納期は? 今後のグレード展開は? 新型「アルファード/ヴェルファイア」を読み解く
2023.06.30 デイリーコラム新型アル/ヴェル旋風が止まらない!
トヨタが新型「アルファード/ヴェルファイア」を発表したのが2023年6月21日。それ以来、『webCG』でもフィーバーが止まらない。当該ニュースもギャラリーも、上げれば1日でアクセスランキングの頂点に立ち、閲覧数を稼ぎまくりだ。いやホント、普段「あんなコワモテのミニバンなんて!」とくさしているwebCG読者諸兄姉のツンデレっぷりを、垣間見た次第である。
そんなわけで今回は、新型アルファード/ヴェルファイアの取材で小耳にはさんだこぼれ話、よもやま話を、つれづれに紹介したい。SNSで舌戦をくりひろげるファンもアンチも、ぜひご一読あれ。
【1】なんで仕様がこんなに少ないの?
発表時点におけるアルファード/ヴェルファイアのグレードはそれぞれ2種類。前者が「Z」と「エグゼクティブラウンジ」、後者が「Zプレミア」と「エグゼクティブラウンジ」だ。パワートレインの違いを加味しても(駆動方式は勘定にいれなければ)仕様はおのおの3種類で、これまでと比べて非常に少ない。先代を見ると、発表時点でのラインナップは基本となるグレードだけでもそれぞれ7種類もあったのだ。これはボディーカラーにも言えることで、新型アルファードは3種類、ヴェルファイアではわずかに2種類である。
さらに新型では、価格帯の上振れも大きい。先代のエントリーモデルのお値段は「アルファード2.5X」で359万7000円(2021年5月時点)。それが、新型では純エンジン車の「アルファードZ」で540万円である。最上級グレード同士で見ても、新型は100万円ほど値上がりしているので、世代交代でモデル全体が上級移行したのだろう。しかしそれを加味しても、ちょっとグレードが“上”に偏っちゃいません? 実際、発表時点での新型のラインナップは、本革仕様+2列目キャプテンシートの上級モデルばかりだ(福祉車両は除く)。
これに関して発表会で関係者に話をうかがったところ、現状はやはり「初期受注が殺到することを考慮して、仕様を絞った」とのことだった(もっとも、そうした施策も焼け石に水だったようだが……。詳しくは次ページを!)。
今後はどうなるといった具体的な話は聞けなかったが、福祉車両ではアルファードにより廉価な「G」グレードもあるので(472万~564万8000円)、おいおい、これが通常ラインナップにも追加される可能性はある。あるいは、従来型でいう「X」のようなエントリーグレードや、大家族から要望の多い2列目ベンチシートの8人乗り仕様なども出てくるかもしれない。
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【2】今から注文しても納車は数年後……
メディアの反応よりもSNSでの評判よりも、メーカーにとって重要なのが実際の購買層の動向だ。これについては新型アル/ヴェルはまったくもって無問題。予想どおりの人気ぶりである。……いやむしろ、あまりの引き合いに大問題の様相を呈しているほどだ。
オフィシャルサイトにて「工場出荷時期目処:詳しくは販売店にお問い合わせください」とあるので販売店に問い合わせたところ、「1年目の生産枠は瞬く間に完売御礼。バックオーダーは膨大で、トヨタの生産計画が現状のままだったら、新規で注文しても2~3年はクルマが来ないかも」とのことだった。うーむ、無慈悲。
しからばとトヨタのサブスクリプションサービス、KINTOの納車待ちを確認したところ、モデルやパワーユニットによって異なるものの、おおむね6カ月~1年という結果に(KINTOのウェブサイトですぐに調べられるので、気になった人はご覧あれ)。今から新型アル/ヴェルの入手(?)に動く人は、購入よりサブスクのほうが現実的だろう。
もちろん、「やっぱりクルマは自分の名義にしたい!」という古式ゆかしき皆さまにも、希望がないわけではない。上述の販売店に「何か手はないか?」とうかがったところ、やはり、どんな人気車でも通用するいにしえからの手段が残されていた。先行して注文を入れていた顧客がキャンセルした個体、販売店が「これは売れるだろう」と手をつけていてあぶれた個体を、虎視眈々(たんたん)と狙うのだ。先述の販売店では、「アルファードZのガソリン車ならいける。ヴェルファイアだと、数カ月後に来るエグゼクティブラウンジなら回せそう」とのことだった。……アルファードとヴェルファイアで、不人気グレード(失礼!)が逆っぽいのが面白い。
いずれにせよ、超人気の新型アル/ヴェルでも、そういった個体がないわけではないとのこと。ファンの皆さん、天に祈っているヒマがあったら、その手でお店に電話しましょう。
【3】心機一転! ヴェルファイアに課せられた使命
今回の新型では、ヴェルファイアの扱いがこれまでとは大きく変わった。サスペンションとボディー補強で走りに変化をつけ、さらに専用のパワートレインやグレードを設定するなどして、より「オーナー自らハンドルを握る高級ミニバン」としてのキャラクターを先鋭化させたのだ。
詳しい方ならご存じのとおり、もともとアルファードとヴェルファイアは、デザインの一部が違うだけの双子モデルだった。機能的な差異がないはもちろん、(個々のグレード名こそ違うが)ラインナップも、値段設定も、全く一緒だったのだ。もとが「ネッツ店で販売される『アルファードV』の後継モデル」というヴェルファイアの出自を思えば、それもさもありなん。
そんなヴェルファイアであるが、かつてはより若者ウケするデザインで本家を超える人気を博したものの、アルファードが「顔をぜんぶグリルにする!」という暴挙……もとい冒険に出たことで(参照)、立場が逆転。トヨタによる“全販売店全車種併売化”とも相まって、先代のモデルライフ終盤には、販売はジリ貧と化していた。2021年4月(発売は5月)にはグレードを「ゴールデンアイズII」のみに整理。関係者いわく、最終的にはアルファードとの販売比は95:5(もちろんヴェルファイアが5)にもなったのだとか。
当然のこと、新型の企画段階ではヴェルファイアは廃止の運命にあったとのこと。結果として首の皮はつながったが、同じことをしていたら窮地に陥るのは目に見えており、そこで今回の大改革となったのだろう。
上述したアルファードとの仕様&ラインナップの違いに加え、個人的に興味深いのが価格の設定だ。同じエグゼクティブラウンジ同士で比べても、ヴェルファイアのほうが20万円も高いのだ。もちろん仕様の差によるものだろうが、「ネッツ店の専売車種」というヴェルファイアの出自を思うと、新型でのアル/ヴェルのこの関係性は、古くさいワタクシ的にはちょっと違和感というか、イメージが違うというか……(ネッツ店はトヨタの販売チャンネルのなかでも、若者や女性をターゲットにしていた)。時代のうつろい、トヨタの戦略の変化を感じた次第だ。
今後、トヨタがアルファードとヴェルファイアのキャラクターをどこまで差異化するのか、それを顧客がどこまで受け入れるのか、興味津々である。個人的には、「デュアルブーストハイブリッド」を積んだ豪速仕様を出したらウケると思うんだけど。「GRヴェルファイア」なんつって。
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【4】「センチュリーSUV」にたぎる妄想
最後は、ちょっとしたよた話をひとつ。
新型アルファード/ヴェルファイアの発表会は、かなりショーファーカー需要を意識したものになっていた。豊田章男会長が仕事用に3世代のアルファードを乗り継いだ話を披露するなど、プレゼンの7割がたがそれだったぐらいだ。ミニバン=ファミリーカーという意識が強い記者はいささか「?」だったけど、こうしたクルマの初期需要は法人も多そうだし、今後伸長が見込める海外でも(新型アル/ヴェルは、これまでの2倍近い国で販売されるそうな)やっぱり法人需要が高そうだから、そこを意識したのかもしれない。
読者諸兄姉もご存じのとおり、中国や東南アジアでは、アルファードのようなクルマがショーファーカーとしてすでに活躍している。古くからのクルマ好きは「ミニバンなんて!」と眉をひそめるが、それが日本発祥の高級車のトレンドであることは、まぎれもない事実だろう。
さて。そんな新型アル/ヴェルのプレゼンにおいて、主役と並んで会場をザワつかせたクルマがあった。サイモン・ハンフリーズ執行役員が、「これでみんなは、燃料電池車の『クラウン セダン』とアルファード/ヴェルファイアの、好きなほうからショーファーカーを選べるようになるね! しかも、今年中に『センチュリー』の派生モデルも発表しちゃうゾ!」(意訳)と語ったのだ。寝耳に水の派生型センチュリーについて、具体的な車形の説明はなかったものの、スクリーンに映る映像はどう見たってSUVである。
思い出されるのは「レクサスLX」の試乗会(参照)で、質疑の席で開発者から“世界におけるクロカンのショーファーカー需要”を聞かされたのだ(写真キャプション参照)。すでに「レクサスLX600“エグゼクティブ”」があることだし、さすがにセンチュリーのSUVは「メルセデス・ベンツGLS」や「ベントレー・ベンテイガ」のような、舗装路を走る普通のクルマになるのでしょう。……が、もしGA-Fプラットフォームを使った本気のクロカン送迎車になったら、面白くないですか!? 圧巻の悪路走破性と耐久性を併せ持つ、極地の大名かごだ。鉱山や巨大工事現場などでVIPを送迎するのにこれほど適したクルマはないだろうし、それこそ日本車にしか、トヨタにしかできないショーファーカーになるのではないか。
いまだにサルーンのイメージが強いショーファーカーのかいわいだけど、好適な車形なんてマーケットや用途によって全然違うはず。アルファードの成功はその証拠だろう。開発力も、ついてきてくれる顧客もいることだし、トヨタにはゼヒ、自由な発想でそうしたクルマをつくっていってほしい。いつまでもカビの生えた欧州の規範に従っている必要はないですよ。
(文=webCGほった<webCG”Happy”Hotta>/写真=トヨタ自動車、webCG/編集=堀田剛資)
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◆画像・写真:トヨタ・アルファード エグゼクティブラウンジ/ヴェルファイアZプレミア(77枚)
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堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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