スバル・レヴォーグ レイバック リミテッドEX(4WD/CVT)
洗練のなかにあるこだわり 2025.02.14 試乗記 都会派クロスオーバーをうたう「スバル・レヴォーグ レイバック」を、雪壁が続く青森・八甲田山系の冬道で試乗。標準モデルよりも車高を70mmアップしながら乗り心地を重視したというシャシーと、スバル自慢の4WDが織りなす走りを確かめた。 拡大 |
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都市型のSUVへとリメイク
そのモデルが売られていたのはすでに30年以上も前。それゆえ「自身でのドライビングはもちろん、実車が走る姿を目にした経験もない」という若い人がいても、もはやさもありなんという時代。
けれども、スバルが大規模とはいえないながらも現在では誰もが知るメーカーとしての存在感を放ち、実用性の高さばかりを売りとするモデルとは一線を画したクルマづくりから世界に熱狂的ファンを持つブランドにまで成長するキッカケをつくることになったのが、1989年に登場した初代「レガシィ」である。
既存モデルに対してすべてのハードウエアを刷新するという渾身(こんしん)の開発が見事に成果を挙げてヒットを飛ばし、その勢いを受けて続くモデルも連続してサクセスストーリーを生み出した歴代のレガシィ。一方で、後に「インプレッサ」という弟分の登場もあってレガシィが販売の軸足をアメリカへと移すなか、特に人気の高かったステーションワゴンボディーに新解釈を加え、あらためて日本市場を見据えて生み出されたブランニューモデルが、2014年に発売された「レヴォーグ」だった。
現行のレヴォーグは2020年に発表された2代目で、それをベースにスバルが手薄としていた都市型のSUVへと照準を合わせ、英語で「くつろいだ、ゆったりした」という意を表す“laid back”を語源とするサブネームを加えて2023年に発表されたのが、ここに紹介するレヴォーグ レイバックである。
そんな生い立ちゆえ、レヴォーグ レイバックが正式名称ながら最近は公式ウェブサイト上でも単に“レイバック”と表記される場面が目立つなど、昨今の世界的SUVブームを背景にこの先独り立ちしていきそうな気配すら感じられる一台でもある。
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最低地上高200mmへのこだわり
レイバックでは、ベースのレヴォーグに比べてSUV風味の強いコスメティックや全高のアップなど、この種のモデルでの常とう手段ともいえるリメイクを実施。それゆえに、口さがない向きからは「スバルよお前もか」と、そんなコメントを投げかけられる可能性は否定できない。
一方で、やはりこのメーカーのモデルだけあって“スバルのSUV基準”ともいえそうな200mmもの最低地上高を確保。全高は、その200mmをクリアするべく、あと20mmだけ下げればより多くの機械式立体駐車場への対応が可能となることを承知のうえで、レヴォーグ比70mmプラスの1570mmとされた。また、エクステリアでは、SUVとしては押し出し感を抑えたフロントマスクや張り出し量が控えめなホイールアーチのクラッディングなど、都会派SUVを意識したディテールも見どころだ。
さらに、「クロストレック」や「フォレスター」などブランド内の他のSUVとの差別化を明確にする狙いから、オフロード性能を高める4WD機構「X-MODE」をあえて非搭載に。スバルSUVとしての矜持(きょうじ)は守りながら、これまで自身が必ずしも得意としてこなかったカテゴリーに打って出ようという涙ぐましいまでの決意が感じられる。
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都会派たる洗練された乗り心地
そんなレイバックが狙うキャラクターを念頭に置きながらいざ走り始めると、「おっ、なるほどこれが都会派のテイストか」と、まず実感させられたのは、期待以上に静粛性が高いことだった。
「もしかしたら、これはスバル車で最も静かかも!?」とさえ思わせてくれた仕上がりは、実はベースとなるレヴォーグの発売後に企画が立案され、急ピッチで仕立て直したというこのモデルの生い立ちなどを忘れさせてくれる水準である。
さらに、そんな静粛性の項目と同様に高く評価することができそうなのが、スバル車のなかにあっても上位に位置づけられる快適な乗り味だ。
サスペンションはレヴォーグ比で70mmアップされた全高を鑑みて、ピストンスピードが遅い領域から減衰力を素早く立ち上げる特性の新構造ダンパーを、よりレートの低いスプリングと組み合わせてレイバック専用にチューニング。実際のサスストロークの延長分はわずか10mmにすぎないというが、その数値を意識させないストローク感も、ゆったりとしなやかな乗り味と上質さの演出に大きく貢献している。そうした仕上がりもまた、都会派を印象づけるに十分である。
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次なる課題は燃費性能の向上
一方で、「これまでプロトタイプ試乗会しかやっていなかったので……」と言いつつ、レイバック初となる同社主催の報道関係者向け公道試乗会に今回のような雪国を選ぶところには、都会派をうたおうが何だろうがやっぱり生ぬるいシチュエーションでは飽き足らないという、スバルの走りへのこだわりを感じさせる。
実は、ようやくクロストレックに設定された「ストロングハイブリッド」仕様と同時に行われた試乗イベントだったという内情はあるものの、それでも都会派SUVがセリングポイントのモデルを、国内有数の豪雪地までわざわざ運んできてしまうというその気合の入りかたはハンパではない。
そしてもちろん都会派をうたいながら、冬道の厳しい条件のなかを涼しい顔で走り抜けてしまったことは言うまでもない。むしろ、雪道ばかりでは「せっかく初の公道試乗会なのに」と言いたくもなってしまうところだったが、かつて歴史に残る遭難大惨事をもたらした八甲田山系が近いにもかかわらず今回は“天はわれわれを見放さず”、試乗会の起点とされた青森市内では完全ドライの状態で走行することもできて、前述したような“都会派テイスト”を余すことなく味わわせてくれた。
そうなると、このモデルに欠けていると思える最たるものは、WLTCモードで13.6km/リッターという現代のクロスオーバーモデルとしてはあまりにも寂しいと言わざるを得ない燃費性能である。となれば、今後気になるのはストロングハイブリッド仕様の登場だ。クロストレックで実現された現在、「すでにそれは秒読み段階に入っている」ともささやかれている。
(文=河村康彦/写真=佐藤靖彦/編集=櫻井健一)
テスト車のデータ
スバル・レヴォーグ レイバック リミテッドEX
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4770×1820×1570mm
ホイールベース:2670mm
車重:1610kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.8リッター水平対向4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:177PS(130kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1600-3600rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98Q M+S/(後)225/55R18 98Q M+S(ヨコハマ・アイスガードiG70)
燃費:13.6km/リッター(WLTCモード)
価格:399万3000円/テスト車=432万3000円
オプション装備:ボディーカラー<アステロイドグレー・パール>(3万3000円)/スマートリアビューミラー(5万5000円)/本革シート<ブラック/アッシュ[カッパーステッチ]>(13万2000円)/サンルーフ(11万円)
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:1万1270km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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