スバル・フォレスター スポーツ(4WD/CVT)
基本ができていればこそ 2021.12.07 試乗記 スバルのミドルクラスSUV「フォレスター」がマイナーチェンジ。足まわりの改良や予防安全・運転支援システムの機能強化など、大幅に手が加えられた。進化したスバルの基幹モデルの実力を、ターボエンジンを搭載した最上級グレードで確かめた。スバル版“足のいいやつ”
「スバル車買うならフォレスター」とは、われながらあまりに雑な感想だが、本当にそう思ったのだから仕方ない。乗っているのは、シリーズ唯一のターボモデルとなる「フォレスター スポーツ」。2020年10月に新グレードとして登場したモデルだ。他のグレードともども、2021年8月のマイナーチェンジでフェイスリフトを受け、足まわりがブラッシュアップされ、安全装備たる「アイサイト」が高機能化された。
ステアリングホイールを握って走りだしたとたん、「これは!」と思わせる引き締まったドライブフィールが印象的。スポーツの名に偽りはない。わずか1600rpmから300N・mの最大トルクを発生するボクサーターボも頼もしいが、路面情報をよく伝える硬めの足まわり。それでいて、入力をものともしない高いボディーの剛性感。そしてシュアなステアリング。フォレスター スポーツの走りは、いわゆる「シャシーが勝った」タイプで、ハイトがあるSUVとして好ましいものだ。
「自然と遊ぶ人生のそばに。」と、いささかひねりのないキャッチコピーを掲げるスバルのSUVだが、1.8リッターターボ(177PS、300N・m)を積むスポーツはちょっと違う。むしろ自然と遊ぶ現地まで、ちょうどいいスポーティーさでドライバーを喜ばせる“足のいいやつ”である。積極的にステアリングホイールを握りたくなるクルマだから、なかなか家族サービスに徹しきれないカーガイ(死語)や、日常から遠く離れた場所でひとりキャンプを満喫したい走り好きの人にピッタリだ。車両本体価格は330万円。
身内にとっても大きな脅威?
現行の5代目フォレスターがデビューしたのは2018年。「インプレッサ」が先行して採用した「スバルグローバルプラットフォーム」を用いた力の入ったモデルチェンジだった。
当初は、2.5リッター自然吸気(184PS、239N・m)と2リッター自然吸気(145PS、188N・m)+電気モーター(13.6PS、65Nm)の、2種類の動力系がラインナップされていたが、冒頭に記した2020年に2.5リッターがカタログから落とされ、代わりに1.8リッターターボが追加された。
かつて2.5リッターに設定されていた3グレードは、2リッター+モーターの「e-BOXER」モデルに引き継がれた。すなわち、はっ水シートを備えた「ツーリング」(293万7000円)、オレンジの差し色がカジュアルな「X-BREAK」(308万円)、レザーシートがおごられる「プレミアム」改め「アドバンス」(317万9000円)である。今回の試乗車、2代目「レヴォーグ」が初めて使った新世代ボクサーターボを搭載するスポーティーバージョンが、ラインナップのトップを務めることになる。
世間的に良好な燃費や環境性能が求められるなか、カタログモデルとしてハイブリッドは必須で、一方2.5リッターとなると「ちょっと大きいね」と敬遠されるきらいがあったのだろう。新たなe-BOXERとターボモデルのすみ分けは、一般ユーザーから見て、わかりやすい構成になったといえる。2.5リッターフォレスターは、今後「ウィルダネス」シリーズの一員として、別のキャラクターをまとって国内に復帰するのかもしれない。
気になる燃費(WLTCモード)は、e-BOXERモデルが14.0km/リッター、スポーツが13.6km/リッターとカタログに記載される。ちなみに同じ1.8リッターターボを持つレヴォーグも13.6km/リッター。車重がほぼ変わらず、動力系も共用するから驚くにはあたらないが、フォレスター スポーツは国内でのスバル車販売ナンバーワンのレヴォーグにとって、油断ならないライバルといえるかもしれない!?
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乗って実感するプラットフォームの大切さ
マイナーチェンジを受けたフォレスターのデザインテーマは「BOLDER」。“大胆”に姿を変えたかというと、熱心なスバルファンならぬ身には、グリルが大型化して「若干、立体感が増したかな?」と思う程度。あとは18インチのアルミホイールが新しい意匠になっている以外に、気づく点はない。スイマセン。フォレスターはことに北米市場で好調で、世界的にはスバルの屋台骨を支える人気モデルだから、言うまでもなくキープコンセプトは正解だ。
予防安全・運転支援システムたる「アイサイト」が新世代に移行したのもニュース。フロントガラスに貼り付けられたステレオカメラの画角が約2倍となり、カバーできる範囲が広がった。交差点での事故回避や、クルーズコントロール作動時の追従性向上などに寄与するはずだ。ただ、レヴォーグが装備する前方をセンシングするレーダーや、ブレーキの電動式の倍力装置は省かれ、GPSや準天頂衛星の情報も活用するハンズオフ走行機能付きの「アイサイトX」も設定されない。
ターボ、e-BOXERとも、フロントスプリングとショックアブソーバーのチューンを見直したのも見逃せない。日常的に使うにあたって「わかりやすく、ちょうどいい」と個人的に感心したフォレスター スポーツの足は、高剛性のグローバルプラットフォームがあるからこそチューニングの効果を発揮できるわけで、しっかりした土台って、大切ですね。
機能性の高さも申し分なし
フォレスターのターボモデルといって思い出すのは、2リッターターボを積んだ初代で、当時勤めていた会社に社用車として導入されていたものだ。ワイルドさを残したボクサーエンジンは、燃費は褒められたものではなかったが、高速道路を使った長距離移動にはありがたく、またテールゲードを開けて平たいフロアにバンバンと荷物を積めるのがよかった。「四角くて、速くて、便利なクルマだなァ」と思ったが、実際、営業に、納品にと、文字通り馬車馬のように酷使されていた。
あれから約20年。21世紀のフォレスターターボは、ずいぶんと立派になって、走りも洗練された。全長4640mm、全幅1815mmの大きさは、国内では「もうひとまわり小さいほうが使い勝手がいいのに」と感じるが、主戦場たるアメリカではコンパクトSUV扱いされかねないサイズである。初代と比べるのもナンだが、かつてはプアだった後席も見違えるほどよくなって、現行フォレスターでは足もと、頭上とも余裕があって快適。ファミリーで行くアウトドアにもちゅうちょなく使える。ボディー拡大のメリットである。
520リッター(VDA法)の容量を誇るラゲッジルームは、小物や汚れ物を収納する床下スペース付き。開口部が広く、荷物を積みやすいのが美点だが、営業用に使うのはもったいないかな。オプションだけれど、ボタンひとつでテールゲートを開閉できる便利なパワーゲートはぜひ装着したい。あと、大きなサンルーフは、リアシートに座っていると、流れる空や雲、樹木などが次々と見えるので、後席の子供のワクワク感を増幅させるのに有効だと思う。
(文=青木禎之/写真=郡大二郎/編集=堀田剛資)
テスト車のデータ
スバル・フォレスター スポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4640×1815×1730mm
ホイールベース:2670mm
車重:1590kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.8リッター水平対向4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:177PS(130kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1600-3600rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98H M+S/(後)225/55R18 98H M+S(ファルケン・ジークスZE001 A/S)
燃費:13.6km/リッター(WLTCモード)/16.5km/リッター(JC08モード)
価格:330万円/テスト車=353万1000円
オプション装備:ルーフレール<ロープホール[ブラック塗装・シルバー加飾]付き>+パワーリアゲート+大型サンルーフ(23万1000円)
テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:2483km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5)/高速道路(5)/山岳路(0)
テスト距離:146.4km
使用燃料:14.1リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:10.4km/リッター(満タン法)/10.1km/リッター(車載燃費計計測値)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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