第692回:ヨーロッパ発のUHPタイヤ「グッドイヤー・イーグルF1アシメトリック5」を試す
2022.06.14 エディターから一言 拡大 |
欧州で開発・製造された「グッドイヤー・イーグルF1アシメトリック5」は、多くのハイパフォーマンスモデルに純正装着されるUHPタイヤだ。その実力と人気の秘密を確かめるべく、同タイヤが装着された「レクサスIS300h」のステアリングを握った。
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4つのイーグルF1
グッドイヤーの乗用車用サマータイヤのなかで、スポーツ性を高めているのが「EAGLE F1(イーグルF1)」シリーズだ。現在、「EAGLE F1 SUPERSPORT(イーグルF1スーパースポーツ)」を頂点に、「EAGLE F1 ASYMMETRIC 5(イーグルF1アシメトリック5)」、「EAGLE F1 SPORT(イーグルF1スポーツ)」、「EAGLE F1 ASYMMETRIC 3 SUV(イーグルF1アシメトリック3 SUV)」の4商品を展開しており、それぞれの位置づけは次のようになる。
新たなフラッグシップモデルとして、日本でも2022年3月から販売がスタートしたのがイーグルF1スーパースポーツ。高いドライグリップ性能とダイレクトなハンドリング性能を誇り、一般道だけでなくサーキットでのスポーツドライビングもカバーする。
このイーグルF1スーパースポーツが登場するまで、イーグルF1のフラッグシップを務めていたのがイーグルF1アシメトリック5で、高いドライ/ウエットグリップ、ブレーキング性能、ハンドリング性能を兼ね備えたトータルバランスに優れたハイパフォーマンスタイヤである。そして、手軽にスポーツ性能を楽しみたいユーザーに向けたエントリーモデルがイーグルF1スポーツ。SUV向けには、イーグルF1アシメトリック3 SUVが用意されている。
欧州の高性能モデル御用達
欧州ブランドのハイパフォーマンスモデルでは、同じ欧州発のイーグルF1アシメトリックシリーズを新車装着しているのをよく目にする。そんなクルマをドライブしてきた経験を振り返ると、イーグルF1アシメトリックはトータルバランスが高いことに加えて、ウエットに強い印象があり、雨の高速道路でも安心して運転できるのがとても心強かった。
その最新版であるイーグルF1アシメトリック5もまたそうしたキャラクターを受け継ぎ、ウエット性能では日本のラベリング制度において、全サイズで最高グレードの「a」を獲得するとともに、転がり抵抗性能も多くのサイズで「A」を達成しているのは見逃せない。
それを支えているのが、イーグルF1アシメトリック5に投入された新技術。例えば、「インパルス・コントロール・コンパウンド・テクノロジー」は、特殊シリカを配合した高補強コンパウンドにより、乗り心地を向上させながら、ドライ/ウエットコンディションでの制動距離の短縮を図る。
また、「アクティブ・ブレーキング・テクノロジー」は、ブレーキングの際に接地面積が広がるブロックデザインとすることで、さらなる制動距離の短縮を実現。そして、「パワー・クッション・テクノロジー」はトレッド下部のベースコンパウンドがエンジンパワーを確実に路面に伝えることで、優れたハンドリング性能を発揮する。
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安心して操れる懐の深さ
その実力を試すべく、今回は前後に235/45R18のイーグルF1アシメトリック5を装着したレクサスIS300hを箱根のターンパイクで走らせた。
まずは控えめなスピードで走りだすと、スポーツタイヤらしく、路面とのコンタクトは少し硬めの印象。荒れた路面では細かいショックを拾ってくるが、スポーツタイヤとしては十分に快適なレベルである。少しペースを上げると、目地段差を越えるような場面でも伝えてくるショックは軽減され、スポーツ性よりも、プレミアム性が強まってくる。
さらにペースを上げ、コーナーに進入していくと、切れ味鋭いシャープな動きこそ見せないものの、ステアリングを切ったぶんだけジワッとグリップが立ち上がり、路面をしっかりと捉えながらコーナーを軽々と駆け抜けていく。ドライビングにナーバスなところがなく、リラックスしたまま軽快なハンドリングを楽しむことができ、多少のミスもカバーしてくれる寛容さが、このイーグルF1アシメトリック5の良いところだ。
気合を入れてスポーツモデルを飛ばしたい人には、フラッグシップのイーグルF1スーパースポーツをお薦めする一方、肩の力を抜いてハイパフォーマンスカーを走らせたいというなら、イーグルF1アシメトリック5が合うと思う。それでも、十分すぎるグリップ性能を備えており、スポーツドライビングの場面でも期待を裏切らないはずだ。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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