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【スペック】全長×全幅×全高=4635×1795×1415mm/ホイールベース=2730mm/車重=1750kg/駆動方式=FR/3.5リッターV6DOHC24バルブ(318ps/6400rpm、38.7kgm/4800rpm)/価格=620万円(テスト車=669万3500円)

レクサスIS350C(FR/6AT)【試乗記】

バランスが大事 2010.12.19 試乗記 生方 聡 レクサスIS350C(FR/6AT)
……669万3500円


レクサスISのオープンモデルに追加された3.5リッターモデル「IS350C」。パワーアップしたことで走りや乗り心地はさらに快適に……と思った筆者だったが。
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一番好きなレクサスは?

レクサスの現行ラインナップから「一番好きなモデルは?」と聞かれたら、迷わず「IS250C」と答える。IS250Cは、2009年5月に登場したISベースのコンバーチブルで、3分割式の軽量リトラクタブルハードトップを採用したのが特徴だ。

オープンカーに目がない私だから、IS250Cという答えは当然の結論かもしれない。ルーフを閉じたときのやや間延びしたリアスタイルはリトラクタブルハードトップのオープンにはつきもので、それが気にならないでもない。しかし、コックピットに陣取り、わずか20秒で上品に仕事を済ませる電動ルーフを開け放てば、そんなことはすぐに頭の片隅に追いやられるから心配無用だ。

爽快(そうかい)なオープンエアのドライビングも大きな魅力だ。2シーターに比べて、4シーターのオープンモデルは、後席からの風の巻き込みが大きい傾向にある。しかしこのIS250Cは、サイドウィンドウを上げさえすれば、70km/hくらいまで平穏に過ごすことが可能だし、もちろん、風を浴びたければサイドウィンドウを下げてやればいい。

しかし、このクルマを推す一番の理由は、走りのバランスが優れていることにある。FRとしてはコンパクトな部類のISは、機敏なハンドリングが魅力のひとつだ。コンバーチブルのIS250Cもまたスポーティさを維持しながら、しなやかな動きを見せるサスペンションが、優れたロードホールディング性能と快適な乗り心地を実現しているのだ。この絶妙なバランス、ある意味レクサスらしくないところが、私にIS250Cを選ばせるのだ。

「IS350C」にはセミアニリン本革シートが標準装備。シートカラーは写真のブラック&レッドを含む5種類から選べる。
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待望の3.5リッターモデル

そんなISコンバーチブルに、新グレードが加わった。2010年8月、セダンのマイナーチェンジにあわせて、3.5リッターエンジンの「IS350C」がラインナップされたのだ。搭載されるのは、IS350と同じ2GR-FSEで、最高出力318ps/6400rpm、最大トルク38.7kgmの実力を誇る。IS250Cの2.5リッターでもそう不満はないのだが、セダンよりも160kg増したボディだけに、出足の“もっさり感”は否めず、3.5リッターの登場を待ち望む声が少なくなかったのだろう。
実はこの3.5リッターV6もまた、私が好きなもののひとつで、そうなるとIS350Cは鬼に金棒、IS250Cが“マイ・ベスト・レクサス”の座を明け渡すことになるのは確実だ。それを確かめるために、走行距離が500kmにも満たない下ろしたてのIS350Cを試乗することにした。

運転席に着くと、見慣れないスイッチが目に入る。ルーフ開閉スイッチの左側に、ウィンドウのイラストと“ALL”の文字。マイナーチェンジの際に、サイドウィンドウすべてがスイッチひとつで開閉できるようになったのだ。これはありがたい。

さっそく走り出すと、3.5リッターエンジンが実にいいパフォーマンスを見せてくれる。排気量がアップしたおかげで、低回転のトルクは逞しさを増し、発進時のもたつきとはもはや無縁。そのうえ、自然吸気エンジンらしく、アクセルペダルに載せた右足の動きにあわせて湧き出すトルクが、IS350Cを意のままに加速させてくれるのだ。しかもこのエンジン、スポーティさも持ちあわせていて、4000rpm後半をピークに、突き抜けるように吹け上がるさまは、まさに爽快のひとことである。

 
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センターコンソールには本木目パネルを採用。ダークブラウン、ライトブラウン、グレー(写真)の3タイプが用意される。
センターコンソールには本木目パネルを採用。ダークブラウン、ライトブラウン、グレー(写真)の3タイプが用意される。 拡大
 
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ルーフクローズ時の荷室容量は十分だが、オープン時はルーフが収納されるためスペースは限られる。写真はクローズした状態。
写真をクリックするとクローズ時とオープン時の荷室が見られます。
レクサスIS350C(FR/6AT)【短評】

試乗しなければわからない

そんなIS350Cがマイ・ベスト・レクサスの座を手に入れたかというと、実はそうはならなかった。一番のお気に入りは、相変わらずIS250Cのままである。確かにパワートレインに文句はないが、IS250Cが見せた、絶妙な走りのバランスがこのIS350Cには感じられなかったのだ。

エンジンのパワーアップにともない、多少ハードにしつけられた足まわりはしなやかさを失い、オプションの18インチホイールがおごられたことも手伝って、乗り心地も悪化している。つまり、IS250Cで感じた魅力が、そのまますべてIS350Cに受け継がれなかった。こういうことは往々にしてあるもので、やはりクルマは試乗しなければわからないし、それが試乗の楽しさでもある。

「IS350C」には、ヒーター/メモリー機能付きオート電動格納式サイドミラーや照明付のステンレススカッププレートが標準装備される。タイヤサイズは「IS250C」と同じ(前)225/45R17(後)245/45R17となる。
レクサスIS350C(FR/6AT)【短評】

もちろん、パワーアップを歓迎するという人にはIS350Cは格好のターゲットとなると思うが、少なくとも私がオープン4シーターを選ぶうえで大切にしたいのは、ドライブの爽快さだ。年ごとにきっちりとランニングチェンジを実施し、商品力アップを図るレクサスだけに、今後の熟成に期待したいところである。

(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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