メルセデスAMG GT63 4MATIC+ クーペ(後編)

2024.10.17 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 フルモデルチェンジにあたり全方位的な進化が図られた、メルセデスAMGの高性能スポーツカー「AMG GT」。そのなかで特に注目すべきポイントについて、レーシングドライバー谷口信輝が語る。
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新しい足まわりがもたらすもの

箱根のワインディングロードで試乗した新型AMG GTについて「サイコー!」「僕も買いたい」と絶賛の言葉を連発した谷口信輝。とりわけ彼が気に入ったのは、乗り心地が格段によくなったのにスポーツ性が損なわれていない点にあったようだ。後編では、まずはこのあたりから深掘りしていくことにしよう。

「例えばコーナリングで攻めていっても、そのときの姿勢とか、コーナリングのライン取りとかをいかようにもコントロールできる。もちろん、限界的なコーナリングでは、ブレーキングからターンインしたところで微妙なヨレ感はありますが、これは多少乗り心地に振っているから仕方ないところだと思います」

それどころか、足まわりの設定をしなやかな方向に変更したことで、これまでになかったメリットが感じられるようになったとも谷口は言う。
「正直、先代はサスペンションがかなりスポーツ方向に振ってあった関係で、パフォーマンス的には高いけれどややピーキーな感じがなきにしもあらずでした。でも、新型は足まわりがしなやかになったおかげで、そういうピーキーに感じられるところがなくなっています。その意味でいえば、新型は品がよくなったというか、より洗練されたように感じます」

前述したハードコーナリング時の微妙な“ヨレ感”に関しても、ドライビングモード次第である程度はカバーできると谷口は言う。
「コンフォート、スポーツ、スポーツ+、レースと4段階が設定されているドライビングモード切り替えは、それぞれの味つけに大きな差が設けられているのもうれしいところです。ただし、個人的にはコンフォート、スポーツ+、レースの3つは気に入ったけれど、スポーツだけはちょっと微妙なところがありました」

それは、いったいどういうことなのか?
「コンフォートは快適でいいし、スポーツ+とレースはクルマの姿勢が思いどおりにつくれて楽しいけれど、スポーツはちょっとどっちつかずという印象でした。あと、スポーツモードで走っていてコーナーの入り口でアクセルペダルを戻したとき、減速感の立ち上がりが瞬間的に遅れることが、一度だけですがありました。この現象は一度しか起きなかったので、僕の勘違いだった可能性もありますが、そんなところもスポーツモードがしっくりこなかった理由のひとつかもしれません」

別の捉え方をすれば、コンフォートやスポーツ+、レースの各モードで走っていれば不満はなにもなかったといえるだろう。

 
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