スズキ・スイフト ハイブリッドMZ(後編)

2024.07.11 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 全方位的に進化したとうたわれる、スズキのコンパクトカー「スイフト」。そのステアリングを握った元トヨタの多田さんは、非常に身につまされる思いがするという。一体、どんなところが気になったのだろうか?
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新型スイフトスポーツへの仕込み?

新型スイフトは、内外装のデザインこそ新しいが、プラットフォームやパッケージレイアウトは先代のそれを踏襲して、新開発の1.2リッター3気筒自然吸気エンジンを積む。試乗車はマイルドハイブリッドだが、複雑なフルハイブリッドは、今のところ予定されていない。また、バランサーシャフトも、フリクションロスによる燃費への影響やコストを理由に非採用となっている。

「確かに1~1.5リッターくらいの排気量で、フリクションロスなども考えて燃費を追求すると、3気筒に落ち着きます。ただ、個人的には特にバランサー(シャフト)の付かない3気筒は気持ちいいとは思えません」と、多田さんは、自身も初代「パッソ」などで同様のエンジンを使ったことのある経験も踏まえて評する。

「スイフトにフルハイブリッドの予定はないそうですが、現代はエンジンとモーターと組み合わせるハイブリッドが普及しています。そうしたハイブリッドで、EV走行している途中にエンジンがブルンとかかった時の違和感も、3気筒は非常に強いです」

「見たところ、エンジンマウントなどには少しコストをかけていて、開発陣が3気筒の振動に対して気を使っているのはわかります。普通なら、さらにサスペンションにもダンピングを利かせて、操舵の正確性が少しくらい落ちても、できるだけ振動を感じさせないようにするのが常道です」

「でも、このスイフトでは振動はあまり抑えられていなくて、代わりに操舵はとても正確です。普通のスイフトとしては『やりすぎ?』と思えるくらいで、これは後で追加されるであろう『スイフトスポーツ』のための仕込みというべきか、そこでこそ開花する性能でしょう」

ちなみに、新型スイフトの開発を取りまとめたチーフエンジニア(CE)の小堀さんは、先代でもCEとしてスポーツも含めたすべてのスイフトを担当。特に走りにこだわりの強いCEとして知られる人物だ。

 
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