レクサスRX500h“Fスポーツ パフォーマンス”(4WD/6AT)
名実ともにプレミアム 2022.12.23 試乗記 「NX」「LX」と新世代モデルが好評なレクサス。これらに続いてラグジュアリーSUVのパイオニアをうたう「RX」もフルモデルチェンジを遂げた。新開発のターボハイブリッドを搭載した「500h“Fスポーツ パフォーマンス”」の仕上がりをリポートする。大黒柱の5世代目
RXこそレクサスを代表するモデルである。1998年に北米向けのラグジュアリークロスオーバーSUVの先駆けとして生まれた初代からの累計生産台数は約362万台(95の国と地域)、今も年間22万台(2021年)を売り上げる。レクサスのグローバル生産台数は76万台だったから、RX一車種でその3割を占める文字どおりの大黒柱である。ちなみに昨年の国内販売は約5.1万台と前年より盛り返したが(それでもなお北米の約33万台、中国23万台と比べると大きな開きがある)、そのうち1万台がRXだ。日本市場でも最重要の基幹モデルなのである。
5代目となる新型RXはパワートレインもプラットフォームも一新された。パワートレインは3種類で、T24A-FTS型2.4リッター4気筒ターボ+8段ATとA25A-FXS型2.5リッター4気筒+モーター2基のプラグインハイブリッド、そして今回紹介する2.4リッターターボ+モーター2基+6段ATによるハイブリッドである。モデルナンバーはそれぞれ「RX350」「RX450h+」「RX500h」となる。ガソリンターボ車のRX350にのみFWD/AWDが設定されるが、ターボハイブリッドとプラグインハイブリッドは後輪モーター駆動によるAWDモデルのみとなる。
フロントに2.4リッター4気筒ターボとモーターを組み込んだ6ATを積み、リアには高出力モーター「eAxle」を搭載するのがRXシリーズの最強力バージョンたる500h“Fスポーツ パフォーマンス”である。500hには“Fスポーツ パフォーマンス”のみ、と割り切りがいいが、5リッターV8エンジンを積む「IS500」の“Fスポーツ パフォーマンス”と「h」の有無だけでほとんど同じだから、ずいぶんと武闘派なのかと勘違いされないかと心配にもなる。洗練されたラグジュアリーSUVであれば、この機会にSUV系だけでもモデル名のルールを見直してもよかったのではないか。
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クラウンと同様のパワートレイン
新型RXはいわゆる「GA-K」プラットフォームをベースに開発されたものだが、ボディーサイズはあえて従来型とほぼ同じ(全幅のみ+25mm)。ただしホイールベースは60mm延長されて2850mmとなった。もっともこのホイールベースは新型「クラウン クロスオーバー」と同じである。GA-Kは「RAV4」や「ハリアー」「カムリ」、それにNXなどトヨタ/レクサス内で広く使用されている最も売れっ子のプラットフォームである。また2.4リッター直4ターボエンジンに前後2基のモーターと2基のクラッチを持つ6ATを組み合わせたパワートレインもクラウン クロスオーバーと同じ、トヨタでは「デュアルブーストハイブリッド」と呼ぶシステムである。
エンジンは275PS/6000rpmと460N・m/2000-3000rpmを発生(クラウン用は272PSと460N・m)、前後モーターはそれぞれ87PSと292N・m、103PSと169N・mを生み出し、すべてを合計したシステム最高出力は371PSという。クラウンは349PSだったからさらに強力というわけだ。0-100km/h加速は6.2秒と発表されている。
500hの電動4WDシステムは各種センサーからの情報を基に100:0~20:80の間で前後駆動力配分を最適制御するもので、「ダイレクト4」と称している(クラウンでは「E-Fourアドバンスト」と呼ぶ)。他のモデルは単に「AWD」であり、その違いはクラウンの場合と同様で、水冷式リアモーターの駆動力を積極的にハンドリングやスタビリティーにも生かすことである。
SUVなのに洗練されている
実際、これだけのサイズのSUVとは思えないほど、切れ味良く、雑みのないハンドリングを備えている。前:マクファーソン/後ろ:マルチリンクのサスペンション形式と後輪操舵の「DRS」(最小回転半径は5.5m、DRS無しの他モデルは5.9m)と可変ダンパーの「AVS」を装備するのもクラウンと同じだが、試乗会で試した限りでは乗り心地もフラットで洗練されており、ゴロゴロしたタイヤの動きが気になることもあったクラウンよりも好印象だった。近年のレクサスはセダン系よりもSUVのほうが乗り心地がスムーズなのが不思議である。
ただし、全開時でなくてもエンジンからどこかざらついたフィーリングが伝わってくることが惜しい。アクティブノイズコントロールも標準装備されているというが、実用域でごく普通に加速するような場合でも(余裕のトルクで軽々とスピードに乗る)、滑らかに緻密に回っているというより、どうしても若干ガサガサした感触がある。これは程度の差こそあれ、同エンジンを積む他のモデルにも共通するものだが、基本的に静粛でスムーズなRXでは余計に気になるのかもしれない。
緻密なつくり込みだが……
内外装の仕上げはさすがレクサスというべきか、非常に緻密なつくり込みが見て取れる。さらにレクサスは「UX」でも速度可変式のパワーウィンドウモーター、すなわちウィンドウが閉まる直前にガラス(これもアコースティックガラス)が上昇するスピードが遅くなってシュッと静かに停止するというユニットを使用しているが、もちろんRXも同様。これだけで“格”を判断するわけではないが、モデルによって使用するコンポーネントにはっきり差をつけてあり、ちなみに新型クラウンには採用されていない。
さらに細かい点を挙げれば、RXはNXに続いてエンジンフードには左右2カ所でロックするダブルラッチが採用されている。リアシートまでヒーター&ベンチレーション付きの電動リクライニング&可倒式というように、あらゆる装備が盛り込まれているだけでなく、細部まできっちり配慮されているようだ。だがそのおかげで車重は2140kgと(従来型に比べて90kg軽量化したというが)、もはやちょっとした電気自動車並みである。
そのうえ500hの車両本体価格は900万円である。もちろん最初からフル装備で、オプションとしてさらに追加できるのは「マークレビンソン プレミアムサラウンドサウンドシステム」とルーフレール&パノラマサンルーフぐらいのものだが、その2つを足すとほぼ950万円である。従来型は700万円台半ば、新型では廃版となった7人乗りの「450h L」でも800万円を切っていたから、かなりの価格アップである。ガソリン仕様も500万円台前半からの先代モデルに比べ新型のRX350(FF)は664万円だ。はっきり、もっとプレミアムを目指したのが新型RXである。
(文=高平高輝/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
レクサスRX500h“Fスポーツ パフォーマンス”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4890×1920×1700mm
ホイールベース:2850mm
車重:2140kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:6段AT
エンジン最高出力:275PS(202kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:460N・m(46.9kgf・m)/2000-3000rpm
フロントモーター最高出力:87PS(64kW)
フロントモーター最大トルク:292N・m(29.8kgf・m)
リアモーター最高出力:103PS(76kW)
リアモーター最大トルク:169N・m(17.2kgf・m)
システム最高出力:371PS(273kW)
タイヤ:(前)235/50R21 101W/(後)235/50R21 101W(ミシュラン・パイロットスポーツ4 SUV)
燃費:14.4km/リッター(WLTCモード)
価格:900万円/テスト車=948万8400円
オプション装備:ルーフレール<“Fスポーツ パフォーマンス”専用ブラック塗装>+パノラマルーフ<チルト&アウタースライド式>(20万9000円)/“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム(27万9400円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:878km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:---km/リッター

高平 高輝
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