スバル・エクシーガ 2.5i-S アルカンターラセレクション(4WD/CVT)【試乗記】
残り物には福がある 2010.02.05 試乗記 スバル・エクシーガ 2.5i-S アルカンターラセレクション(4WD/CVT)……328万1250円
スバルの7シーター「エクシーガ」に、2.5リッターの新グレードが登場。排気量の上乗せには、どんな効能があるのか? ワインディングロードで探った。
大きいことは、いいことか?
「スバル・エクシーガ」に2.5リッターエンジンが搭載された。と聞いても、「あのサイズならばさもありなん」と思う反面、2リッターでも十分に速いし、パワー不足は感じない。排気量アップはそれなりに加速や登坂などで余裕を見せるのはわかるが、燃費との絡みでメリットはあるのか? 時代を考えると、むしろ、排気量を小さくして1.8リッターターボで燃費を稼ぐというような姿勢こそ、今時の流れではないのか?……などと思いつつ、試乗会場に向かった。
始めに従来の2リッター仕様を試し、その後で新しい2.5リッターモデルに試乗する。
会場である伊豆サイクルスポーツセンターから亀石峠に向かう。峠を過ぎると、伊豆半島の海際へと一気に下る急坂が待っている。
まず、排気量の及ぼす感触の違いから試す。車重1.6tほどのエクシーガは、決して軽いクルマではない。下りではブレーキに対する負担も大きい。もちろん通常のフットブレーキの能力にはさほどの違いはない。ところがエンジンブレーキを使った場合には、やはり排気量の大きい方が受け止める許容量が大きいというか、安心感が得られるもので、シリンダー径100mmに迫るビッグボアのエンジンは確かに頼もしい包容力を発揮する。
減速感というものは、初期Gの立ち上がりが決め手。制動距離にも影響するし、減速してくれるはずだという期待に関わってくるものだ。車重に対して排気量が小さいと、一瞬ながらブワーンとエンジン回転が上がって、それから徐々に速度が下がってくる。急で長い下り坂ではエンジンが可哀相だと同情したくなるほどだ。この数秒の“待ちの感覚”が2リッターと2.5リッターでは確かに違う。ちなみにエンジンブレーキの際は、スロットルを閉じることにより燃料カットが働き、ここでも省燃費に貢献する。
走りのほかにもお得感
一方の登り坂では、加速感が頼もしい。だが、500ccの排気量アップに期待するほど、モリモリ力が加わった感覚はない。この辺に、排気量アップの真の狙いがありそうだ。
2.5リッターユニットは、170psと23.4kgmを発生する。これは2リッターターボの数字を上回るものではないが、CVTとのマッチングもよく、負荷との関係でいえば、より低いエンジン回転のまま速度が上がってゆく感覚だ。
ターボは圧縮比がNAに比べて低い。ゆえにエンジンブレーキも効きが比較的甘いと言える。通常、CVTの加速では感覚的にスロットルを踏みこんで回転を上げ、速度の上昇を待つことになるが、排気量が大きいとその回転の落ちが早い。
巡航時のエンジン回転も若干低い。このあたりに燃費向上の鍵がある。この「エクシーガ2.5i-S」シリーズは、10・15モード燃費12.6km/リッターで、「平成22年度基準+20%」の燃費基準を達成しており、★4つの低排出ガス車認定。
エコカー減税の総額は10万6200円、さらに車齢13年超の廃車を伴い買い替えれば、補助金25万円が加わり、最大で35万6200円おトクに買えることになる。これで2.5登場の意味を納得した。
遠目ではボンネットが長く見えるエクシーガは、「レガシィツーリングワゴン」とあまり違わないプロポーションながら、近づいてみれば、ずいぶん大きく感じられるクルマである。中に座ると、広いキャビンは立派なミニバンサイズ。7人乗車のゆったりした室内は、レガシィに比べると特にルーフの高さに余裕を見いだせる。そんなサイズ感からも、2.5リッターがふさわしいのかなぁとも思う。
スタンダードになる器
今回は、その2.5リッターエンジンとCVTが組み合わされたのもニュースだ。通常はDレンジのまま変速ショックのない自動変速に徹するのもよし、マニュアルモードを選んで6段変速を楽しむもよし。ステアリングスポークの裏には、いわゆるシフトパドルがあって、操舵しながら変速することも可能。一時的に燃費に目をつぶって、2.5リッターなりの加速を続けて味わうこともできる。
「小排気量化+ターボ化」で燃費を稼ぐのが最近のドイツ流の考え方だとすれば、日本のメーカーは、ある程度大きな排気量でトルクを稼ぎ、低回転を使うことによる省燃費をもくろんでいる。これは、それぞれの国で使用される速度域が違う点に注目する必要がある。我が国の場合には、高速といっても公式には100km/h、実情でも140km/hまでといったところであり、そこまでの速度域であれば、3000rpm以下で十分なのだ。
一方ドイツでは、現実的に200km/h以上での走行が“日常”であるから、速度を上げるために、それなりにエンジン回転の高さが求められる。小排気量でも回せばいいことだし、変速機も、実際に変速幅の大きなものが目一杯使われている。
だから、一概に「大きな排気量は燃費が悪い」とは言えない。米国の事情にも、これに通じるものがあり、使用される速度域は日本と似ている。ただ、あちらはさらに大きな排気量で2000rpm以下の低回転で流すことが多い。と考えると、このクラスの日本車はエクシーガと同様、将来的にはドイツと米国の中間、すなわち2リッターと3リッターの間あたりに落ちつくのかも知れない。
(文=笹目二朗/写真=高橋信宏)

笹目 二朗
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