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第324回:カーマニアの愛されキャラ

2025.12.01 カーマニア人間国宝への道 清水 草一
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かわいいおじいちゃんになりたい

今回は、私のほうから担当サクライ君にメールを送った。「マイチェンした『スズキ・クロスビー』に乗りたいので、機会があったらよろしくね」と。

タイミングよく、すぐに返事が来た。

「クロスビー、ちょうどご連絡をと思っておりました。ご試乗いただけます。今回はwebCGを代表するスズキ通のほったも同行いたします」

わーい、ヤッター!

私がなぜクロスビーに乗りたいと思ったか。その理由は以下のとおりである。

理由その1:マイチェンの整形で、顔がとってもステキになった。「ジムニー」と「ディフェンダー」のいいとこ取り!
理由その2:「スイフト」で超好印象だった1.2リッター直3マイルドハイブリッドが搭載された。フィーリングも燃費もきっとイイ!
理由その3:最近、愛車の「プジョー508」を、もっとちっちゃくて視点が高めのクルマに買い替えたいと思い始めた。クロスビーはその有力候補!

プジョー508とクロスビーとではまるで車格が違うが、もうそんなにデカいクルマは必要ない。もっと気楽に乗れるコンパクトなクルマが欲しいのだ。ラインナップのバランスとしては、「タント」をクロスビーに買い替えたほうがいいかもしれないが、どっちにせよクロスビーは、FX(次期主力戦闘機)の最有力候補というわけだ。

私はクロスビーに乗って、かわいいおじいちゃんになりたいのだ。ちょいワルオヤジは卒業だぜ!

2025年10月にコンパクトSUV「スズキ・クロスビー」の大幅改良モデルが登場。今回は最上級グレードの4WD車「ハイブリッドMZ」を夜の首都高に連れ出した。最近、視点が高めのコンパクトなモデルに買い替えたいと思い始めたところだったので、クロスビーはかなり気になる存在である。
2025年10月にコンパクトSUV「スズキ・クロスビー」の大幅改良モデルが登場。今回は最上級グレードの4WD車「ハイブリッドMZ」を夜の首都高に連れ出した。最近、視点が高めのコンパクトなモデルに買い替えたいと思い始めたところだったので、クロスビーはかなり気になる存在である。拡大
「スズキ・クロスビー」は、ワゴンとSUVを融合した小型クロスオーバーワゴンとして、2017年12月にデビュー。今回の大幅改良では内外装デザインやパワートレインのアップデートが行われた。車両型式名も従来型とは異なっている。
「スズキ・クロスビー」は、ワゴンとSUVを融合した小型クロスオーバーワゴンとして、2017年12月にデビュー。今回の大幅改良では内外装デザインやパワートレインのアップデートが行われた。車両型式名も従来型とは異なっている。拡大
パワーユニットは従来型の1リッター直3ターボにBSGシステムを組み合わせたマイルドハイブリッドから、1.2リッター直3自然吸気エンジンにISGシステムを組み合わせたマイルドハイブリッドに変更された。エンジン単体での最高出力は80PS、モーターの最高出力は3.1PSとなっている。
パワーユニットは従来型の1リッター直3ターボにBSGシステムを組み合わせたマイルドハイブリッドから、1.2リッター直3自然吸気エンジンにISGシステムを組み合わせたマイルドハイブリッドに変更された。エンジン単体での最高出力は80PS、モーターの最高出力は3.1PSとなっている。拡大
インストゥルメントパネルは、水平基調のスッキリしたデザインにリニューアル。予防安全・運転支援システムも充実しており、単眼カメラ+ミリ波レーダー方式の衝突被害軽減ブレーキや、標識認識機能、アダプティブハイビームが新採用されている。
インストゥルメントパネルは、水平基調のスッキリしたデザインにリニューアル。予防安全・運転支援システムも充実しており、単眼カメラ+ミリ波レーダー方式の衝突被害軽減ブレーキや、標識認識機能、アダプティブハイビームが新採用されている。拡大
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「柔よく剛を制す」的な仕上がり

当日夜。クロスビーは、3人の中高年カーマニアを満載してわが家を出発した。

オレ:おっ、乗り心地がいいね!
サクライ:ですよね。
オレ:スイフトもよかったけど、もうちょっとマイルドで中高年好みの足だな。オッサン3人乗車でも軽快に加速するし!
ほった:しかもこれ、重いほうの4駆ですから。FFならもっと軽快ですよ!
オレ:そもそもこのクルマ、デザインがすごくよくなったでしょ。これほど整形が大成功したのって史上初じゃない?
サクライ:ほとんど別のクルマみたいに感じます。

首都高に乗り入れると、クロスビーはさらに水を得た魚のごとく走り始めた。エンジンはレッド手前まで軽やかに回り、スズキらしく接地性が抜群なので、コーナーもガンガン攻められる。

オレ:前のアレ、「Gクラス」かな?
ほった:真っ黒でよくわかりませんけど、そのようですね。

クロスビーは、新宿の90度コーナーで、そのGクラスをやすやすとブチ抜いた。

オレ:うおおおお、クロスビーのコーナリングすげえっ! 格が違うなこりゃ。
ほった:雑魚はどいてろ! って感じですねアハハハハ!

車内は異様な盛り上がりである。3人のカーマニアはこぞって、クロスビーの「柔よく剛を制す」的な仕上がりに夢中だ。

街なかを軽快に進んだ「クロスビー」は、首都高に乗り入れるとさらに水を得た魚のごとく走り始めた。「スイフト」もよかったけど、それよりももうちょっとマイルドで中高年好みの足だと感じた。
街なかを軽快に進んだ「クロスビー」は、首都高に乗り入れるとさらに水を得た魚のごとく走り始めた。「スイフト」もよかったけど、それよりももうちょっとマイルドで中高年好みの足だと感じた。拡大
従来型と同様にスズキ車ではおなじみのバケツを助手席下に設置。座面を前方に起こし背もたれを前に倒すと、長尺物も積み込めるスペースが出現する。
従来型と同様にスズキ車ではおなじみのバケツを助手席下に設置。座面を前方に起こし背もたれを前に倒すと、長尺物も積み込めるスペースが出現する。拡大
後席は広く快適。リアシートには、荷室からも操作することができる165mmのスライドと背もたれのリクライニング機構が備わっている。
後席は広く快適。リアシートには、荷室からも操作することができる165mmのスライドと背もたれのリクライニング機構が備わっている。拡大
「クロスビー」のボディーサイズは全長×全幅×全高=3760×1670×1705mm、ホイールベースは2435mm。街なかで気楽に乗れるコンパクトなサイズ感がいい。
「クロスビー」のボディーサイズは全長×全幅×全高=3760×1670×1705mm、ホイールベースは2435mm。街なかで気楽に乗れるコンパクトなサイズ感がいい。拡大

ハズシ感も含めてすべてが完璧

その後もクロスビーは、「ランクル300」をブチ抜くなど、快進撃を続けた。さながらSUVの王者。スイフト同様、首都高でならランボルギーニともいい勝負ができそうだ。

私はいつの間にか、万能感に満たされていた。もはやどんなクルマが横に並んでも負ける気がしない。速さでも車格でも! 悔しかったらかかってこい! 誰も悔しがってる様子はないが……。

ちっちゃくて視点の高いクルマはいろいろあるが、カーマニアの眼鏡にかなうモデルはそう多くない。そんななか、クロスビーはいまのところ首席である。

オレ:例えばさ、「ヤリス クロス」ってとってもいいクルマだけど、あえて買う気にはならないでしょ、カーマニアとして。
ほった:わかります、わかります。「カローラ クロス」でも「キックス」でも「ロッキー」「ライズ」でもダメですよね。
サクライ:そのへんだと、ひねりがないですから。
オレ:だからって、ジムニーに乗るほどやせ我慢はしたくないんだ。もっと自然体でいきたいからさ! その点クロスビーは、ハズシ感も含めてすべてが完璧だよ!

サクライ君もほった君も、完全に同意の様子である。彼岸のカーマニアは、クロスビーが大好きらしい。まさにカーマニアの愛されキャラ!
よし、このクルマをいつか買おう! 決断するだけならタダだから!

(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=櫻井健一/車両協力=スズキ)

今回の試乗車は新色となる「ミスティックブルーメタリック×ホワイト2トーンルーフ」の外板色をまとっていた。これを含め最新の「クロスビー」には全13種類のエクステリアカラーが設定されている。
今回の試乗車は新色となる「ミスティックブルーメタリック×ホワイト2トーンルーフ」の外板色をまとっていた。これを含め最新の「クロスビー」には全13種類のエクステリアカラーが設定されている。拡大
カラー表示のヘッドアップディスプレイは、「ハイブリッドMZ」に設定される6万9300円の有償オプション「アップグレードパッケージ」に含まれるアイテム。
カラー表示のヘッドアップディスプレイは、「ハイブリッドMZ」に設定される6万9300円の有償オプション「アップグレードパッケージ」に含まれるアイテム。拡大
次期愛車候補となる一台だけあって、荷室も余念なくチェックする。後席使用時の荷室容量は、ラゲッジアンダーボックスを取り外した状態で120リッター。高さのある荷物が積み込めるのもうれしい。
次期愛車候補となる一台だけあって、荷室も余念なくチェックする。後席使用時の荷室容量は、ラゲッジアンダーボックスを取り外した状態で120リッター。高さのある荷物が積み込めるのもうれしい。拡大
「クロスビー」はwebCGのほった君(写真左)や担当サクライ君(同中央)といった中高年カーマニアにも大好評。まさにカーマニアの愛されキャラ! よし、このクルマをいつか買おう! 決断するだけならタダだから!
「クロスビー」はwebCGのほった君(写真左)や担当サクライ君(同中央)といった中高年カーマニアにも大好評。まさにカーマニアの愛されキャラ! よし、このクルマをいつか買おう! 決断するだけならタダだから!拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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