フォルクスワーゲン・クロスポロ(FF/7AT)【試乗記】
ポロに楽しさをプラス 2010.08.02 試乗記 フォルクスワーゲン・クロスポロ(FF/7AT)……260.0万円
「ポロ」をベースにSUVテイストを加えた「クロスポロ」が新しくなって登場。1.2リッターTSIエンジンを載せた新型に試乗した。
あくまでSUV風モデルです
フロントバンパーからフロントホイールアーチ、サイドシル、リアホイールアーチ、そしてリアバンパーへ、クルマをぐるりと取り囲むように施されたブラック のガードをはじめ、前後バンパーにシルバーで施されたアンダーガード風のデザインやルーフレールが目を引く「クロスポロ」のエクステリア。
ちょっと見は、土とか泥とかが得意そうなクロスポロだが、あくまでデザインがSUV風なだけで、オフロードの走行性能が高められているわけではない。
「ポロ」よりも車高が15mm上げられてはいるが、パワートレインはベースとなる「ポロTSIハイライン」と同じだから、当然駆動方式はFFのままだ。何も知らずにダートや砂利道に飛び出せば、あっさりスタックしたり、せっかくの17インチアルミホイールが傷だらけ……なあんてことにもなりかねない。
つまり、このクロスポロはSUVの雰囲気を楽しむために企画された、ドレスアップモデルである。そもそもは、2003年に限定発売された「ポロファン」を起源とし、予想を上回る人気のおかげで2006年にクロスポロとしてカタログモデルに昇格。日本でも2006年に販売が開始されている。その定番ドレスアップモデルが最新のポロをベースに生まれ変わり、再び日本市場に登場したというわけだ。
これくらい派手なほうがいい
“フラッシュレッド”のクロスポロには、“ラテマキアート”と呼ばれるベージュの生地がシートやドアトリムに施される。黒内装のベースモデルに比べると、これだけでもずいぶん違う印象だ。クロスポロ専用の“マグマオレンジ”のボディカラーを選ぶと、オレンジのトリムが、どちらかといえばまじめ一辺倒、優等生過ぎるポロを、楽しい雰囲気に変えてくれる。コンパクトカーなら、このくらい派手なコーディネートでも抵抗なく受け入れられるから、クロスポロだけでなく、ベースモデルでも選べたらいいのに……。
そんなことを考えながら、いつものポロより少しオシャレ度を増したドライバーズシートに陣取る。地上高が15mm高くなってはいるが、乗り降りや運転席からの眺めはベースとほとんど変わらない。しかし走り出すと、ベースモデルにはなかったピッチング(前後の揺れ)が感じられるから、敏感なドライバーは車高が高いことに気づくだろう。
それでも、高速道路を飛ばすような場面を含めて、クロスポロのピッチングは不快なほどではない。215/40R17サイズのタイヤとアルミホイールの組み合わせは、普通のポロよりもショックを拾いがちだが、旧型に比べるとはるかに乗り心地は快適で、ふだんの足として使ううえでも困らないだろう。
ちなみに、クロスポロの全高は、ベースモデルより30mm高い1505mmだから、背の高さが理由でタワーパーキングへの入場を断られるなんて心配はない。
こちらもエコカー対象車
クロスポロのパワートレインは、1.2リッターTSI(直噴ターボ)に7段DSGの組み合わせだ。これはベースとなる「ポロTSIコンフォートライン/TSIハイライン」と同じコンビネーションで、トランスミッションのギア比もまったく同じ。30kgの重量増ならわざわざいじる必要はないだろう。
10・15モード燃費はベース車両の20.0km/リッターから18.6km/リッターに落ちはしたものの、それでもエコカー減税(50%減税)と購入補助金の対象となっている。
ベースモデル同様、1.2 TSIエンジンはクロスポロを活発に走らせる実力の持ち主だ。街中では1500rpm以下でもスルスルと低燃費走行を続けてくれるし、2000rpmを超えるころにはトルクの出方も本格化して、1130kgのボディをストレスなく加速させてくれる。
ベースモデルとは電子制御スロットルの味付けが違うのか、アクセルペダルを軽く踏んだときのレスポンスが向上しており、より自然な感覚で運転できるのも、クロスポロの印象を良くしてくれる。
ベースのTSIハイラインに比べて18万円アップのクロスポロだが、ふつうのポロにはない楽しさが手に入り、一方、ポロの良さがほとんど失われていないことを考えると、これはなかなか悪くない選択肢だと思う。ポロの購入を考えている人には、ぜひ候補のひとつとして検討することをおすすめする。
(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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