レクサスUX300e“バージョンL”プロトタイプ(FWD)/UX300h“Fスポーツ”プロトタイプ(4WD/CVT)/UX300hプロトタイプ(FF/CVT)
5年熟成のうま味 2023.12.26 試乗記 「またマイナーチェンジ!?」と思うほど、ここ数年アップデートを繰り返しているレクサスのコンパクトクロスオーバー「UX」。デビュー以来最大規模の改良を施したという最新型の走りを、トヨタのテストコースでチェックした。存在意義が問われるなかで
UXはレクサスの販売面での屋台骨を支えるSUV群のなかでボトムを担う車種だ。車格的にはCセグメント級で、プロポーション的にはクロスオーバーといったほうがしっくりくるだろうか。
……という位置づけだったところに割って入ったのが、Bセグメント級の車格となる「レクサスLBX」だ。こちらは車格的なヒエラルキーにとらわれない新しい価値の提供を掲げており、上位グレードには「LS」や「LC」に採用されるLアニリン表皮や外装加飾などを選択しながら自分仕様にカスタマイズできるシステム「ビスポークビルド」なども設定されている。ちなみに価格帯はUXと同等以上となかなか強気な設定だ。
となると、UXはラインナップのなかで自らの立ち位置をより鮮明化する必要に迫られる。2018年の発売から5年。レクサスは「Always On」のスローガンのもと、すべてのモデルが常に何かしらの年次改良を受けている。UXもしかりだが、今冬に施された年次改良は6年目を迎えながらも過去最大ともいえる内容だった。
骨格レベルから強化
その最大のポイントはパワートレインの進化だ。2リッター4気筒のダイナミックフォースユニットを軸としたハイブリッドモデルは、現行型「プリウス」への搭載を機にリファインされたモーターや制御システムを採用することで、アウトプットの向上を果たしている。
特に四駆のリアモーターは最高出力41PS、最大トルク84N・mと、これまでのモデル(同7PS、同55N・m)に比べると大きく異なるパワーを得ており、その瞬発力を生かすべく駆動用バッテリーもリチウムイオンへと改められた。これをもって、グレード名は「250h」から「300h」へと力量的な底上げをくんだものとなっている。
一方、BEVの「UX300e」は2023年3月に変更を受けて増強された72.8kWhのバッテリー容量はそのままにサーマルマネジメントを強化し、外気温にかかわらず電池温度を一定方向に近づけることで急速充電の受け入れ性能を向上。従来比で25%、所要時間を短縮しているという。一充電走行距離はWLTCモード値で512kmと、従来と変わりはない。
車体まわりはラジエーターサポートのブレース追加やリアロアバックパネルのセット装着など、モノコックに補強が加えられた。UXは2022年の年次改良で開口部にスポットの増し打ちを加えているが、骨格そのものの補強は今回が初めてとなる。また、ダッシュパネルやリアホイールハウスなどに制振材を追加、ルーフライナーの吸音材を高減衰タイプに切り替えるなど、車内音振の減衰特性改善や静粛性向上などの策がさらに加えられた。
同じクルマとは思えない
乗り味の面では加速度センサーからの情報でドライバーの運転意図を読み取り、駆動力や制動力を最適化するフィードフォワード的制御の概念が新たに採り入れられた。当然ながら足まわりのセッティングは全グレードで見直されている。
内装はインストゥルメントパネルに全グレードで12.3インチの液晶ディスプレイを採用。グラフィカルで多彩な情報表示が可能となった。シフトセレクターも今日のトヨタの電動系モデルと同じく電気式となり、センターコンソールまわりはすっきりとしたデザインとなっている。そのコンソールやウィンドウスイッチベースなどに用いられるオーナメントにはヘアラインフィニッシュ的な風合いが加えられるなど、質感がよりリッチになっている。
試乗の場所はレクサスのホームグラウンドでもある愛知のトヨタテクニカルセンター下山。新規開発のモデルはもちろんだが、先に販売されている「IS」やLCでも、ここで鍛えられると何かをつかんだようにクリアな走りをみせてくれる。そこに大きく寄与しているのは国内外のさまざまなメーカーのテストコースと比べても屈指の過酷な路面状況にあるわけだが、果たして新しいUXも、走りのテイストははっきりと進化していた。
運用開始から4年余りとなるコースは連続入力時の攻撃力などがさらに増したようにもうかがえた。凹凸具合が経年変化でさらに厳しくなったのかもしれない。これだと生半可なクルマではグダグダに揺すられてアクセルペダルを踏んづけるどころではないだろうなぁというところを、UXは上屋を軽く揺すりながらバババッと駆け抜ける。バネ下の追従性が確実に上がっている、その進化の幅が特に著しいのはBEVの300eだ。高速巡航でも路面が荒れるとリアの追従性が心もとなかった登場当初の仕上がりに比べると、同じクルマとは思えないほど姿勢をフラットに保ちながらしなやかに走ってくれる。
それぞれの仕様によさがある
UX300hはFF、4WDともに若干のパワーアップを果たしているが、動力性能的にも運動性能的にもはっきりと250hとの差を感じられるのは、後軸のモーター出力を「ノア」やプリウスと同様、30kWに高めた4WDのほうだ。
旋回時にはもちろん姿勢がブレークするほどではないが、後輪の駆動力を感じながらアクセルを踏んで旋回を安定させる程度のアシスト力を常に感じられる。荒れた路面でも後輪の追従性も高いので、ちょっとしたダートや雪道でも遊べるくらいには走りそうだとも思ったが、地上高を考えれば無理は禁物だろうし、そもそもそういう類いのキャラクターではない。
対してFFの300hはモーターアシストをうまく使ってエンジンの吹け上がり時間を短縮するなど、ハイブリッドパワートレイン自体の進化による質感向上などが感じ取りやすい傾向にある。また、UXが素地(そじ)として持ち合わせている軽快なハンドリングも魅力となるだろう。
正直な話、ここにきてUXがこれほどの進化をみせるとは思いもよらなかった。曲がる楽しさは明らかにLBXのほうが優れているが、全体的なバランスの丸さや乗り心地の上質さなど、対すればUXが勝る場面もまだまだある。今回大きく手が加えられたことによって、中身的には完全に鮮度を取り戻したと言っても過言ではないだろう。この2銘柄の選択は、パッケージ以外の面でも相当悩ましいことになりそうだ。
(文=渡辺敏史/写真=トヨタ自動車/編集=関 顕也)
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テスト車のデータ
レクサスUX300e“バージョンL”プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm
ホイールベース:2640mm
車重:1790kg
駆動方式:FWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:203PS(150kW)
最大トルク:300N・m(30.5kgf・m)
タイヤ:(前)225/50R18 95V/(後)225/50R18 95V(ミシュラン・プライマシー3)
一充電走行距離:512km(WLTCモード)
交流電力量消費率:141Wh/km(WLTCモード)
価格:705万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2023年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
参考電力消費率:--km/kWh(車載電費計計測値)
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レクサスUX300h“Fスポーツ”プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm
ホイールベース:2640mm
車重:1600kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:152PS(112kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4400-5200rpm
フロントモーター最高出力:113PS(83kW)
フロントモーター最大トルク:206N・m(21.0kgf・m)
リアモーター最高出力:41PS(30kW)
リアモーター最大トルク:84N・m(8.6kgf・m)
タイヤ:(前)225/50RF18 95V/(後)225/50RF18 95V(ブリヂストン・アレンザ001 RFT)※ランフラットタイヤ
燃費:23.4km/リッター(WLTCモード)
価格:550万6000円
テスト車の年式:2023年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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レクサスUX300hプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm
ホイールベース:2640mm
車重:1510kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:152PS(112kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4400-5200rpm
モーター最高出力:113PS(83kW)
モーター最大トルク:206N・m(21.0kgf・m)
タイヤ:(前)215/60R17 96H/(後)215/60R17 96H
燃費:26.3km/リッター(WLTCモード)
価格:455万9000円
テスト車の年式:2023年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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