第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.07.20 カーマニア人間国宝への道カーマニアに評価の高いクルマはだいたい売れない
私はマツダのラージ商品群が好きだ。カーマニアとして熱烈支持している。ラージすぎるので買いませんけど。
最初に出た「CX-60」は、「足が硬すぎて乗り心地が極悪」と評判になってしまったが、昔のBMWみたいに、走りこめばなじんできて、ガマンできるレベルにはなった(その後マイチェンでマイルドになったらしいが未確認)。
なにより3.3リッターの直6ディーゼルのフィーリングが素晴らしい。まるでV8の自然吸気ガソリンみたい! 私はV8の自然吸気ガソリンエンジンが大好きなので、それだけで熱烈支持である。
続いて出た「CX-80」は、CX-60に比べると足がケタ外れにソフトで、乗り心地も問題なし。広々とした3列シートが好評で、1年半前に当コラム(参照)で試乗した際は、このように記している。
「2024年11月、CX-80の販売台数は2232台で、登録車の第28位! なんとマツダ車のトップ! すげえ! ラージなFRプラットフォーム車がトップなんて! 全長約5mなのに!」
あれから1年半。最近(2026年5月)のラージ商品群の売れ行きはというと、
CX-60:422台
CX-80:360台
ありゃー、減っちゃってるなぁ。なんで売れないんだろ。マニアックすぎるのかな。カーマニアに高評価のクルマはだいたい売れないけど、その法則にはまっちゃってる。
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リトルアメリカ人気分が味わえる
そんなCX-80の新グレード、「XDドライブエディション」に試乗してみた。正式名称は、「XDハイブリッド ドライブエディション ナッパレザーパッケージ」で、車両本体価格は584万6500円である。
走りだしてあらためて感じたのは、サイズのラージさだ。全幅1890mm、全長4990mm。ウエストラインも高めなので、ものすごくデカいクルマを転がしてる感覚になる。「キャデラック・エスカレード」くらいデカいんじゃないかこれ? とすら思ったりする。実際はだいぶ小さいですが。
首都高に乗り入れると、直6ディーゼルは相変わらずフィーリングが最高だ。燃費も最高。エスカレードのたぶん4倍くらいは燃費がいい。
このデカさ、この加速でこの燃費! 2026年3月のマイチェンで、フロントドアガラスが遮音ガラスに変更されたこともあり、ゆるゆる流せば静粛性の高さもプレミアムレベルだ。
乗り心地はだいぶフワッとしている。速度域が上がるとリアのフワフワ感が増幅され、若干だがひと昔前のアメ車気分。フワフワすぎるという声もあると思いますが、ひと昔前のアメ車の乗り心地が大好き! という人もいるわけですし、この雄大なサイズや、アメリカンV8っぽいエンジンフィールとの合わせ技で、リトルアメリカ人気分が味わえる。
内装に関しては、ナッパレザーがほどよい上質感を演出。ひと昔前のアメ車っぽさは微塵(みじん)もなく、北欧的に質感が高い。さすがマツダはデザインもインテリアもセンスがイイネ!
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放っておけないCX-60
考えてみるとこのクルマ、国産勢にライバルらしいライバルはいない。「ランクル“250”」の7人乗りが一番近いけど、だいぶ分野が違う。日本導入が検討されているスバルの北米専用モデル「アセント」ならガチンコかもしれないが、今のところ唯我独尊だ。
とまあ細かいことを書きましたが、結局このクルマの魅力は、3.3リッター直6ディーゼル(+マイルドハイブリッド)のフィーリングと、上質なデザイン&インテリアにある。フェラーリと同じで、一にエンジン、二にカッコなのだ。
ってことは、3列シートやリトルアメリカ人気分が必要なければ、だいぶ軽くてサイズもデカすぎないCX-60のほうがイイ。
CX-60は、2025年のマイナーチェンジで、ショックの減衰力やスプリングレートが調整され、4WDモデルはリアサスペンションのスタビライザーも廃止。乗り心地が劇的に変わった(らしい)。CX-80よりは硬めだけど、初期型とは別モノ(らしい)。
個人的にはCX-60が出たときから、ひっそり擁護してきた。確かに最初の試乗会では、乗り心地の悪さに仰天したけど、そのときも、約3000km走行済みの個体は、だいぶ当たりがまともだった。
私は大きな魅力と大きな欠点が同居するクルマに強い愛を感じる。エンジンは最高だけど真っすぐ走らない「フェラーリ348tb」とか、エンジンは最高だけどいつどうなるかわからない5代目「マセラティ・クアトロポルテ」とか。つまりイタリア系ですね。
CX-60はそれらと少し似ている。今はもう大きな欠点はなくなってるかもしれないけど、イメージ的にはイタリアンのままなので、放っておけない。担当サクライ君、そのうち乗せてね~。
(文と写真=清水草一/編集=櫻井健一/車両協力=マツダ)
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