第422回:東京オートサロン2011で見えた光
6年ぶり復活「VeilSide」の横幕氏を直撃!
2011.01.27
小沢コージの勢いまかせ!
第422回:東京オートサロン2011で見えた光 6年ぶり復活「VeilSide」の横幕氏を直撃!
「やっぱりオートサロンが僕の原点だから……」
今年も行って来ちゃったぜ「東京オートサロン」!! ここ10年毎年行ってるイベントだけど、最近のチューニング業界の不調を知ってるから見るのが少々怖い気もしてたんですが、行ってひと安心。だって一部元気を取り戻してるんだもん。
プレスデイである金曜日の朝、駐車場に去年より多くのクルマが入ってると感じたのに加え、関係者によると「前売りは去年より売れてる」って話だったからもしや? と思ってたら手応えは本物。週末3日間の全来場者数は、24万3077人と去年のほぼ5000人増し!
前々から一般人のクルマ離れは進んでも、「クルマ好きのクルマ離れ」は進んでないのでは? と思っていたけど、おそらくそれは間違いない。一番の問題は、不況でユーザーにお金がないこと(苦笑)。それはそれで深刻だけど、それ以上に好きという気持ちが残ってるかどうかのが重要だ。今回、それはあまり変わってないと確信しました。
それとやっぱりコレよコレ、そう「VeilSide」復活!! VeilSideってのは、90年代から2000年代にかけて一世を風靡(ふうび)した硬派なチューニングブランドで、そもそもは「スカイラインR32GT-R」のターボチューンで名をはせたカリスマチューナー、横幕宏尚さんが作ったもの。その後、過激なエアロフォルムで業界を震撼させた、「80スープラ」をはじめとする「ヴェイルサイド コンバットモデル」でさらに有名になり、しまいにゃハリウッド映画の『ワイルドスピード』にも取り上げられ、海外進出も果たした大人気ブランド。
しかし6年前のオートサロンでこつぜんと姿を消した。それまでVeilSideは、オートサロンが晴海にあった時代からの最大のスターで、会場の特等席、幕張メッセでも西館の駐車場に一番近い見晴らしのよいコーナーにデンと居座り、いわば押しも押されぬ“4番バッター”だった。
ところが今でも忘れもしない2005年、パンフレット上では「VeilSide」とデカデカといつもの大スペースを取っておきながら、プレスデイ当日はブースが消えていた。代替えも間に合わなかったらしく、コンクリの空き地がむき出しだったほどで、その後、VeilSideはホームページ上には存在していたものの、潰れたとか、誰かにダマされたとか……いろいろウワサに上っていた。
そしたら今回、いつもの場所ではないが、その少し奥に入った西館のこれまたベストポジションに突如復活!! しかもVeilSideらしいまがまがしいデザインの「VeilSide 4509GTR」というチューンドカーをドカンと中央に置いての登場だ。
しばらく待っていると、昔よく話を聞いた横幕さんご本人と遭遇!! おお、元気そうでないの! そこで俺はダッシュで駆け寄り、直撃取材と相成ったわけ。
カリスマ横幕宏尚の生き様に感動!!
小沢:横幕さんお久しぶり、小沢です。お元気ですか?
横幕:おお、小沢さん! 元気ですよ横幕です。いやー、ホント懐かしい。6年ぶりだよこの会場!
小沢:もう、6年もたつんですね。どこ行ってたんですか?
横幕:もうね。いろんなのにひっかかったよ。乗っ取り屋とかもいたけど、そこらへんぜんぶ振り切って今回ようやっと復活。そのタイミングで登場したのがこの「4509」シリーズ。
小沢:「4509」ってなんなんスか?
横幕:新しいブランドです。ヨ(4)コ(5)マ(0)ク(9)!
小沢:なーんだ。Veil(幕)Side(横)と同じなんだ!?
横幕:カッコいいでしょ(笑)。
小沢:しかし、いいですね。この「4509GTR」。これ見て俺は、本当に横幕さん復活だなと思いましたよ。相変わらずの「このベース車なに?」って妖(あや)しさを持ちつつ、並べた外車にひけを取らない圧倒的ワルさ。これぞ横幕デザイン!
横幕:うれしいなぁ、分かってくれます? これ、あえてフェラーリとランボの間に置いたんですよ。やっとこの2大巨頭に負けないクルマができたんでね。それからこのベース車、なんだか知ってます?
小沢:GT-Rじゃないんですか。ショルダーとかそんな感じですけど……。
横幕:80スープラですよ。コンバットから始まる僕の原点。やっぱり、やり直すんならこの東京オートサロンで、それもスープラでってずっと思ってましたから。
小沢:そうかぁ。で、相変わらずエアロは自分で削ってんですか? 人にやらせず?
横幕:もちろんですよ。相変わらず夜も寝ないでシコシコ削ってますよ。
小沢:伝わってきますよその生きがい。しかも見た目若いんで驚きました。マイケル・ジャクソンみたいですよ。そのなんとも年を取らない感じが。
横幕:アハハ……。でも小沢さん、本当にありがとう。またお会いしましょう。
小沢:もう、こちらこそですよ。またすごいクルマネタ、提供してください!! 絶対取材いきますから。
横幕:待ってますよ。
ってなわけで、新年早々オートサロンで偶然、カリスマ横幕さんと再会できた幸運な小沢コージ。ま、もしや彼だからできた大どんでん返しともいえるが、やっぱりクルマ好きはクルマ好き相手に商売するしかないし、生きざまを見せつけるしかないのだ。それは横幕さんがいいお手本だという気がする。
だから、今年のクルマ業界はきっと明るくなる、また元気が出てくる! そう、信じてがんばりましょうねみなさんも!!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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