ルノー・メガーヌ ルノースポール(FF/6MT)【ブリーフテスト】
ルノー・メガーヌ ルノースポール(FF/6MT) 2011.02.23 試乗記 ……385万円総合評価……★★★★
3代目「ルノー・メガーヌ」のハイパフォーマンスバージョン「メガーヌ ルノースポール」に試乗。走りから使い勝手まで、その実力を確かめた。
「通」か「変」か
「日本人は変だ」。ルノー・ジャポンの担当者は、仏ルノーのスタッフから、冗談まじりにそんなことを言われることがあるという。欧州屈指の大衆車メーカーの製品にもかかわらず、東洋の島国で売れるのは、(ほぼ)商用車の「カングー」と、走りに特化した「RS(ルノースポール)」バージョン。その極端さ。年間2500台前後の小さな市場にして、RSシリーズ販売店の数は、フランス、ドイツについて3番目だとか。ルノーのマーケッターならずとも、首をひねりたくなる不思議な顧客層である。
2008年秋にデビューした「メガーヌ」が、2年と少々遅れて、ようやく日本に入ることになった。メガーヌは、フォルクスワーゲンでいえばゴルフにあたるルノーの堂々たる基幹車種だが、極東に先陣切って送られるのは、イメージブースターたるルノースポール版。2リッター直4ターボ(250ps、34.7kgm)に6段MTの組み合わせという、かの地のスポーティの王道モデル。しかし左ハンドルのみということと併せ、一般の日本人にはなかなか手を出しにくいクルマではある。
価格は385万円から。「アウディTTクーペ」よりは大分お安く、「プジョーRCZ」といい勝負。ライバルと比較して「走り」は勝るとも劣らないメガーヌ ルノースポールだが、一方で両車ほどスペシャルなボディをもっているわけではない。そんな地味派手な(!?)クルマを愛(め)でるメガーヌRSオーナーを「ちょっと変」と見る日本人がいてもおかしくないが、(一部の)クルマ好きにとって、そうした評価が意外にうれしかったりするものである。「通」と「変」は、多くの場合、紙一重なものだから。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
メガーヌは、ルノーのCセグメントカー。現行型は3代目にあたるモデルで、2008年のパリサロンでデビューした。ルノー基幹車種のひとつなので、本国では「ハッチ(5ドア)」「クーペ(3ドア)」「カブリオレ」「グランドツアー(ワゴン)」など多彩なボディバリエーションを誇る。エンジンも豊富だ。先代同様、遅ればせながらも、日本にも順次導入されればいいのだが……。ルノースポールに続き、2011年の夏をめどに、5ドアバージョン(CVT)の導入が計画されている。
(グレード概要)
2011年2月10日、ようやくわが国で販売が開始されたのは、もっともホットなルノースポール。生産工場は、アルピーヌ由来のフランスはデュエップ……ではなく、サプライヤーが集まるスペイン・バルセロナ工場だそう。ちょっと残念……。機関は、2リッター直4ターボ(250ps)に6段MTの組み合わせ。左ハンドルのみ。ホイールは18インチを標準とし、19インチをオプションで用意する。385万円から。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
うむを言わさずスポーティなRSのインパネまわり。ルノーのイメージカラー「イエロー」が随所でアクセントを利かせる。シルバーのメーターリング、ペダル類、シフトノブなど、「いかにも」な演出が、しかし見事にキマっている。中央上部の一等地に設置された「R.S.モニター」には、過給圧、スロットル開度、エンジンのアウトプット、油温ほか、LAP、0-400m、0-100km/h、さらには前後左右方向へのGの出方など、「走り」に関したさまざまな情報を表示できる。クルマ好きにはたまらない!
ハンドルの向かって右の裏には、R.S.モニターやオーディオ関係の操作ができるサテライトスイッチが備わる。「進行方向から目線を外さず各種コントロールができる」とのうたい文句だが、スイッチ類の配置や操作が、少々煩雑に過ぎる。
(前席)……★★★★
前後に長くやや重いドアを開けて車内に入ると、イエローステッチ&ドット入りのレカロ製バケットシートがドライバーを迎えてくれる。いかにもレーシィな外観だが、もちろん背もたれの角度を調整でき、クッションもしっかり入った座り心地のいいシートだ。ホールド性のよさと快適性を高い次元で両立している。イエローのシートベルトがうれし恥ずかしい!!
(後席)……★★
アクセスは少々面倒だが、座ってしまえば思いのほか実用的な後席。座面の位置をやや低くして、頭上空間を稼いでいるが、不自然な着座姿勢になるほどではない。3人分のヘッドレストと、やはりイエローのシートベルトが備わる。
(荷室)……★★
先代の特徴的なリアセクションのデザインが変更されたのは、「もっと荷室を広く」というニーズに応えたからだという。3代目のクーペこと3ドアハッチのルーフラインは、ウィンドウグラフィックの工夫によって5ドアより下り方が急に見えるが、実際のルーフエンドの高さは、ほどほどに保たれている。ラゲッジルームの天地が極端にそがれることを避けるためだ。荷室容量は344リッター。床下にも収納スペースをもつ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
先代メガーヌ ルノースポールよりタービンを大型化し、過給圧を上げた2リッターターボ。可変バルブタイミング機構を備え、最高出力が224psから250psに引き上げられた(最大トルクは30.6kgmから34.7kgmに増大)。しかも燃費も7%向上しているという。
今回の目玉は、「アクセルペダルマッピング機構」。これは、アクセルペダルを踏んだ量とエンジン側のスロットル開度の比率を変更するもので、もっともおとなしく、舗装路では出足がもどかしい「SNOW」から、アクセルを踏んだとたん、飛び上がらんばかりの加速を見せるサーキット用「EXTREME」まで5段階に変更可能。クルマの性格が大きく変わる。
6段MTは、適度なストロークでフィールもいい。ちょっと気になったのは、クラッチペダルのスプリングが強めだったこと。個体特有のものかもしれないが、ストップ&ゴーが頻繁な状況では、多少、気を遣ったクラッチワークが必要とされた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
前マクファーソンストラット、後トレーリングアームと、形式的にはコンベンショナルな足まわりだ。フロントアームはアルミ製。大出力を受ける前輪駆動モデルゆえ、キャスター角を増して直進安定性を高めている。
個人的に感心したのは、先代に引き続き電動パワーステアリングが採用されたが、旧型の初期に顕著だった「太いゴム棒をねじる」かのフィールがすっかり影を潜め、スポーツモデルらしいダイレクト感を得ていたこと。
日本仕様のサスペンションチューンは、「シャシースポール」「シャシーカップ」のうち、ハードな後者。とはいえ、事前に身構えていたほど、硬い乗り心地ではなかった。よくチューンされている。できのいいレカロシートにも助けられていると思うが、これなら助手席の人に終始言い訳をする必要はなさそうだ。
(写真=D.A.)
【テストデータ】
報告者:青木禎之
テスト日:2010年12月23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2010年
テスト車の走行距離:−−
タイヤ:(前)235/40R18(後)同じ(いずれも、ミシュラン・パイロットスポーツ3)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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