと加速時の刺激感がハンパない。しかも、ギアボックスのフィーリングが、またたまらないんです。別にレースモードとかじゃなくて、標準的なスポーツモードで走っていても、シフトダウンするたびにいちいち『フォン! フォン!』ってブリッピングしてくれる。正直、『そんなの必要?』って思っちゃいますが、これがやっぱりめちゃくちゃ気持ちいい。ちょっと粋がって乗っている感じがしなくもありませんが、おそらくそういう人たちが乗るためにつくられたクルマなんでしょうね」

そう言って谷口は812GTSの官能性を絶賛したが、だからといって谷口が最も重視するコーナリング特性が完璧に彼の好み通りだったかといえば、そうでもなかったようだ。

 
フェラーリ812GTS(後編)の画像拡大
 
フェラーリ812GTS(後編)の画像拡大
 
フェラーリ812GTS(後編)の画像拡大
 
フェラーリ812GTS(後編)の画像拡大
関連記事
  • フェラーリが新型のオープン4シーター「ローマ スパイダー」を発表 2023.3.17 自動車ニュース フェラーリが新型のオープン4シーター「ローマ スパイダー」を発表。同ブランドでは実に54年ぶりとなるFRのソフトトップモデルで、電動で展開するウインドディフレクターなど快適装備を多数採用。クーペゆずりの優雅なスタイルや、高い動力性能も魅力だ。
  • 第740回:10年でどれだけ進化した? 新旧「三菱アウトランダーPHEV」を乗り比べる 2023.3.10 エディターから一言 新旧の「三菱アウトランダーPHEV」を乗り比べ。2021年12月発売の最新モデルのほうが優れているのは間違いないが、旧型だって今もなお通用するだけのドライバビリティーを備えている。果たして勝敗を決するポイントは?
  • フェラーリ・プロサングエ(4WD/8AT)【海外試乗記】 2023.3.8 試乗記 フェラーリ初の4ドア・4シーターモデル「プロサングエ」に、冬のアルプス山麓で試乗。一部から「SUVの跳ね馬なんて……」と懐疑的な目で見られていたマラネッロの新作は、V12フェラーリの血統を確かに受け継ぐ、由緒正しきスーパースポーツに仕上がっていた。
  • スバル・ソルテラET-HS(4WD)【試乗記】 2023.3.3 試乗記 日本の2メーカーが共同開発した電気自動車(BEV)「トヨタbZ4X」と「スバル・ソルテラ」。ライバルが出そろってきたところで、この“和製BEV”の仕上がりをあらためてチェック。その美点と弱点からは、メーカーのBEV戦略が抱えるややっこしい事情が垣間見られた。
  • トヨタGRカローラRZ(4WD/6MT)【試乗記】 2023.3.2 試乗記 ボディーもパワートレインも専用仕立て……なのだが、「GRカローラ」を走らせてみると、どこか懐かしい感じがする。何かが突出しているわけではなく、すべての要素が高バランス。この味わいはまぎれもなくカローラだ。ただし、その速さはとんでもない。
ホームへ戻る