初めてのクルマ選びで失敗しないように、チェックすべきポイントは?
2025.05.13 あの多田哲哉のクルマQ&A生活の変化で、初めてマイカーを購入することになりました。価格やボディータイプは絞り切れていないのですが、どんなクルマを選ぶにせよ、後悔しないようにチェックしておくべきポイントというのはありますか?
いまのクルマというのは、どのメーカーのどのクルマでも一定レベルの性能・品質を実現していますから、基本的に何を選んでもいいと思います。デザインであれ、ディーラーとの人間関係であれ、ご自身の好みや都合で好きなものを買うのが一番です。
……ということを大前提として、私なりのアドバイスをするならば、以下の3点を挙げたいです。
(1)軽を買うならターボ一択
初めてクルマを買うにあたっては、軽乗用車を選ぶ人も多いと思います。そういう方には、自然吸気エンジンのモデルよりもターボ車をおすすめします。
「そんなにスピードは出さないし」という人がいるかもしれませんが、軽では、ターボモデルこそが現実の交通環境にマッチしていて、例えば、低回転域からしっかりトルクが出るので、上り坂でスピードが落ちて渋滞の原因になるようなことがありません。交通の流れにのりやすいし、運転しやすくて、結果的に実燃費が良くなるケースも多いです。
(2)乗降性は念入りにチェック
クルマって、あまり意識されていないかもしれませんが、「乗ったり降りたり」の回数が非常に多い製品です。これは、軽に限らずすべての自動車にいえること。その乗り降りのしやすさについては、地面からシート座面までの高さが大いに関係していて、ドライバーの身長でも変わってきます。なので、初めてクルマを買う時は、自分で実際に運転席に乗り降りしてみてどうなのかを、繰り返しチェックしてください。
乗り降りしやすいクルマを選ぶというのは、その後の愛着に影響してきます。その点で(無意識的であれ)ストレスが生じるクルマというのは、たとえ憧れて買ったとしても徐々に使わなくなるかもしれません。皆さん、あまり気にされていないけれど、じつはものすごく大事なことなんです。
(3)〝安さ優先で中古”はやめる
あとは、「無理をしてでも、極力、新車を買ったほうがいい」ということ。よく、「初めてのクルマはぶつけてもいいように中古にしておこう」という意見を耳にしますが、むしろ初めての方こそ新車を選ぶべきです。
最新のテクノロジーに守られているのだから安全・安心のアドバンテージは絶大だし、なにより、高いお金を出して買ったという意識が安全運転につながります。「ぶつけることもあるだろうから安いのでいい」という考えは、絶対に避けたほうがいいですよ。
→連載記事リスト「あの多田哲哉のクルマQ&A」

多田 哲哉
1957年生まれの自動車エンジニア。大学卒業後、コンピューターシステム開発のベンチャー企業を立ち上げた後、トヨタ自動車に入社(1987年)。ABSやWRカーのシャシー制御システム開発を経て、「bB」「パッソ」「ラクティス」の初代モデルなどを開発した。2011年には製品企画本部ZRチーフエンジニアに就任。富士重工業(現スバル)との共同開発でFRスポーツカー「86」を、BMWとの共同開発で「GRスープラ」を世に送り出した。トヨタ社内で最高ランクの運転資格を持つなど、ドライビングの腕前でも知られる。2021年1月に退職。