第106回:年末年始の渋滞は避けられるか? 〜渋滞情報の最前線に迫る!
2009.12.28 エディターから一言第106回:年末年始の渋滞は避けられるか? 〜渋滞情報の最前線に迫る!
リアルタイムで監視、対応
ETC割引によって高速道路の利用機会が増え、この年末年始も帰省をはじめ数多くの利用者が見込まれている。クルマが増えれば当然、渋滞や事故の発生も増えることになる。
こういった利用者の安全・快適なドライブをサポートしているのが、NEXCO各社(東日本、中日本、西日本)である。道路の保守管理はもちろん、渋滞情報や事故情報をリアルタイムで監視しているのである。
今回、埼玉県の岩槻にある、NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)の道路管制センターを訪れ、その高速道路情報の最前線を見ることができた。NEXCO東日本は首都圏を含む地域をカバーするだけに、交通量も多く、そのぶん取り扱う情報量も多い。
見学させていただいたのは、これらの情報をコントロールする施設。
カバーエリアの道路状況が一目で確認できる交通管制室では、前面の大型パネルが1分単位で更新され、常に最新情報が映し出されていた。ここでは事故や渋滞が一目で確認できるほか、高速道路内に設置される非常電話の受付や、パトロールカーからの連絡を受けている。事故の処理や故障車の救出などは、こちらで対応が行われる。1日約200件もの異常事象が発生するという忙しさで、取材中もひっきりなしに電話がかかってきていた。
また施設制御室では、道路やトンネル、サービスエリアやETC設備などの道路施設、計5万4600カ所の監視を行っている。トンネル火災やETCゲートの異常、掲示板の故障など、円滑な交通に支障をきたすものを排除するために、情報を収集している。修理などは、その重要度に応じてランク付けされ、処理がなされるということだ。
このほか、車線数を増やしたり、加速・減速車線を延ばしたりといった、道路環境の整備も行われている。これらは、利用者が安全でスムーズに道路を利用できるようにするための、いわば、ハード面での対応である。一方でソフト面の対応も行われている、すなわち「渋滞情報の提供」だ。
渋滞予測の仕組み
今回、基本的な知識として、「なぜ渋滞が起こるのか?」「どうやって渋滞を予測しているのか?」も教えていただいた。講師は“日本で唯一の渋滞予報士”(そう名乗っている人が1名しかいないため)原山哲郎さんだ。
「なぜ渋滞が起こるのか?」と聞いて思い出すのは、以前よくテレビのニュースで見た、料金所での渋滞の映像。しかし現在はETCの普及により、事故や工事などを除く交通集中による渋滞の、わずか0.4%にすぎないという。
では多いのはというと、およそ66%を占めるのが「サグ・上り坂渋滞」だ。これは下り坂から上り坂への変化点(サグ)や上り坂での、無意識な速度低下によるものだ。前のクルマにつかえ、ブレーキを踏み、それが後続のクルマに連鎖する……というメカニズムで発生する。トンネル入口やカーブなどでも同様な現象が起きる。
こういった「なぜ?」を知り、「どこで?」と「いつ?」のデータをまとめることで、渋滞は予測されるのだそうだ。NEXCO東日本では、過去3年間の渋滞実績をベースとして、曜日の補正、休日の連続性の補正、イベントの開催などを考慮して、6カ月先の渋滞までを予測している。この渋滞予測は、NEXCO東日本が運営するサイト「どらぷら」で、無料で確認することができる。
どうすれば渋滞しないのか?
しかし「情報をどう使うかどうかはドライバーの意識の問題」とは、先の渋滞予報士、原山さんの弁。
ハード的な部分はなんとかできるが、ソフト的な部分は利用者の意識にかかっている。たとえば、サグで「速度低下注意!」と告知をしても、速度を気にしなければ意味がない。また、いくら渋滞予測を提供しても、見てもらえなければ効果は期待できないわけである。
個人的にはクルーズコントロールの利用などもオススメしたい。長時間の運転による疲労を軽減できるだけでなく、先のサグ渋滞、トンネル渋滞の原因にもなる速度低下を抑えることもできる。
さらに、おかしな話ではあるが、渋滞は追い越し車線から始まることが多いのだという。これに関しては、追い越し後はすぐに走行車線(左より)に戻ることが、全体の渋滞を緩和することにもなる。こちらも、当然のルールと言えばルールである。
ETCの割引などでこれまであまり高速道路を使わなかった人たちの利用も増えている昨今。雪道などの慣れない道に初めて遭遇してしまう人も出るだろう。運転のテクニックだけではなく、必要な情報を確実に入手し、的確に判断することが求められている。
安全で安心、快適で便利な交通社会を作るためには、ドライバー個人個人が意識を高めることも必要。情報を有効活用して、年末年始も、どうぞ安全に。
(webCG 本諏訪)

本諏訪 裕幸
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