日産エクストレイルG e-4ORCE(前編)

2023.02.02 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 今回谷口信輝が試乗するのは、日産のSUV「エクストレイル」。その走りで谷口がまず称賛したのは、独特なパワーユニットがもたらす運転感覚だった。では、ほかのクルマとどこがどう違うのか?

レスポンスが全然違う

「先代のエクストレイルは、知り合いのレーシングドライバーが持っていたのでちょっとだけ運転させてもらったことがあります」

2022年7月に4代目へと生まれ変わった最新の「日産エクストレイルG e-4ORCE」を操りながら、谷口信輝がそう語り始めた。場所は、いつもと同じ箱根のワインディングロードである。
「まあ、例によってそれほど詳しく覚えているわけではないんですが、とにかく遅かったことだけが印象に残っていますね」

しかし、いま谷口がステアリングを握っているのは、モーターが車輪を駆動する日産のシリーズハイブリッド「e-POWER」を採用した最新モデル。当然、動力性能に対する印象も異なっているはずだ。
「たしかに、これは全然違いますね。欲しいときに欲しいだけのトルクがすっと手に入る。やっぱり、僕はモーターのこのフィーリングが好きなんだなあ」

谷口の“モーター好き”はつとに有名で、先日はついに念願のEVを購入したとか。そのせいか、この日は電気駆動車に対する、もう一歩突っ込んだ意見を谷口は語ってくれたのである。
「モーターのレスポンスがいいのはもちろんですが、EVやe-POWERみたいにモーターで車輪を駆動するクルマの魅力って、それだけじゃないんです。内燃機関を積んだ一般的なクルマだと、基本的にはエンジンとギアボックスが組み合わされていますが、そうすると加速しようとしたときにギアがどこに入っているかも大きく関係してきます。例えば5速とか6速とかで巡航していたら、エンジン回転数が低くてアクセルペダルを踏んでもすぐには加速し始めない。だから、まずキックダウンをして、エンジン回転数がパワーバンドに入ってから、ようやく力強い加速を始めてくれるわけです」

ところがEVやe-POWERに代表されるシリーズハイブリッド方式では状況がまったく異なると谷口は説明する。

 
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