「寒いとパワーアップするのはホント?」

2010.12.18 クルマ生活Q&A 松本 英雄 エンジン
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「寒いとパワーアップするのはホント?」

厳寒の地で、現行「カローラフィールダー1.5X」(4WD)に乗っています。ある自動車関連の本を開いたところ、吸気温度が低いほうが酸素量が多くなるので、同じスロットル開度ではパワーアップする……という意味合いのことが書いてありました。しかし、それを実感したことはありません。むしろその逆で、より低い気温の地域に移動した際には、エンジンが非力になることを体感するのです。この本に書いてあるようなことを体感できるのは、どんな状況のときなのでしょうか?

お答えします。吸入温度が低いと酸素密度が高まり、エンジンへの充填(じゅうてん)効率が高まるのでパワーアップする。これは事実です。ターボチャージャーにインタークーラーを付けて吸入温度を下げているのが、わかりやすい例といえるでしょう。

しかしそれとは逆に、より低い気温の地域に移動した際にパワーダウンを感じるというのには、次のような理由が考えられます。
厳寒の地にお住まいとのことですが、気温が極端に低いと充填効率は高まるものの、ガソリンが気化しにくくなります。そうなるとエンジンが燃えにくくなり、パワー、燃費ともに低下してしまうのです。

質問にある、吸入温度の低下によるパワーアップが感じられる状況についてですが、私の経験では湿度の低い秋の日などにクルマに乗ると、夏場に比べてエンジンが軽やかに回り、調子がいいと感じられることがあります。構造が単純な古いクルマ、とくに燃料供給にキャブレターを使ったモデルでは、その違いがより感じられるのですが、電子制御によって気候条件や使用状況が変わってもエンジンの調子を一定に保つように作られている現代のクルマでは、その差が感じられにくいかもしれません。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。