ナビ業界の二刀流
パナソニックの大画面ストラーダの進化が止まらない。2DINスペースしか用意されないクルマでも大画面ナビが設置可能という触れ込みで、2016年に新登場したFシリーズ。以来、ほぼ毎年改良を加えて大画面ナビの地歩を固め、20年にはそのフローティングディスプレイに10V型有機EL搭載モデルの投入でライバルに大きな差をつけた。ついに行き着くところまで行ったかの感さえあった2020年モデルだったが、2021年モデルではソフトウエア、プラットフォームを一新させてきた。ハードウエアで群を抜き、中身も最先端の内容──まさしく“二刀流ナビ”の登場ではないだろうか。
2021年Fシリーズの新しくなった部分は電源を入れればすぐにわかる。HD解像度の地図を新採用したのが最大のニュースだが、見た目から新鮮さを感じさせる地図なのだ。メーカー自らが「HD美次元マップ」と呼ぶように、地図もハイビジョン画質に進化、より詳しく言えば解像度を従来のWVGAと比べて2.4倍に高めたことで細部まで高精細に描いた地図なのである。HD解像度地図の採用により有機ELディスプレイも持てる描画能力を存分に引き出せた、というわけである。
地図の見せ方もまったく新しい。基本となる2D地図は視認性を考慮した配色となり、道路も実際の道幅と形状で描かれる。デフォルメ感のあった従来地図と比べるといかにも地図らしくなった。個人的にはこのほうが格段に見やすいと思う。同じスケールで描かれる範囲も従来よりひと回り広くなったのも歓迎すべきだ。圧巻は3D地図で、ビルの明かりや影までリアルに表現するだけでなく、建物の透過具合が自然になり、特にビル街を走行するシーンでは周囲の建物が自然に変化していく。操作性も上がった。例えば3D地図の上に指を2本置き、下方向にドラッグしていくとそのまま2D地図に変わる。従来は3Dから2Dにするには地図の切り替えモードを経なければならなかったが、ドラッグ操作ひとつで変えられるようになったのは便利だ。こうした新しい描画方法が取り入れられた裏には処理能力が大幅アップしたCPUの存在が大きい。フリックなど他のモーションコントロールがストレスなく操作できるようになったのも、高性能CPUのたまものなのだ。
新CPUはすべての性能をアップさせた
高速CPUはナビ機能にも大きな性能向上をもたらした。まず挙げられるのがルート探索。目的地を設定してからルートを引き終わるまでの時間が大幅に短縮されたのも特筆すべきだが、1ルートだけでなく5ルートを同時に引いてしまうのだから驚く。自車位置精度も恩恵を受けた。CPUの演算処理能力が上がったため1秒間の測位回数を従来の4回から10回に増やすことができ、例えば立体駐車場や上と下の道が重なる2階建て道路といった、ナビにとって極めて厳しい環境でも自車位置をスムーズな動きで表示できるようになったのだ。すなわち正確さも増したということだ。
検索機能はナビ内部の検索データベースが元になるが、内蔵のWi-Fi機能を生かしてスマホとテザリング接続すれば、音声認識で最新のデータを使った目的地設定ができる。
再び地図の話になるが、市街地図もアップデート。全国の市街地を100%カバーした全国市街地図(収録エリアは1741都市<無人島など一部離島を除く>)を搭載している。地図更新については、SDメモリーカードを介して自宅等で行うWEBダウンロード方式で最大3年間無料で対応するから、その間に新規開通される道路も取り込むことができる。
2年目に入った有機ELディスプレイ
F1X10BHDを語るなら有機ELディスプレイについても触れないわけにはいかない。初めてこれを採用したF1X10BLDが登場してから1年。依然として有機ELを搭載するライバルが出てこないことからもパナソニックの優位性がわかるというものだ。有機ELのメリットはさまざまある。そのひとつはもちろん高画質が得られる点だが、その理由はまず有機ELが自発光式なので色の再現性が高く、特に黒の描写能力に優れる点にある。有機ELは漆黒の黒でも表示能力が高く、これは本来の特性とともにそもそもバックライトを必要としないからできること。黒の描写はすべての色再現の基本なのだ。
車載型ディスプレイでは外光の映り込みなども難題だが、有機ELはその点でも有利。バックライトのない構造に加えて、見る角度によって輝度変化が少ない点やハイコントラストという特質が有利に働いている。さらに低反射フィルムの採用やエアレス内部構造も、外光の映り込み防止に貢献している。耐久性はどうか。それについてはF1X10BLDによって得られた1年間の実績がすべてを語っているといえるだろう。
有機ELならではの高画質が遺憾なく発揮されるのが映像の再生だ。従来、ストラーダはブルーレイディスクの再生が可能な唯一のナビだが、有機ELディスプレイの登場によりブルーレイ再生の美しさは一層ハイレベルなものになったのだ。ナビの大画面でブルーレイ再生を楽しむだけでなく、装備されたHDMI端子を活用すれば、後席用ディスプレイで高精細なブルーレイ映像を楽しむことだってできる。
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ライブ映像がより楽しく見られる
オーディオ性能にも磨きがかけられた。ストラーダはこれまでも音のプロ集団、ミキサーズラボとコラボして高音質再生を追求してきたが、10V型モデルではライブ演奏で臨場感あふれる音を演出する「極(きわみ)サラウンド」モードを開発・搭載した。ハード面でもオペアンプ、フィルムコンデンサー、DSPなどの音質に関わるパーツを一段と高級化したことも音質向上にひと役買っている。またハイレゾ音源には従来モデルでも対応してきたが、ブルーレイ対応モデルではブルーレイのハイレゾ音源(BDオーディオディスク)の再生にも対応している。
別売機器と連携すれば機能も広がる
10V型モデルでは、高度化光ビーコン対応のETC2.0車載機CY-ET2500VDと連携させることで、信号情報活用運転支援システムを利用できる。これは前方の信号情報をそこに到達するかなり手前で受け取ることにより一定のスピードでスムーズに交差点を通行することができるという次世代のサービス。また、同社のナビ連携専用の前後2カメラ式ドライブレコーダーCA-DR03HTDを装着すれば一般的なドライブレコーダー機能のほかに前方および後方の映像を常にディスプレイに映し出すこともできる。今や必需品といえるリアビューカメラも用意。これらはすべてHD解像度で表示される。
最高峰のディスプレイ、HD解像度の新しい地図──大画面ストラーダはここまで登り詰めた。この先まだ何があるのかは知る由もないが、CN-F1X10BHDは現時点で一頭地抜けたナビであることは間違いない。
お問い合わせ:パナソニック お客さまご相談センター
0120-50-8729
(文=尾澤英彦)
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尾澤 英彦
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