第800回:晴れの日は静かで雨の日も安心 グッドイヤーのSUV用タイヤ「アシュアランス マックスガードSUV」を試す
2024.07.26 エディターから一言![]() |
日本グッドイヤーが2024年の夏に市場投入するのが「ASSURANCE MAXGUARD SUV(アシュアランス マックスガードSUV)」である。街乗りや乗用車としてSUVを利用するユーザーに向けた、このスタンダードタイヤの実力を、ひと足先にロングドライブで確かめた。
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オンロード指向のコンフォートSUVタイヤ
アシュアランス マックスガードSUVは、これまで同社の「EfficientGrip SUV HP01(エフィシェントグリップSUV HP01)」が担ってきたミドルレンジのオンロードSUVタイヤに置き換わる新商品である。
アシュアランス マックスガードSUVがとくに重視するのは、静粛性、ウエットグリップ性能、そして耐久性の3つ。SUV人気で乗用車からSUVに乗り換えたのはいいが、思ったよりもロードノイズが気になるという人は少なくないだろう。また、いかに走破性が高いSUVといえども、ウエット性能を大きく左右するのは、唯一路面に接しているタイヤであり、安全性を重視すれば、すぐれたウエットグリップ性能はぜひ手に入れたいものだ。
さらに、サイズが大きなSUVタイヤはどうしても価格が高くなりがちなだけに、手ごろな価格で長寿命であれば、気になるランニングコストも抑えられるはずだ。そんなSUVユーザーの悩みや願いに応えてくれるのが、このアシュアランス マックスガードSUVというわけである。
そこで今回はその実力を確かめるために、人気のコンパクトSUV「プジョー2008 GT BlueHDi」に、純正サイズと同じ215/60R17のアシュアランス マックスガードSUVを装着して、一般道から高速道路までをテストドライブすることにした。
うれしい静粛性の高さ
アシュアランス マックスガードSUVのトレッド面を見ると、シンプルなパターンと小さめのブロックが並ぶデザインにより、コンフォート性重視のタイヤであることがすぐにわかる。
そして、静粛性を高めるために、アシュアランス マックスガードSUVでは、ブロックに角度をつけることでタイヤが路面をたたくときの音を抑える一方、両側に設けた細い「ノイズ低減リブ」によって空気の放射を防ぎ、溝で発生する“気柱共鳴音”の広がりを減らすことでノイズを抑制するのだという。
さっそく走りだすと、タイヤの静粛性は期待どおり。走行時に発生するロードノイズやパターンノイズが抑えられており、耳障りな音はうまくカットされているのだ。ディーゼルエンジン車の場合、高速巡航時などはロードノイズでエンジン音がかき消されることがあるが、アシュアランス マックスガードSUVと2008 GT BlueHDiとの組み合わせでは、常にエンジン音のほうが目立つのが悩ましいところだ。
アシュアランス マックスガードSUVを履く2008 GT BlueHDiの乗り心地は少し硬めで、目地段差を越えるときには軽いショックを伝えてくるが不快さはない。路面とのコンタクトはスムーズで、コンフォートタイヤにふさわしい快適さを手に入れている。
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ウエット性能に期待
乗用車に比べて車両重量が重いSUVに対応するため、アシュアランス マックスガードSUVではタイヤのケース剛性を確保する「DuraGuardテクノロジー」を採用。少し硬めの乗り心地を示すのはこのためで、その一方で、タイヤはコーナリング時にもしっかりと踏ん張り、腰砕け感がないので安心感は高い。
高速道路をハイペースで巡航する場面では、直進性が高く、ステアリングは中立付近の収まりが良い一方、少し操舵しただけでしっかりと反応するのが頼もしかった。
あいにく、試走を行った日は梅雨明け直後で、自慢のウエット性能を試すことはできなかった。説明によれば、トレッド面のエッジ数を増やし、シリカベースの「ActiveGripキャップコンパウンド」などを採用することにより、ウエットブレーキ性能はエフィシェントグリップSUV HP01に比べて6%向上しているという。長寿命のために、広い接地面積と均一な接地分布、接地圧低減を実現したというのも見逃せない。
ということで、快適性、走行性、耐久性といったコンフォートSUVタイヤに求められる性能をうまくバランスさせたアシュアランス マックスガードSUV。グッドイヤーのオンロードSUVタイヤには、プレミアムな「エフィシェントグリップ2 SUV(EfficientGrip 2 SUV)」と「イーグルF1アシメトリック3 SUV(EAGLE F1 ASYMMETRIC 3 SUV)」があるが、それらに比べて求めやすい価格が期待できるのも魅力のひとつだ。SUVユーザーにとってはタイヤの履き替え時の選択肢に加えておきたいニューモデルといえるだろう。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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