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ホンダ・ヴェゼルe:HEVモデューロXプロトタイプ(4WD)

日々の運転にワクワクを 2022.02.17 試乗記 鶴原 吉郎 ホンダのコンパクトSUVをベースに、走りに磨きをかけた「ホンダ・ヴェゼル モデューロX」。ホンダアクセスが開発を進めるコンプリートカーのプロトタイプに、いち早く試乗する機会を得た。「日常使いでも違いが感じられる」という、その走りの秘密に迫る。
「東京オートサロン2022」にコンセプトモデルが出展された「ホンダ・ヴェゼル モデューロX」。市販化されれば、「モデューロX」シリーズとして8台目のモデルになる。
「東京オートサロン2022」にコンセプトモデルが出展された「ホンダ・ヴェゼル モデューロX」。市販化されれば、「モデューロX」シリーズとして8台目のモデルになる。拡大
「モデューロX」のアイコンでもある“X”をモチーフにしたフロントマスクの意匠。フードの先端やバンパーサイドの形状の最適化と、リップスポイラーやエアロフィンの追加により、空力性能の向上を図っている。
「モデューロX」のアイコンでもある“X”をモチーフにしたフロントマスクの意匠。フードの先端やバンパーサイドの形状の最適化と、リップスポイラーやエアロフィンの追加により、空力性能の向上を図っている。拡大
床下を流れる空気の清流に寄与するフロント下部のエアロスロープ。フロントタイヤの前方にも、小さなフィンが並べられている。
床下を流れる空気の清流に寄与するフロント下部のエアロスロープ。フロントタイヤの前方にも、小さなフィンが並べられている。拡大
リアタイヤの後方に設けられた、新たな空力デバイス。三角形の波状の“壁”を設けることで空気の流れを調整し、リアタイヤのリフト量を減少させている。
リアタイヤの後方に設けられた、新たな空力デバイス。三角形の波状の“壁”を設けることで空気の流れを調整し、リアタイヤのリフト量を減少させている。拡大

4輪の接地性を重視

ホンダのヴェゼルe:HEVモデューロXコンセプトに初めて対面したのは、「東京オートサロン2022」の会場だった。ボディー同色の、ちょっとグリルレス風にデザインされたオリジナルのヴェゼルに対し、しっかりとグリルの存在を主張するモデューロXは、オリジナルより引き締まった印象がある。グリル形状には新型「シビック」を思わせる部分もあり、これはこれでアリだな、と思っていた。そのときには「2022年内の発売を目指す」と説明されていたのだが、まさかこれほど早く、そのステアリングを握る機会が得られるとは思わなかった。

まだ市販されていないモデューロXに試乗できたのは、2022年2月初旬に開催されたホンダの雪上試乗会で、試乗車のなかに開発中の「モデューロX(AWD)プロトタイプ」が含まれていたからだ。開発を担当したホンダアクセス開発部NVD2ブロックスタッフエンジニアの菊川邦裕氏によれば、モデューロXの走りの方向性は「誰がどんな道で乗っても安心して気持ちよく走れる」ようにすることであり、そのために「あらゆる路面で懐深い」「しなやかで上質な乗り味」「意のままに曲がれる」などを目指したという。その実現のために、足まわりを専用のセッティングとし、実効空力を意識したエアロパーツを装着している。

ここで言う「実効空力」とは、高速領域だけでなく、40~50km/hという日常走行領域でも体感できる空力性能のことであり、その特徴はすべてのタイヤに均等に荷重を発生させることを目指していることだ。

標準車の場合、プラットフォームのベースがFFであることもあり、走行時には前輪の荷重が大きい前傾姿勢の傾向があるという。これに対し、モデューロXではそれぞれのタイヤをしっかり接地させ、タイヤの持つ性能をフルに引き出すことができるように、前後のリフト量を均等に近づけている。

後輪荷重を増やすため、特に効果的だったのがリアのボディー下面に取り付けた新しい空力デバイスだ。床下に三角の形状をした突起を追加することで車体下面からの空気の吸い出しが向上し、後輪を地面に押し付ける力を発生させているという。

ホンダ ヴェゼル の中古車
車体上部の空気を整流するテールゲートスポイラー。こちらはカタログモデルにも設定される、純正のアクセサリーである。
車体上部の空気を整流するテールゲートスポイラー。こちらはカタログモデルにも設定される、純正のアクセサリーである。拡大
足まわりについてはホイールも専用開発。「ホイールもサスペンションの一部」という考えのもと、バネのようにしならせる設計を取り入れている。
足まわりについてはホイールも専用開発。「ホイールもサスペンションの一部」という考えのもと、バネのようにしならせる設計を取り入れている。拡大
日常使いでも違いが感じられることを重視して開発される「ヴェゼルe:HEVモデューロXコンセプト」。専用設計の空力デバイスや足まわりの効能は、雪上試乗でも実感が得られるものだった。
日常使いでも違いが感じられることを重視して開発される「ヴェゼルe:HEVモデューロXコンセプト」。専用設計の空力デバイスや足まわりの効能は、雪上試乗でも実感が得られるものだった。拡大

中低速でも実感できる接地性の向上

またサスペンションも、どんな荒れた路面でもタイヤが地面から離れず、接地を維持することや、バンプエリア付近でもニュートラルステアを維持してコントロール性を確保することを目指してセッティングされている。具体的には、ダンパーの減衰率を上げるとともに、バネも細かく調整しているというが、詳細については明かされなかった。

ホンダアクセスから実効空力の話を聞いたときに、筆者は正直なところ半信半疑だった。それほど低速から空力パーツの効果を実感できるとは思えなかったからだ。ところが、その後に雪上で試乗したモデューロXプロトタイプに試乗して驚いた。ベース車に比べて、雪道で直進しているときでも明らかに4輪の接地性が向上していることが感じられ、速度を上げても不安感がなかったのだ。

コーナリングでも、ベース車より速い速度で飛び込んでも外側にはらむことなく走行できるのは、後輪にしっかりと荷重がかかる結果、前輪の摩擦力に余裕が生まれ、滑り出すことなく旋回に必要なヨーを生み出せているからだろう。それでいて乗り心地も損なわれていない。今回はわずかな時間の試乗ではあったが、発売後はぜひ舗装路でもその性能を確かめてみたいと思う仕上がりだった。

(文=鶴原吉郎<オートインサイト>/写真=本田技研工業/編集=堀田剛資)

ホンダ・ヴェゼルe:HEVモデューロXプロトタイプ
ホンダ・ヴェゼルe:HEVモデューロXプロトタイプ拡大

【スペック】
全長×全幅×全高=--×--×--mm/ホイールベース=--mm/車重=--kg/駆動方式=4WD/エンジン=1.5リッター直4 DOHC 16バルブ(最高出力:106PS/6000-6400rpm、最大トルク:127N・m/4500-5000rpm)/モーター:交流同期電動機(最高出力:131PS/4000-8000rpm、最大トルク:253N・m/0-3500rpm)/燃費=--km/リッター/価格=--円(※エンジンおよびモーターの表記は標準モデルの参考値)

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎

オートインサイト代表/技術ジャーナリスト・編集者。自動車メーカーへの就職を目指して某私立大学工学部機械学科に入学したものの、尊敬する担当教授の「自動車メーカーなんかやめとけ」の一言であっさり方向を転換し、技術系出版社に入社。30年近く技術専門誌の記者として経験を積んで独立。現在はフリーの技術ジャーナリストとして活動している。クルマのミライに思いをはせつつも、好きなのは「フィアット126」「フィアット・パンダ(初代)」「メッサーシュミットKR200」「BMWイセッタ」「スバル360」「マツダR360クーペ」など、もっぱら古い小さなクルマ。

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